第31話 コムラ砦町での出合い【1】

「荷物は必要最小限、通貨は人間の町でも共通だ! 宝石貴金属は全て持って行く!!」

 アルカードの指示で皆が一斉に動く、全て任せ私は先祖代々伝わる秘書を纏めて荷造りする。

 こう言う時、面倒な嫁が居ないので身軽で良い。


 僅か1時間足らずで撤収作業が終了、乗り合い小型ゴーレムカーで私達は海に向かって居る。


「ネゴロ様、ここが無人になったコム村で有ります」

「男5人女一人、老人一人に老婆二人の9人だったと聞く」

「村長がコムラ、コムラで何か思い当たりませんか?」

「コムラ砦町のことで有ろう」

「ズゴ男爵と500の低級バンパイアを殲滅したのが、下っぱ吸血鬼ハンター老人と二人の老婆の3人でした」


「アルカードは、コム村の9人が吸血鬼ハンターを遣ってると言うのか?」

「そうですが、コムラ砦町には何千人も吸血鬼ハンターが常駐しておるそうです」

「たった3人で、低級とは言え500ものバンパイアを壊滅出来た。その3人より強い者が何千も居る砦町か……」


「ネゴロ様? アラン皇子が黒目黒髪、エンシェントエンペラー始祖皇帝様と同じと言われて居ましたね! アラン皇子の能力と何か関係が有るのでしょうか?」

「カーミラ、私は関係有ると思っておる、それを確かめるため、行動を起こしたと言って良い」




「ネゴロ伯爵様、ゴ村が見えました」

 運転しているカードが教えてくれた。

「カード、村に異常は?」

「村人は、普通に生活している様に見えます」

「ミラにアル調査して来い」

「「はい、ご主人様」」



「報告します! ゴ村の住民は強力な操りを受けて居ります」

「上級以上のバンパイアが強力な操りを行った様ですが、誰一人吸血されて居りません」

「ご苦労! 吸血されて居ないとは、アラン皇子の仕業だな! コムラ砦町にアラン様が居られる可能性が増した! コムラ砦町には明日日中に到着する様に調整して行くぞ!」





「モンジイ、乗り合い小型ゴーレムカー?」

「スエばあ? 何の事じゃ?」

「モンジイは目チョロ、私にも見えた! 20人くらい乗れるゴーレムカーだよ!」


「ジジババ隊の皆さん、何か異常?」

「ビオラ様! 乗り合いゴーレムカーがやって来ます!」


「……あっ、乗り合いゴーレムカーだね、ちょっと飛んで行って確かめて来る! アラン様に報告頼むよ!」

「はい! ビオラ様、うちが知らせに行くよ!」

「……飛んで行かれた、ビオラ様は凄いのぅ!」



「そこのゴーレムカー、停車して所属と目的を述べよ! 私はアラン様の眷族ビオラ! 指示に従わなき場合殲滅する!!」


 停車したゴーレムカーから、貴族っぽいおじさんが出てきた。

「始祖皇帝の様に飛ぶビオラ! 12歳誕生日プレゼントでは無いか?」


「あの誕生会に、貴方も居たの?」

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