第12話

あーもう。全然集中できなかった。



今日は夕方までぎっしり授業があったのに、ランチさえもボーっとしてた。ランチは大学近くのテラス席で友達と食べて、写真撮ってもらったり、お話ししたりしてたけど、友達にも今日ぼーっとしてない?って言われた!!




だって、夕方デートなんだよ。もう、夕暮れで太陽がオレンジ色に照らしてるけど、私はまだ心の準備ができてない。





色々悶々と考えながら指定の場所に来てみると、ベンチに佐藤くんが座っていた。イケメンだなー。そんなことを思っているとバッチリ目があってしまった。ニコニコして手を振りながら近寄ってきた。




「来てくれたんだ。ありがとう!ご飯食べながら話そう。」




そう言って彼は駅の方向に指差した。2人で歩いて駅に向かっていると、佐藤くんに声をかけてきた女の子たちががいた。




「佐藤くんですよね?ファンです。写真撮ってください。」



「そうなの。ありがとう。じゃあ、写真撮るね。SNSとかにはあげないでね。」




そう言って私にスマホを渡して写真を撮らせた。




「ありがとうございます!」




そう言って女の子は消えて行った。私のことは眼中に入っていなかったようだ。





「人気者だね。」


「あれ、拗ねちゃった?」




イタズラっぽく彼が笑っていた。

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