第69話 休息

 ボス部屋の奥の扉を潜るとそこはもう何度も見た景色、安全地帯だった。


「あんな大物倒してもまだ終わらないのか」

「何階層まであるんスかね?」


 ウルトに僅かでも傷を付けるような魔物を倒したのに終わらない、この後どうなるのか皆口々に話している。


「まぁ今日はもうここで終わろう。ウルトに進んでもらいながら睡眠をとる案も考えたけど、この先何があるか分からない以上ここで全員で休むべきだと思う」

「あたしも賛成ね、みんなが、特にクリードが寝てる時にウルトが苦戦するような魔物が現れたらと思うとゆっくり眠れないわ」

「そうですね。私もその方がいいと思います」


 全員の同意が得られたので決定、今日はここで英気を養おう。


「という訳でミノタウロスを出します」


 ウルトから降りて適当な位置でミノタウロスを取り出す。


「何がという訳なの?」


 ウルトから降りる時に一緒に着いてきたケイトが覗き込んでくる。


「食べてみようと思って」


 まずは角とか牙とか爪を【無限積載】に積み込みます。

 続いて――とどんどんミノタウロスを解体、最終的にはいくつかの大きな肉塊となった。


 えっと……あれがハラミでこっちが肩ロースかな? カルビってどこ?


 再び【無限積載】を使用して肉塊をイメージ通りのサイズにカットしていく。

 これでよく見るステーキと同じくらいのサイズだ。


「それ焼くの?」

「うん。ケイトも食べてみる?」

「もちろん!」


 よし、ならもう1枚用意して……

 いや、まずはお試しだしこの1枚を半分ずつ食べてみようか。


【無限積載】から日本でトラックに積んでいた物を取り出す。

 カセットコンロ、フライパン、塩コショウだ。

 他にもこの世界で手に入れた皿、ナイフ、フォークも出しておく。


 変態先輩に食費を抑えるには車内で自炊したらいいよと教えられて揃えたものだが使ったことは無い。


 うろ覚えな美味しいステーキの焼き方を思い出しながら1枚焼き上げて半分に切り分けてケイトに渡す。


「ウルト、【解析鑑定】で毒無いか確認頼む」

『問題ありません』

「よし、なら俺が先に食べるから、何か変化があったらウルトはすぐに報告頼む」

『かしこまりました』

「分かったよ」


 1口大に切り分け口に運ぶ……美味い!

 ウルトを見るが異常は無いようだ、なら大丈夫か。


「うん、美味い! 大丈夫そうだからケイトも食べてみて」


 頷き1口食べるケイト、噛んだ瞬間目を見開き固まった。

 口に合わなかったのかな……と少し不安になった途端にケイトはものすごい勢いで食べ始めた。


「クリードくん! おかわり欲しい!」

「はいよろこんでー」


 俺たちのそんなやり取りを見ていたのかサーシャたちも降りてきてステーキ試食会に参加、全員が余りの美味しさに驚き大量の肉を焼く事になった。


『マスター、ここまでの侵攻でかなりレベルが上がっておりスキルも獲得しております』

「そうか……なら今のうちにステータスを確認しておこう、ここまででかなりレベルも上がってるだろうしみんなも確認してみてくれ」

「そうね。あたしたち何もしてないけど……」


 確かに迷宮入ってウルトに乗り込んでから一度も降りてなかったな…


「ステータスオープン」



 ◇◆


 名前……レオ・クリイド レベル65

 職業……トラック運転手

 年齢……21

 生命力……A 魔力……B 筋力………A 素早さ……B

 耐久力……A+ 魔攻……C 魔防……B


 スキル

【トラック召喚】【トラック完全支配】【魔法適性(雷、氷、水、風、光、音)】【瞬間加速】【瞬間停止】【自己再生】【魔力吸収】【気配察知】【剣術(上)】【直感強化】【知覚強化】【剛腕】【魔力視】【魔力撃】【無限積載】【堅牢】【空歩】【弱点看破】


 ◇◆


「おぉ……」


 レベル65……なんか耐久力のAの横に+付いてるんだけど……


「すごいわね、スキルの数も多いし……もしかしたら勇者にも負けないかもね?」

「どうだろうね? 俺の力ってウルト頼りだし、やっぱり世界を救う本物の勇者はもっとすごいんじゃない?」


 基本的には勇者パーティではポーターだろうし、荷物運びながら色々出来るよって感じだと思う。

 だから純粋な勇者には勝てないと思うんだ。


「そんなことないと思うけどね。ステータスオープン」



 ◇◆


 リン・ヒメカワ レベル54

 職業……大魔道士

 年齢……27

 生命力……B 魔力……A+ 筋力……C 素早さ……C 耐久力……C 魔攻……A+ 魔防……A


 スキル

【魔法適性(聖属性除く全て)】【魔力極大ブースト】【トリプルマジック】【魔力吸収】【魔力感知】【魔法威力上昇(極)】【合成魔法】


 ◇◆


「リンこそ勇者パーティの大魔道士って言われてもおかしくないんじゃない?」


 なんだこれ?

 俺はA+は耐久力だけなのにリンは魔力と魔攻がA+だぞ?

 明らかに俺より強いだろこれ。


「すさまじいわね……これ、あたしに扱えるのかしら……」


 リンは自分のステータスを見て戦々恐々としている。

 まぁえぐいもんなこれ。


「次は私ですね。ステータスオープン」



 ◇◆


 サーシャ・ライノス レベル42

 職業……聖女

 年齢……17

 生命力……B 魔力……A 筋力……C 素早さ……C 耐久力……C 魔攻……A 魔防……B


 スキル


【魔法適性(聖、光、空間)】【聖なる護り】【聖女の祈り】【魔法効果上昇】【浄化の光】【聖浄化結界】【ツインマジック】【魔力ブースト】


 ◇◆


 レベルも大幅に上がっておりステータスもバランスよく上がっている。

 スキルも2つ増えていてサーシャの対応力がグッと上がっているのがよく分かる。


「ステータスオープン」



 ◇◆


 ソフィア レベル48

 職業……槍闘士

 年齢……22

 生命力……B 魔力……D 筋力……B 素早さ……A 耐久力……B 魔攻……E 魔防……C


 スキル

【槍術(上)】【身体強化】【気配察知】【騎士の矜恃】【剛腕】【疾風加速】【弱点看破】【魔力撃】【見切り】【隠密】


 ◇◆


「お、職業変わってる……」

「私が中位職に……」


 ソフィアは一般職の戦士から昇進している、それもあってかステータスは大幅に上昇、スキルも進化していたり新たに習得していたりと攻撃力にさらに磨きがかかった形だ。



 ◇◆


 アンナ レベル45

 職業……重戦士

 年齢……19

 生命力……B 魔力……D 筋力……B 素早さ……C 耐久力……A 魔攻……E 魔防……B


 スキル

【剣術】【盾術(上)】【鉄壁】【衝撃緩和】【不動】【攻撃反射】【挑発】【防具強化】【防具軽量化】【気配察知】【見切り】


 ◇◆


 続いてステータスを開いたのはアンナ。

 アンナも戦士から重戦士に昇進しており耐久力がAに、生命力も上がってさらなる防御力を手に入れたようだ。


 スキルもタンクらしいスキルを習得しておりとても頼りになりそうだ。



 ◇◆


 ケイト レベル50

 職業……剣闘士

 年齢……21

 生命力……B 魔力……D 筋力……A 素早さ……A 耐久力……B 魔攻……E 魔防……C


 スキル

【剣術(上)】【剛腕】【疾風加速】【堅牢】【見切り】【毒耐性】【アイテムボックス】【魔力撃】【弱点看破】【気配察知】【直感強化】【知覚強化】【身体強化】【乾坤一擲】


 ◇◆


 最後にケイト、こちらも大幅にレベルが上がったことによるステータス上昇、さらに多岐にわたるスキル、これは勝てる気がしない……


「乾坤一擲?」


 それに見たことの無いスキルを取得している。

 乾坤一擲ってなんだっけな? 全てを掛けた伸るか反るかのギャンブルだった気が……


『【乾坤一擲】は残っている全魔力と生命力の大半を使って大幅に身体能力を上げる最後の手段になりうるスキルです』


 考えているとウルトが答えを教えてくれた。


「普段は使えないね、ここぞと言う時の僕の切り札だね」


 自分のステータスを眺めながら呟くケイト。

 このステータスでさらに上昇させられるって普通に驚異的だよな……


 全員のステータス確認も終えたので就寝とする。

 この先どうなっているのか、不安もあるけど興味も湧いてきた。

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