第5話 「一升瓶の蓋禁止令」の話
昭和四十年代の話
小学校で、一升瓶の蓋を使った遊びが流行した。
一升瓶の蓋のコルク部分を削り取り金属部だけにして、おはじきやメンコのような使い方をして遊んでいた。
また、酒や醤油の銘柄によって蓋のデザインが違うので、コレクターズアイテムのような楽しみ方もしていた。
だんだん蓋集めがエスカレートしていき、酒屋の店先に置いてあった空瓶の蓋を盗む者まで現れ苦情が出た為、ついに小学校で「一升瓶の蓋禁止令」が出る事態となった。
一升瓶の蓋を禁じられた子供達が次に目を付けたのは、「フィルムケースの蓋」…
ちょっと説明が難しいのだが、カメラの35mmフィルムが巻き取られている金属ケースを分解すると、フィルムの巻取り軸の
両サイドにドーナツ状の蓋が付いている。
サイズも一升瓶の蓋と大体同じくらいだったので、これを代用品にしようと思い付いた奴がいたのだ…
小学校の近くに写真のDPEセンターがあり、そこの業務用ゴミ箱の中に潜り込んでゴソゴソ…
当然、苦情が出て「フィルムケースの蓋」も禁止令が出ましたとさ。
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