第37話 社会性の破壊力2・広がるズレ
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貴君が指摘された、大槻さんが園長就任に際し山上先生が入所児童の子らや他の職員各位の前で述べられたその言葉、確かに、わしも実は確認しております。
そりゃあ、まあ、山上女史の(苦笑)仰せであるところのお言葉、確かに、若い頃の大槻君の児童指導員としての取組においては、大いにあたっておった。それはあなたもある程度御存知でしょう、今どき流に言う「リアルタイム」とやらで、な。
子どもらの中には、その言葉をある程度真に受けたのもおるやもしれぬ。
じゃが、わしの感じたことを言わせてもらうなら、これは本来の大槻和男とこれまで子どもらの前でみせてきた大槻先生とのズレというものが、いよいよ、のっぴきならないところまで来たなと、そのときわしはそう感じたのよ。
なんかいささか回りくどい言い方になりかけておるけれども、まあ一言でこの状況を表すなら、こういうことになるわな。
よつ葉園の「大槻先生」から、よつ葉園の「園長先生」への変身。
変身と現したが、何じゃ、日曜の朝やら、貴君の若い頃の土曜の19時あたりに放映のあの手のアニメでは、もう定番の言葉じゃのう(爆笑)。
~ そりゃあ、1回観れば必ず1回は聞く言葉ではあります。と、米河氏。
それはともあれ、その手のアニメでは1回変身したらいずれ元に戻る。
じゃが、こちらの変身は、そうはいかんよな。もはや。
少なくとも、そのときいた子らがよつ葉園におる間は、元には戻らなんだ。
これは厳然たる事実ではないかな。
~ そう言われてみれば、そこは大きなポイントになりそうですね。と、米河氏。
でしょうが。
園長の仕事というのを、そのときいた子らは、年長の子らはひょっとわしのことも思い浮かべたかわからんが、他でもない、前任者の東航先生のことをひとまず比較対象に浮かべたでありましょう。
そりゃあそうじゃ。
その時点で、東先生は10年近くにわたってその職務を全うされてきた。
その前のジジイは誰ならと言われたら、まあわしじゃけど、な(苦笑)。
~ その前の御仁は、とりあえずいいでしょう(爆笑)。と、米河氏。
そうじゃの。それはもうええわ(爆笑)。
とは申したが、この際わしも入れてじゃな、子どもらにとって園長先生とはどんなものかと言えば、要するに、わしも東さんも、「おじいさん」ってことになろうが。
そこに来て、今の君より2回り近くも若い、しかも元気のええアンチャンが、なんとこの度、「園長先生でござい」となる次第である。
そらあんた、イメージのギャップ、良くも悪くも、そこで明らかになるわな。
これまでの園長先生像と、これからの園長先生像。
もうひとつ、あるぞ。
これまでの大槻先生像と、これからの大槻先生像。
この二つのギャップは、彼が子どもらの社会性を伸ばしていくために、良くも悪くも作用したように思われてならん。
それでは米河君、この点について何か所見あらば述べられたい。
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日はかなり明けつつある時間帯。
もう少し、野球の延長戦のごとくこの論争が続く模様。
米河氏、少し間をおいて、求められた所見を「納品」すべく述べ始める。
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