はーい皆の衆、えねこである。本日から考察するのは、仮想戦記の射程角度、射程距離、そして射程範囲をどうやって広げるのかの考察である。そのうち、本日は比較的広げやすい「射程角度」から扱っていきたい。

と、いうのも、最近は艦これなどの仮想戦記と相性の良い人気コンテンツが多数存在しており、当然ながらそれらのキャラクターの二次創作という形で仮想戦記を書けばキャラクター設定の労力や物語の世界観設定などの、歴史コンテンツではただでさえ少なく済む各種設定の労力を極限まで省くことが出来るからだ。さらに、いざ二次創作で書いた後に一次創作で応募したくなった場合、そういった描写を史実のものに置き換えてしまえば良い。それぞれ、艦娘は艦長に、口調を軍隊調に、深海棲艦を連合国の艦艇に、世界観設定を戦時中に変えてしまえば、あっという間にオリジナル作品の完成だ。……え？　最近は連合国出身の艦娘がいる？　……そういうのは、なんだ。アイオワ実装前までの空気感で書けば良い話だ。事実、私はアイオワ実装の一報を聞いて艦これを実際に退官（マイゲームから解除）した口だし。

そして、艦これを含め萌えミリタリーのジャンルを考慮した場合、現在は仮想戦記を非常に書きやすい環境下にある。なぜならば、世界観さえ巧くひねり出せれば萌え層を仮想戦記に引っ張ってくることもできるし、そういった仮想戦記であれば表紙にもヒロインを出しやすかろう。兵站局からの歴史とは、伊達や酔狂では無いし、大戦略の会社が萌え戦略を造り出したのは偶然では無いのだ。

……少々乱暴に語ったが、仮想戦記の射程角度とは斯様に、広げることはまだ可能なのである。では次に、仮想戦記の射程距離の広げ方について解説していきたい。

と、いうのも仮想戦記の射程距離は運搬しやすさと密接関係にあるが、実際の処ここまで電子書籍の文化が広がった現状、電子書籍で出版できるならば仮想戦記はいくらでも広げられる。問題は、原作では精々1939年9月～1945年8月程度の短い舞台をどうやって延伸するかだが……。これについては、最もやりやすい策がある。弄る時代の範囲を長くすれば良いのだ。つまりは、明治大正とかから、或いは幕末から歴史改変を始めて、アメリカ合衆国を殲滅するというオーソドックスな作戦である。とはいえ、大日本帝国は幕末～明治維新～日清戦争～日露戦争～ポーツマス条約まではほぼ最適解を選んでいる。ポーツマス条約で樺太全域を取れなかったのが欠点と言えば欠点だが、陸軍の状況を秘匿し得た戦果の方が遙かに大きいためそれは置いておこう。

では、どこから改変するのか。やはり大正か、それとも昭和初期か。定番なのは満州事変からだが、ここは一つ、第一次世界大戦からの改変なんてのも面白いと思う。何せ、第一次世界大戦の仮想戦記は大日本帝国が勝利側にいる上にヨーロッパとかいう世界の片田舎で開かれた天下一武闘会に過ぎないこともあって、少なくとも本朝ではブルーオーシャンに近い。私も実は今プロットを組んで史料を漁り書き始めている最中ではあるのだが、思いの外史料が転がっていないこともあって非常に面倒くさく、そりゃブルーオーシャンだよな、と思ってしまう程度には作りにくい。

だが、一度確立されてしまえばブルーオーシャンなだけあって非常に面白いものが出来る余地が残っている。いっそのこと、第一次世界大戦を発生させない、なんてのも面白いかも知れない。

と、いうわけで。広げるならばやはり射程距離だろう。何せ、今の出版業界は当たったコンテンツを容易には終わらせはしないだろう。そして、第一次世界大戦は関係者が恐らく皆死んでいるため、比較的そういう面倒くさい権利関係を気にせず書けることが多い。

では、射程距離と射程角度が広がれば仮想戦記の射程範囲は広がってくれるのか。それは次回に考察したいと思う。