Lektion09-01:仮想戦記の紡ぎ方・戦国編ノ一
御内書畏頂戴仕候、抑毛氈、鞍覆、白傘袋、網代輿御免許、過分之至忝次第候、依而御馬一疋靑銅三千疋致進上候是等之趣宜御執成奉願候、旨得尊意候、恐惶謹言、
十二月 垣屋平右衛門光成
大館殿
人々御中
……突然、私が高杉晋作が如く不思議な呪文でも唱えだしたかと勘違いされる方もいらっしゃるかも知れないので、一応ネタバラシをすると、以上の漢文は垣屋光成という武将が幕府へお礼の手紙を書いた際の文章である。とはいえ、実はこの手紙が書かれた当時(判明しており、それは「永正五年」である)、ここに書かれている「垣屋光成」という武将は生まれていない。じゃあ誰なんだって言われるかも知れないが、それは判明している。「垣屋光成」の祖父ないしは父(どちらかは諸説あるが、私は「祖父」派、つまりは「間にもう一代挟まっているよ」派)、つまりは「垣屋家」の先代である垣屋続成、そう、私が「輝鑑」で散々に弄り倒した史実にも存在する武将である。無論、垣屋続成は史実においてはマイナーである。正直、私も古文書を見つけるまで到底実態を知り得なかった人物であろう。とはいえ、だからなんだと言われると別に上の史料に特に今回は意味があるわけでは無く、高杉晋作が古事記を唱えて魔法の呪文でも唱えたと南蛮紅毛に虚喝をかました、と伝えられるように、事情の知らない人間には上の漢文は漢字のランダムな羅列にしか見えないわけである。
ちなみに、意味は「毛氈の鞍覆」、「白傘袋」、「網代輿」という幕府直臣にのみ許された特別アイテムを貰った、つまりはこれからは「垣屋家」は山名家の家臣、つまりは幕府にとって陪臣、ではなく、直臣、つまりは守護職などにも任命されうるよ、といういわば「家格昇進」という「御恩」に対する「有り難く頂戴致します」という「礼文」(ちなみに、なぜ足利、つまりは将軍への礼状なのに足利家宛ではなく「
現代人にとって、漢文とはただの試験攻略テクニックにすぎない。つまりは、「そんな文章など一々読ませるのは失格である」ということである。とはいえ、逆に「ブンドド」的な、つまりは効果音で間を持たせるのは、勿論それもまた砕けすぎているわけで、あまりよろしいとは言いがたい。つまりは、日本人、特に読者という人物にとっては読みやすい文章があるわけだ。
そして、読者のどの層を想定した文章を書くか、というのはそのまま文体の巧拙にも直結する。つまりは、低年齢層の場合は、こんな ぶんで むずかしい じを つかわずに なおかつ かんたんに そして わかりやすく かくべきで ある。逆に、ある程度文章を読める年齢を相手にする場合は、文章が平淡にならないように、ATOKなどに扶けを借りながら技巧を凝らして濃厚にする必要がある。無論、あんまり難しすぎると拙いわけだが。
と、いうわけで。その一にもかかわらず殆どが比喩と表現方法の例示に終始してしまったが、その二ではもう少し、込み入ったことを記述したい。
或いは、大東亜編と交互に連載するかも知れないが、それはまだ未定である。
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