第四話、情報を集めるにゃ

 あれから僕は兄妹ふたりの手伝いをする傍ら、カルロのけんについて情報を集める作業をする日々をごすようになった。

 まず、カルロの剣について分かっている中で重要な情報は手の甲の紋様もんようだろうと僕は考えている。あの手の甲の紋様、恐らく何かの古代文字こだいもじかそれに準ずる何かだろうと判断する事が出来るだろう。

 だが、現状何も分かっていないに等しい今は判断をいそぐべきではないかもしれないだろう。だから、僕は今は情報を集め続ける。

 一つ、補足しておく。僕達ケットシーと呼ばれる猫獣人ねこじゅうじんには一つだけ特殊な能力が備わっている。獣人種として僕達ケットシーには他種族たしゅぞくとのコミュニケーションが可能という特殊な能力だ。

 簡単に説明すると、本来は種族の違う他種と会話かいわが出来る。

 その能力を使って僕は道行く鳥や野犬、蛇などから情報をいている。

 まあ、そんな能力を以っていても話にならないしゅは存在するのだが。簡単に言えば餓えた猪とか狼とか、人の話を聞く余裕よゆうのない奴等とかだ。

 まあ、その辺はカルロ達に会う僕にも該当がいとうするけど……

 そんな日々を過ごし、やがて僕は一つの情報を耳にした。それは、大きな町にある神殿に飾られたはたに似た紋様が描かれているという事実だ。

 なので、僕は少しだけ話を聞きにいく事にした。

「……という訳で、少しだけ町の方へ行ってみようと思うにゃ」

「大丈夫か?町の、それも教会の連中は色々と腐敗ふはいが酷いと噂だぞ?」

「大丈夫にゃ。色々と気を付けて、情報をあつめてくるにゃ」

「……そう、気を付けてね?」

 そうして、僕は二人に見送みおくられ町へかった。

 ・・・ ・・・ ・・・

 カルロ達の住む家からほどちかい場所にある比較的大きな町。その中心部にひと際大きな神殿がっている。その神殿はどうやら、光の女神めがみを奉るアリシエル教の神殿の一つらしい。

 アリシエル教。光の女神であり創造神アリシエルを奉る一大宗教だ。敵対宗教に闇の神である機械神グラヌスを奉るグラヌス教が存在するらしい。

 血と肉と魂を持って人が人らしくきる事をとおとぶアリシエル教———

 機械と科学技術を以って欲望よくぼうのままに全てを支配しはいせんと欲するグラヌス教———

 その対立構造によって、この世界は構成こうせいされているという。

 と、此処までは町に居る人達に話を聞いた結果分かった事だった。

 そして、僕は現在アリシエル教の神殿しんでんの前に立っている。確かに、アリシエル教の神殿の前にある大きなはたに描かれている紋様はカルロの手の甲に現れた紋様と全く同じであると言えた。

「……それにしても、どうしてアリシエル教の紋様がカルロの手のこうに現れたのかそれこそが問題もんだいにゃ」

 と、僕はそう口にした。その時……

貴方あなた、今何て言ったの?」

「うにゃ?」

 背後から、呆然ぼうぜんとした声にはなしかけられた。振り返ると、其処にはひと際豪奢なドレスを身にまとった少女が呆然と僕を見ていた。

 えっと、誰?

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