第十三話、黒幕にゃ
「私が黒幕について知ったのは、ほんの
「つまり、そいつは本来対立している宗教の双方に
「はい、けどそいつはよほどうまく立ち回っていたのか誰もが単なる偶然か相手側を貶める為に同じ名前を名乗っているだけと思っていた。誰も二人が同じ人物だと信じる事は無かったの」
……つまり、そいつはよほど情報操作が
国王は……恐らく知らないだろう。あの
「……その黒幕の
「ステラ。そう、彼は
「ステラ……」
「ステラ司教が黒幕という明確な
「……それは、どういう事だ?」
「私は以前からステラ司教を
「……それは、何て
そう、それはカルロの言う通りかなりの無茶だろう。
事実、王女様はカルロが助けなければ本当に
「……側近の
「それは出来ません。
「それは……」
それは、端的でありながら王女様の
そう、王女様は今まで誰も信用出来なかったのだろう。だからこそ、王女様は今までたった一人きりで得体の知れぬ黒幕へ
「いえ、
「っ⁉そ、それは……」
「はい、貴方の父親であるガルシアしか私は信用出来る人が居なかった」
「ああ、にゃるほど?カルロが最初王女様を
「……はい」
再び、王女様は寂しい表情をした。それは、相当に
それを理解したカルロも、申し訳ない気持ちに襲われたのか
「それは、申し訳ない。俺も
「いえ、良いのです。
「いや、それでも本当に済まない。俺が信じなかったせいで、アリサを危険な目に会わせてしまったから」
「カルロ……」
「俺は、もう目の前で誰かを失うような
「いえ、その気持ちだけで私は
「アリサ……」
「カルロ、もう一度だけ言わせて下さい。あの時、
そう言って、王女様はそっとカルロの唇にキスをした。その突然の行動に、カルロは大きく目を見開き
王女様も、どうやらかなり覚悟を決めて行動したらしく頬を赤く
そして、そんなカルロに王女様は頭を
「カルロ、
「……………………」
王女様のお願いに、カルロは思わず
王女様は、じっと頭を下げた状態で動かない。僕は、カルロに
「カルロ、王女様のお願いを
「…………」
「カルロ、自分の後悔しない道を
「ああ、分かったよ。どの道俺が選ぶんだろう?」
そう、投げやりに言いながらもカルロはすっきりしたような笑顔だった。
恐らく、もう答えはとっくに
「どうか、俺にもアリサの事を
「……っ」
「父さんのように上手くは出来ないかもしれないけれど、それでも俺はアリサの役に立ちたいと思うから。だから、どうか手伝わせて下さい」
その言葉に、王女様は目から
この時、一体王女様はどんな気持ちだったのだろうか?きっと、悲しくて涙を浮かべたのではない筈だ。嬉しくて涙を流していた筈だ。
だから、きっとこの後の
「はい、ありがとうございます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます