第23話

「物足りないな。もっとカップルっぽくしたいかも。」


と急に真剣な眼差しで言ってきた。


「アーンしてみる?僕に。」


そう彼に見つめられて言われたので断れずに、私はカメラを移動させ、焼いた肉をアーンと言って、彼に向けた。彼はカメラ目線で食べた。



イケメンだ…。



急に私は恥ずかしくなり俯いた。



「やっぱり恥ずかしいね〜」



彼は笑いながら照れて言った。私も恥ずかしい。でも、なんかふわふわした気分だ。

恋人ができるってこんな感じなのかな。私はふと思った。彼は嫌な人ではないのかもしれない。



たくさん食べた。牛タンからホルモンやローストビーフやハツなども食べた。ほとんどのメニュー食べたのではないかと思うほどだ。



彼は、笑って楽しい話をしてくれる。もちろん、仕事の話もするのだが…。気が楽でとても楽しい。そして、彼といることにだんだんと一日で慣れてきた気がする。




店を後にすると外は涼しげな夜だった。深い青の綺麗な空。都内だから星は見えないけど…。



楽しい1日だったな。



「今日は、ありがとうね。撮影も2個できてよかったよ。次はいつにしようか?」


彼は次の予定を聞いて来た。なんだか嬉しい気持ちになった。また次があるのか…。偽装カップルでSNSやるから当たり前なはずなんだけど、嬉しい自分がいる。


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