第93話 帰還
適当な店に入り適当な席に座り注文を済ませる。
最近リバークではよくオーク肉が出回っているようなので俺とディムたちはガッツリ系のメニューを、女性陣はそれぞれ好きなものを選んでいるようだった。
「それでディムたちは最近どうなんだ?」
「俺たちはボチボチだな、まだ戻ってきて日が経ってないし3人での連携を確認しながら4階層でオークやラッシュボアを狙ってるよ」
なんでもやはり魔物が相当弱体化しているようで3人でも十分4階層で戦えるそうだ。
もちろん5階層、6階層で狩りをしている他の冒険者パーティも居るようでオークやハイオーク、ラッシュボアの肉はかなり安定して供給されているしミスリルの採掘量もかなり増えているらしい。
だからリバークは結構景気がいいぜとクレイが教えてくれた。
「7階層以降には誰も行ってないのか?」
「そこまで行くとな……弱体化していても倒せないんだ」
なんでも6階層のボス、赤と青のオーガを倒せる冒険者もほとんど居ないらしい。
いくら弱体化して攻撃力や素早さが激減していたとしても外皮の硬さは健在らしくそれを破れないという。
「まぁミスリルの採掘量も増えましたしいずれミスリル武器が出回れば攻略出来るパーティも増えるでしょうね」
ロディが付け加えてくれたがなるほど、武器の質も関係してくるよな……
「ディムたちはどんな武器を使ってるんだ?」
「俺たちか? 俺は鋼の剣でクレイは鉄の剣だな……買い替えたいんだが中々……6階層のリザードマンでも狩れればすぐ貯まるんだろうがなぁ……」
「リザードマン?」
6階層……あぁ、トカゲ人間ね。
「奴らの皮や鱗はいい防具になるということで結構高く売れるんですけど色違いのオーガと同じで中々倒せないんですよね」
ふーむ、あの辺はウルトで攻略したから俺たちは実際に戦っていない、どれくらいの防御力があるのか分からないのだ。
「買い替えの予算貯まってるのか?」
「まだ全然だな……とりあえず俺の魔鉄の剣を買いたいが半分くらいしか貯まってないな……」
それってどれくらい?
「魔鉄の剣っていくら位なの?」
「あたしはあんまり詳しくないから分からないわね」
「魔鉄製ですと大体金貨1枚からですね」
物知りリンさんに聞いてみたが武器の相場には明るくないらしく首を横に振られたがその横からソフィアが答えてくれた。
確か鉄の剣が大銀貨3枚前後、鋼鉄の剣が大銀貨6枚くらいだったかな?
ということは今貯まってる予算は大銀貨で5、6枚ってところかな?
「サーシャ」
「クリード様がよろしいなら」
サーシャに確認してみたら俺のやりたいようにとの返事、なら好きにしよう。
「ところでディム、いい武器あるんだけど買うかい?」
「は?」
「いや、は? じゃなくてさ」
とりあえず1本と適当な剣を取り出そうとして辞めた、さすがに飲食店で武器出すのはマナー違反だな。
「迷宮攻略した時にさ、大量に魔剣とか手に入ったんだよ」
そりゃもう捨てるくらいに。
「いや……しかし」
「グリエル……というかガーシュか、そこのギルドでは1本金貨1枚で売ったんだよ」
金貨1枚、それを聞いたディムたちは興味を惹かれたのか俺の顔をジッと見つめてきた。
「ギルドに金貨1枚で卸したんだ、お前らなら友情価格で……そうだな、大銀貨3枚でどうだ?」
3割引ならぬ3割で販売、友情価格ならこれくらいでいいだろう。
「ほ、本当にそれだけでいいのか!?」
「いいよ、何百本とあるしね」
ただでさえリバーク迷宮でマンモンから貰ったのが余ってたのにグリエル迷宮で拾っちゃったからね。
「な……いいのか?」
「いいよ」
店では出せないからとりあえずどんな能力が希望かだけ考えといて貰おう。
「ああそうだ、迷宮前の子供たちってどうなってる?」
「クリードさんたちがよく食事を振舞っていた子供たちですね、彼らは今大忙しですよ? 住む場所も建築中ですし、今は魔物狩り放題のような状況ですから荷物運びは引く手あまたです」
「俺たちも連れていったことあるけど今は結構小遣い貰えてしっかり飯も食えてるって言ってたぜ」
俺の質問にロディが答えクレイが補足してくれた。
迷宮攻略した後の懸念だった子供たちも上手くやれてるなら良かったな。それに住む場所?
「住む場所って?」
「今ギルドはかなり儲かっているからな、子供たちが成長して就職の儀を終えたらそのまま冒険者になるように囲い込みも兼ねているのだろう」
なるほどね、いいと思う。
戦闘系じゃなくともギルド提携の店や工房に紹介もできるだろうしね。
それからもお互いの近状や情報交換などをしつつ夕食を終えて店を出る。
ディムたちは大鷲亭に宿泊しているようなので俺たちついていって部屋を取りディムたちに装備品を販売した。
ディムは【切断力上昇】を付与された鋼鉄の剣を、クレイは【魔力撃】の効果が自動的に発動するショートソードと【衝撃緩和】が付与された盾を購入して行った。
支払いは少し足りなかったので分割。
またそのうち俺たちが戻ってきた時に受け取ることでよしとした。
正直タダでもいいけど友達だからこそそこはしっかりするべきだろう。
大鷲亭で1泊して翌朝、俺たちは改めて冒険者ギルドへと向かうことにした。
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