Lektion05:射程範囲の広げ方

はーい皆の衆、えねこである。前回までは、仮想戦記の射程距離と射程角度、すなわち物語の長さと物語の方向性・属性について記述したが、果たしてそれによって肝腎要の射程範囲、すなわち「物語のターゲット層」の開拓は可能なのか?……これについては、私は「是」であると答える。当たり前だが、仮想戦記を「軍艦越後の生涯」を教本として今風にして、最近では「艦魂戦記」あたりがメジャーデビューの線としては有り得るか、といったものをきちんとライトノベルとして組み立てれば、恐らく耕しうる土壌としては極めて広いものを獲得できると思う。試しに私も、それっぽいもの、つまりは「軍艦大和の生涯」とパロディめいた題名にして現状作っているが、実はこの手法、なぜ使えるかと言えば、仮想戦記にはどうしてもライトノベルとして成立させるに当たって足りない要素が存在するが、それは言ってしまえば、「萌えっ娘」の存在である。

……つまりは、仮想戦記がなぜ衰退したかということに対して、私は「ヒロインの不足」があると考えている。そう、萌え戦略にせよ、艦これにせよ、MCあくしずにせよ、あるいは海を越えてアズールレーンにせよ、これ皆ヒロイン不足に対してのある種の回答例であると言える。そう、仮想戦記は男と鉄と硝煙の物語であるがゆえに、どうしてもヒロイン不足になりがちではあるが、そのヒロイン枠を確保すれば、恐らくある程度のライトノベル性は確保できると思う。それが、どんな美少女かはさておいて、仮想戦記をライトノベルに転身させるに当たって足りない要素として、ヒロインをどうやって「男と鉄と硝煙」の物語から登場させるかというのは、ある程度頭を悩ませると同時に、それさえクリアしてしまえば、仮想戦記はまだまだ戦えるのではないかと思う。

前回、「仮想戦記を書く場合、艦これの二次創作として書くのはどうか」と提案したが、艦これとうまいこと被らずに、なおかつヒロインの登場に説得力を持たせることが出来れば、それだけで萌え系仮想戦記の完成と言えると思う。無論、仮想戦記としての腕前があることが前提条件として挙げられるが。

さらに言えば、仮想戦記の腕前を上げ続ければ、ある程度他の戦記ジャンルにもつぶしは利くと思う。例えば、任天堂のファイアーエムブレムなんかは、仮想戦記ではなく、ジャンルとしては架空戦記の方に分類される(この違いについては、またいつか説明する)のだが、あれなんかはユニット一つを一人ではなく、部隊長が代表して表示されているだけの戦争行為であると考えれば、充分に中世欧州の人口密度を考えれば架空戦記たり得るだろう。

あるいは、魔法というものを戦術兵器や戦略兵器とするならば、充分に仮想戦記の腕前でも補弼は利くと思われる。

じゃあお前書けよ、とか言われそうであるが、恐らく私の架空戦記の腕前は、仮想戦記に比べ非常にあやふやであり、きちんと欠ける自信は無いのだが……、MF10周年もあるし、吾まだ死せずがきちんときりの良いところまで書けたので、検討はしてみたい。

まあ、それはそれとして、仮想戦記がブームだった頃は皆が皆、仮想戦記を書いたように、今となってはファンタジー一強であるからこそ、皆が皆ファンタジーを書いているのだろう。ゆえの、ファンタジーであるが、仮想戦記を架空戦記として書き直してみたら、案外骨太で硬派なハイファンタジーを書くことが叶うかも知れない。無論、今風の調味料として転生・転移を含めるのもアリっちゃアリであるが、さすがにそれは皆最早食傷気味であろう。故に、戦記には、否、架空世界を描写する際にも欠かせないであろう軍隊描写や兵法描写、兵站描写などといったことは、十二分に物語に深みと説得力を増すと思われる。

だからこそ、皆一度は仮想戦記ブームが起きたことは、まあよく理解していなくても納得はいただけると思う。

……だいぶ話がずれてきたので、元に戻したいが、まあ要するに仮想戦記のファン層を増やす方法は、物語の長さや方向性、属性などを既存のブーム作品とは別のベクトルとして作り上げた場合、存外に仮想戦記ブームということは起こってくれる可能性も存在する。さらに言えば、仮想戦記ブームは一度や二度ではなく、数え方にもよるが三度以上起こったブームであり、またぞろ起きる可能性のある、まだまだ発掘可能な鉱脈と言える。

よく言うであろう、「ブームは終わったor物語は出尽くした、あとは枯れ行くだけだ」、と。そういうときは逆に考えるべきだ、「今なら私がこの市場を独占できる」と!

すなわち、もし仮想戦記ブームが再来した場合、今までにないほどの仮想戦記がネット上に転がっていることを考慮した場合、かつて無いほどのブームを起こすことが出来るだろう。

客が来ないことを嘆くのは楽であるが、客がアクセスできていないことを考えよう、そして、仮想戦記もまた、物語の一つである以上、ファンタジーブームが廃れた時のために、次の手を打っておこう。

今読者がもし、仮想戦記を書きたい、あるいは読みたいと思ってくれた場合、それがひょっとしたらブーム再燃の兆しになるかもしれない。

そう思い、今回の筆を置くことにする。

……次回の話題は未定ながら、一応完結捺印はしないでおく。もし完結捺印をしていれば、ここで終了だと思っていただきたい。

それでは皆々様、また次回までひとまず休憩としたい。

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