Lektion09-03:仮想戦記の紡ぎ方・戦国編ノ三

ごきげんよう、朝ないしは昨日の講座は参考になっただろうか。……うん、返事はしなくて良い、だいたいわかる。あれだけで放り出すのは、なんぼなんでも拙い。

と、いうわけで、前回とリンクする話ではあるが、戦国時代から歴史を変更する意味について記述したいと思う。と、いうのも、江戸時代は決して完全に失敗とは言い難いが、成功かと言われれば非常に疑問符の付く存在である。と、いうのも江戸時代には二つ三つの宿痾が抱え込まれている。まあ、ものすごくわかりやすく言えば、儒教の害毒とタヌキジジイこと徳川家康が自身の家系の安寧にのみ拘った政権であるために腐敗が約束された政権であること、そして倒幕を成し遂げた勢力に長州藩が存在することである。

つまりは、裏を返せば「家康が我欲邪欲によって恣意的な政権を作ること無く」、「儒教による縛りが発生せず」、「長州藩が倒幕に失敗、あるいは別の勢力が倒幕の中心となる」幕末であれば江戸幕府はソフトライディングの後、より強い明治維新が叶ったのではないか、ということである。

……うん、どれだけそれが無茶振りなのかは理解している。所詮家康は手垢の付いた田舎者「た」「の」いえのものに過ぎないし、ゆえに儒教に飛びついたわけで、さらに長州藩以外に倒幕を成し遂げられる勢力が居たかは、江戸幕府を覗いて見たらかなり怪しい。

なればどうするか。戦国時代から変えてしまえば良い。

とはいえ、ここで織田信長を引っ張り出すのはあまり宜しいとは言い難い。なぜか。彼は最新の研究結果でそんな人物ではないということが判明してしまっているからである。なら秀吉にするか。それも拙い。秀吉の素質は充分だが、信長という踏み台がないと天下に手が届いたかどうか、よくわからないというのが現状である。

無論、信長が立地条件が良く天運に微笑まれただけの一般人である、などと嘯くつもりは無いが、はっきり言って信長は秀才に過ぎないし、それも二級品に過ぎない。全方面でそこそこの及第点をとれるが、それぞれの分野の一級品には到底敵うべくもない、その程度の存在に過ぎない。第一、彼はスタートポイントがそこまで良くは無い。転生者をねじ込んだり歴史を変えるならば商品広告性以外に信長を立たせる理由は、あまり存在しない。

では、なぜ信長が人気なのか。……カルト宗教を叩き潰そうと頑張ったからではないか、というのがわたしの見解である。少なくとも、わたしが信長の何処が好きかと聞かれたら、「政教分離を行おうとした」、「カルト教団を叩き潰すまで頑張った」、「仏教を葬式だけに追いやった」、その功績である。まあ無論、仏教を完全に無力化したのは三英傑全員の功績だが、信長が徹底して仏法僧の喧嘩を買い占めたからこそ、起きた「さきがけ」である。まあ尤も、宗教の敵対者の側面は秀吉の方が強く、ゆえに成功したのだろうが。

どういう意味か解らない?……比叡山をカルトなどと流石に言う気は無い(とはいえ、政教分離には反しているのは間違いない)が、一向一揆は確実にカルト宗教である。高野山も、ぶっちゃけかなり怪しい。無論、比叡山も高野山に比べ「多少はマシ」なレベルに過ぎないだろうし、と言って大和国の古い古い仏教はいくら何でも干からびているだろう。

つまりは、そういうことだ。一向一揆というテロリストを倒そうと頑張り、最終的に武装解除を行って、その上安易な禁教令を出さなかった。それだけでも、信長には満点を与えたい。

無論、一向宗のみをテロリスト扱いする気は無い。日蓮宗、密教(比叡山と高野山)、こいつらも全員テロリストである。というか、以前どこかで書いた覚えがあるが、中世の宗教、特に本朝の仏教的存在は皆、なにかしらすねに傷を持つ存在である。そして、洋の東西を問わず、宗教的存在が言ってしまえば犯罪者集団なのは「政教分離」の法則を考慮した場合、果てしなく蓋然性の高い真といえよう。何せ、宗教に限らず答えの無いものは多いが、宗教には特にそれが多く、さらに言えば証明ではなく信仰という形に結果を求めてしまう存在である。デモクリトスが嗤いそうだが、キリスト教とはすなわち、ローマ帝国を滅ぼした上に中世を造り出した邪教である。そんなものを信仰している連中は、蛮族以外の何物でも無い。……流石に、今時本心からあんなものを信じている馬鹿者はいないと思うが。

では、なぜ宗教的存在が犯罪者集団であり、仏法僧がテロリストと言いうるのか。……彼等は、有りもしない来世を唱えて金品をむしり取り、更にはそれを以て脅し、信じた人間に為政者殺害のテロを強要して、自分等は安全圏でのうのうと座して食らう輩だからである。宗教は常に、自身の問題に過ぎず、団体となった瞬間にその存在価値を失うものだ。無論、宗教を信じたからと言って即座に犯罪者と罵るつもりは無いが、令和の今現在ですら無税存在な上に信徒を使いテロを行ったり、政治を蚕食したり、あまつさえ亡国の原因となったりする存在である、それは宗教という存在が既得権益となったからであり、なぜ既得権益となったかは特権的団体を構成しているからである。

恐らく、今は最早くたばっている犬作が誰かを殺せと命じたならば、第二第三のオウム事件となっただろうし、現に統一教会がらみで貴重な宰相を失ったばかりではないか、この国は。

無論、人間が未だ形而上に宗教以上の発明品を作り出せていない現状、それに縋る者がいるのは仕方の無い事ではある(この点に限ってのみ言えば、日本のみが発展しうる原因は宗教以上の形而上的存在、すなわち「萌え」という発明品を作り出せたことが存在する)が、それを利用する仏法僧が存在する限り、宗教的存在は悪なのである。

……話がだいぶ逸れてしまったが、すなわち「織田信長」を主人公や主要人物として扱う場合、必ず戦国時代の段階で宗教的存在の禍根を根絶することが重要である。特に、その事案として上げられるのが、戦国時代のオウムこと一向一揆である。何?失礼だ?……富樫政親氏の墓前で同じ事が言えるのならば、非礼を考えてやらんでも無い。加賀転覆なんかはまさに、宗教テロによる暴力革命と言っても、差し支えのない、否、それ以上のものであろう。

ゆえに、わたしはどんな主人公にも、一向一揆殲滅を命じるだろう。それこそが、大日本帝国繁栄の第一の計なのだから。

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