第56話:高砂や、波深き折に帆を畳み
<!-- マエガキ、マエオキトイウナノサクシャノボヤキ -->
カクヨムには前書きや後書きの機能が無いので冒頭から失礼orz
……本来ならば、第55話と第56話の間には明治帝との謁見の場面を描写すべきタイムスケジュールなんですが、万全の状態で描写しなければ無礼かと心得ますので、一度スキップして改めて書くか、或いは第60話ないしは61話辺りで56話から59話までをカットバック手法を使った、ということにしておてくださいませ。
正直、戦国時代の天皇陛下ならまだしも、近現代史の天皇を描写するのは私にはまだ荷が重いorz
……病が治り次第取りかかりますことは確約しますので、今少しお待ち下さい。……今年中には、まだ無理かなあ……(泣)
それでは、次の次の行から本編ペーン!!!
<!-- イカ、スキップゴノホンペン -->
明治43年3月のことである。自身を祖とする政党を構築した後に、真っ先に彼が行ったのは党規則制定などではなく、なんと婚姻であった。と、いうのも……。
「また、急な話ですな」
「とはいえ、脇坂翁にも約定はしているしな。墓前で報告、なんてことにならないようにそろそろ発動しておく必要がある」
「かしこまりました。では、先方にも伝えて参ります」
……前々から登場こそしており、許嫁ないしは藩主お墨付きとなっていた婚姻の約定を果たすときは今と、山本少年は決めたようだ。
そして、向こうはむしろ「ようやくですか」といったような態度であり、山本が多忙にかまけていることになんともやれやれ、という感情とともに日取りの確認を以て、居もしない絶対神への捧げではなく、伝統の人前結婚式の形式で行うことが決まった。
そして、3月16日、午前にはすでに式を終える約定として定められていた、そのはずであった……。
「……マジか」
そして、翌日の結婚式に備えて15日の正午には現地入りしようと三鷹を発つ予定を組んでいた山本少年の眼前にて映った光景は、関東関西をつなぐはずの鉄道の休止というお知らせであった。と、いうのも……。
「……どうするよ、おい……」
「さすがに、これは不可抗力でしょうな。日付をずらしますか」
「……先方に連絡を入れてくれ。正直、恥ずかしいが事情が事情だ」
「かしこまりました。電話で宜しいですか」
「予算は問わん、一刻も早く伝えよ」
「ははっ」
「はい、此方伊東でございます。……おや、山本さんであらしゃいますか。……はい、……ああ、そういうことでございますか。……かしこまりました、現地の方々には伝えておきます。延期につきましては、鉄道が通り次第、ということにしましょうか」
「おお、どうした。電話なんて珍しいじゃ無いか」
「……山本さん、鉄道休止の件を知らなかったらしく、現在関東で待ちぼうけを食らっているという一報が入りましてございます」
「……あの坊は、相変わらずそういうところは抜けているな……。まあいいさ、それじゃ僕は龍野へ行ってくる、留守を頼んだよ」
「はい、かしこまりました」
……当初、伊東製薬の一室を借りる形で行われる予定だった結婚式は、式場整備担当である伊東氏に一報を告げる形で延期が申し伝えられた。とはいえ、事情が事情であり、先方や脇坂翁の説得は困難では無いと考えられた。問題は、別の所にあった……。
「ふむ」
「子爵様、いかがなさいましたか」
「……鉄道がアナキストの手によって封鎖されたことは知っているな?」
「ははっ、一説には聖上を手にかけることに失敗した代用策と聞いております、が……まさか!」
「……うむ、山本めそれを知ってか知らずか、関東に閉じ込められたらしい」
「……ああ、それならば致し方ありませんな」
「儂も、山本の紋付きを見たかったんじゃがな……。出入りの業者には延期である旨を伝えよ。どうやら山本め、神妙にしているようで延期の日取りをせいの実家である先方に一任して参った」
「……かしこまりました、しからば、そのように」
「……せいめも災難じゃの」
「はは……」
……大逆事件の主犯が泳がされているとも知らずに聖上相手の暗殺作戦の試し腹として鉄道封鎖作戦を発動したのは、山本が旅立つその日の朝であった……。
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