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お腹が空いている様子のアキラは俺の足をぱしぱしと殴ってくる。今に始まったような癖ではないので特に驚きもしないが、もう少しで作業がキリのいいところなので、あと十分くらいは我慢してほしい。アキラを無視するため、心を鬼にしてパソコンの画面と向き合う。
アキラと出会ってからもう三年以上の月日が経つ。無口でその上気紛れであるため最初は扱いに困ったこいつだったが、今では声がなくとも行動などで求めていることがわかるようになった。やはり一緒に過ごす時というのは重要である。
三年という時を経てもアキラは無口だ。だけどその静かな姿が俺は好きだったし、こういうアキラだったからこそこの三年という長い年月を一緒に過ごすことかできているのだろう。それに、こいつがいてくれると俺が安心するし、アキラのためにも仕事を頑張ろうと思える。
さて、パソコンで作っていた資料はようやく適当なところまで終わり、ようやくアキラに構おうと思って振り返るとアキラが見当たらない。空腹に耐えかねてキッチンに行ったのだろうか、と書斎を出たら、ソファの上で丸くなって寝ていた。
気持ちはわかるが、ここで起こそうものなら若干不機嫌になるのでそれはそれで面倒である。
俺は寝息を立てるアキラを見下ろしながら苦笑した。
「ほんと、お前は気難しいやつだな」
まぁそういうところも好きなんだけど。
とりあえずアキラが起きたときにすぐにご飯を食べれるようにしておかないと。最近は仕事が忙しくてあんまり構ってやれなかったし、せっかくだからアキラの好物を用意しておいてやろう。
考えた俺はアキラを撫でて、音を立てぬようにキッチンへ向かった。
※(アキラは猫です)
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