Lektion01:引き金を作ろう!

はーい皆の衆、えねこである。本日より不定期ながら、そして中堅プレイヤーとして皆の衆に仮想戦記のイロハを伝授し、大サトーとまではいかなくとも種をまいて仮想戦記ブームを再び起こしたいと目論んでいる。


では、早速内容に移りたいと思う。今回の主旨は「引き金を作ろう!」である。といっても、銃を作るわけではない。作るのは物語だ。

引き金、原語で確か「トリガー」だったとは思うが、仮想戦記とはよく銃に喩えられる。仮想戦記という論理で出来た銃を手に取った作者が主人公というトリガーを引き、内部の敵役という火薬に点火して物語という弾丸を発射し、目標である読者の財布の紐を興味関心という炸薬が破壊する。……まあ、概ねこんな感じなんじゃないかとは思っている。

なので、仮想戦記を作るに当たって実は「トリガー」はあんまり重要ではない。重要なのはどれだけ強い火薬敵役を使って射程距離を伸ばすか、そしてどれだけ強い弾丸物語を用意できるか、というのがある。実際、大サトー唯一の完結作である「征途」にせよ藤堂一族(「真田一族」は恐らく別の大サトーの作品か、下手したら別の作者と勘違いしておりました。「しゃあっ」氏、御指摘Danke!!……以後、飛ばし記事にはならないように気をつけます(泣)という主人公に多分特に思い入れはないと思うし、最近流行りの転生ものもまた、オリジナル国衆を主人公に迎え入れているとおり、主人公に思い入れがあっても精々「国衆」レベルに過ぎない。基本、日本史的には替えの効くレベルの初期勢力でしかない。

じゃあなぜそのさして重要ではない「引き金」から語るのか。……根本的に、この「引き金」が作動しないと、銃というものはただの置物に過ぎない。即ち、引き金を引く行為こそが、物語作動の瞬間なのである。故に、説得力がありできれば一発で納得しうる「引き金」を用意する必要がある。オッカムの剃刀を気取るわけではないが、前提条件は少なければ少ないほど良いのだ。

と、いうわけで今ここで、インスタントに仮想戦記を作ってみよう。……あくまで例示なので、粗が目立つだろうしどこかで聞いたようなものだったりする上に、「こんなの俺でも出来る」と思われるだろうが、それはご容赦願いたい。


トリガー:朝倉義景の嫡男「阿君丸」

火薬:織田信長

弾丸:朝倉義景

炸薬:概ねワンコインを想定


 ……義景は悩んでいた。嫡男「阿君丸」は助かったものの、果たして上洛作戦などして良いものか。ここは越前に籠もり、阿君丸の成長を待ち時節を見るべきではないのか。だが、朝倉家の矜持に賭けて、ここで公方を前面に押し出し、上洛戦をすれば恐らく朝倉家の命脈と栄華は、まだまだ持つかもしれない。

 幸いにして仇敵とも言いうる織田家との縁談もまとまっている。上洛戦の妨げは主敵である三好家であるが、朝倉家の六番編成の軍制を以てすれば、そして病にあるとはいえ宗滴の采配を以てすればあるいはあるいはなのかもしれず。

 ……斯くて彼は、運命の賽を投げ始めた。

「皆、よく聞け。……阿君丸が病魔より復活したことは、神が我等に何かをせよと仰った合図なのかもしれん。よって我等は、いにしえの者に顔向けできる戦果を出さねばならぬ。

 ……公方様、お待たせ致し申した。これより朝倉家は、京洛へ進軍致しまする!」


……とまあ、導入部にここまで作れば恐らく、後は物語の方から進んでいってくれるだろう。……若干、トリガーがお粗末な気はするが、あくまで例示であることと、最近の学説を取り入れた、ということでお許し頂きたい。

と、いうわけで。今から吾まだ死せずと輝鑑、どちらかを更新しなければならないので失礼する。……ああ、本日中には無理であると思われるので、本講座を更新した次第である。

それでは、また次回まで。……いつになるかは、不明ながら。

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