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 嘘をつくという行為は不誠実とよく言われるが、俺自身はそうは思わない。嘘はバレてしまうと不誠実を顕にしてしまうが、逆に言うとバレなければそれは嘘と認定することは出来ず、見えない嘘はいつの間にか真実となる。嘘は騙し通せば問題ないのだ。

 とまあここまで語ったのはいいのだけれど、絶賛嘘が露見しそうな人間が俺であった。ピンチである。

「で、言い訳は以上かい?」

「言い訳ではないっす……」

 めっちゃ言い訳である。恋人に詰め寄られた俺は視線を泳がせながら深い呼吸をしていた。

 ちなみに罪状は以下の通りである。

『ソシャゲの課金額詐称罪』

『キャラクターグッズ購入額詐称罪』

 つまりオタク行為をした結果(財布と一緒に)死にかけているのである……!

 目の前に証拠品として並べられたキャラクターグッズと印刷された我がツイート。もう世界を滅ぼすには十分な理由だった。

「前に言ったよね、課金はほどほどに、って」

「言われたかな……」

「あ?」

「言われましたね……」

 恫喝である。

「君がこのカレンってキャラクターを好きなことは理解しているが、この子にばっかり構うのは恋人としてあまりいい気分じゃないよ?」

「はい……」

「これが最後通告だ! 月の課金は二万まで! これを破ったら携帯のパスワード変えるので気を付けたまえ!」

「はい……」

「よろしい。ほら、今日はデートだ。行こう?」

 その時、俺のスマートフォンが通知を奏でる。

 いつも通り画面を確認する俺の目に映ったのは……、

『カレン・エーミルア〔水着〕ピックアップ開催!』

 ……チャリーン。とりあえずガチャ用アイテムが増えた。

 急募。悪鬼の形相で迫る恋人から逃げる術。

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