第32話 コムラ砦町での出合い【2】

(アラン皇子に与えられた、人間だったはず……しかし飛んで来た! アラン様の眷族ビオラとも名乗った。丁寧な対応した方がよさそうだ)


「私はネゴロ伯爵、バンパイアだ! アラン皇子様にお会いしたく、バンパイアの国から逃亡して参った」


(このバンパイア、言葉の端々にアラン様を尊敬するさまが伺える)

「歓迎する! そのまま門を通って、おーいデオにルイス開門!」


 強固な大門が、ゆっくり開きました。


 私は悪戯心で、ゴーレムカーの前を飛んで居ます。


 ゴーレムカーが通過後、デオにルイスが閉門して居ました。


 スエばあがアラン様を呼んでくれた様で、アラン様が中央通りに立って居ます。

「アラン様、ネゴロ伯爵様と眷族が、謁見したいと申して居ります」



 ゴーレムカーから全員下車し、アラン様の前に膝まづいてネゴロ伯爵が口上を述べた。

「私はネゴロ伯爵、バンパイアでは御座いますが、我が一族に吸血の習慣は御座いません! アラン様の配下に迎えて貰いたく参上致しました!」


「半端者の私の配下? もっと仕えるに相応しい者が居るであろう?」

「ご謙遜が過ぎると嫌味ですぞ、始祖皇帝様に最も近い……いや! 始祖皇帝様その物のアラン様以外、仕える気は御座いません!!」


「……何やら、誤解があるようだが、吸血の習慣が無い稀なバンパイア一族受け入れる」

「はっ! 有り難き幸せ! エンペラーバンパイアの国から逃亡した甲斐が御座いました!」


遅れて来たカンミがネゴロ伯爵に言った。

「ネゴロ伯爵! そなたはエンター侯爵領寄りのコズラ侯爵領に屋敷があり、コズラ侯爵の配下で有ろう」

「カンミ・エンター様、その通りで在りましたが、コズラ侯爵の老いから納得の行かない命令を受け、バンパイアの将来を不安に感じ、見限りました」


「それを信用せよと言うか? コズラ侯爵を裏切った者は、アラン様を将来裏切らんとも言えんで有ろう?」


「信用せよとは申せません、今後の我らの行動を見据えて判断頂くしか御座いません!」

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