第13話

彼は私に微笑んで、すぐ駅前のタクシーに乗った。


「タクシーで行くの?」


「うん。電車内で声かけられても対応できないし、まだ一緒にいると困られたら、君が困るでしょ。」



彼なりの優しさで私を気遣ってくれた。

タクシーの中では、一方的にずっと話してくれた。例えば、この前テレビ出た時の話とか、最近ハマってることとかだ。



「僕がカップルチャンネルやりたいのは、やっぱりファンとの距離を取れるのと、ただの憧れと、もっといろんなことに挑戦してみたいからかな。」



そんなことを話しているうちに、目的地についたようだ。そこは、東京都内でも屈指の高級ホテルだった。




「ここでご飯食べるの?お金そんなに持ち合わせてないんだけど。」



そういう時彼はまた笑って、



「今日は僕が誘ったから、僕が払うよ。」



「え、でも悪いよ。ここ高いもん。」




「いいからいいから、今日は楽しもう。写真も撮るでしょ。」




そう言って私の手を取り、歩いてエントランスに向かった。予約してあった、佐藤です。



そうすると、景色がいいと有名の、最上階レストランに案内された。案内された部屋は個室で、テーブルもセットされた状態だった。案内さんが、私の椅子を履いて下さったのでお辞儀をして彼の目の前に座った。



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