第28話 異世界でお風呂
翌朝。
朝食を終えてから、先ずは早速お風呂の改善に取り掛かる事にした。
と言っても、クネクネと長い筒の中で水を熱する箇所に手を入れるのは大変そうなので、発想を変える事にした。
「えっと、セシリア。また筒を伸ばすの?」
「えぇ。でも、こっちのはお湯にする前の冷たい水を出す筒なの」
「んーと、お湯と水の両方を注ぐのかな?」
「そういう事! お湯の温度を丁度良くするのは大変だから、お湯と水を混ぜられるようにすれば、その時の気分や外の気温に応じて温度が調整出来るもの」
という訳で、川の上流にある滝から採取している水を、洗濯機とお風呂のお湯とお水の三か所へ分けるようにした。
もちろん、それぞれにスライド式の蓋を付けていて、お湯や水を出す量を調整出来るようにしたからね。
これで、ついにお風呂へ入れる!
まだお昼前だけど、服を脱いで、良い感じにお湯を張ったお風呂へ。んーっ! 気持ち良いっ! やっぱり日本人はお風呂よね!
「ヴォーロスも一緒に入るー?」
「え? 温かいんだよね? 寒い冬なら考えるけど、今はいいかな」
大理石の浴槽は、かなり大きめに作ったので、ヴォーロスも余裕で入れるんだけど、断られてしまった。
熊さんって、温泉に入るイメージがあったんだけど……入るのは、お猿さんだっけ? それともカピバラかな?
「そっかー。セマルグルさんはー?」
「我も水浴びで大丈夫だ」
ヴォーロスはまだ入ってくれそうだったけど、セマルグルさんは全く入ってくれそうにないか。
セマルグルさんは翼が生えていて、顔は鳥さんっぽいけど、身体はライオンっていうか猫系だもんね。
お風呂が嫌いなのかも。
久々のお風呂を満喫し、リフレッシュした所でお昼ご飯の準備に。
昨日は、タコ焼きが熱くて火傷させてしまったので、今日は冷たい料理に挑戦してみる事に。
メインは……小麦粉とトマト!
先ずは、小麦粉と少量の塩をボールに入れ、
「セシリア。それは、昨日の熱い料理なのか?」
「あ、違う違う。今日は冷たい料理だから。心配しないで待っていてね」
昨日の火傷が辛かったのか、セマルグルさんがチラチラ様子を伺いに来た。
笑顔で大丈夫だと念押しして、次は卵とオリーブオイルとお水を入れて、混ぜていく。
「ほう。昨日は液体だったのだが、ほぼ同じ材料だというのに、今日は固体なのだな」
「入れている水の量が違うからね。で、この生地を暫く寝かせておいて、その間にサラダを作るわよー。セマルグルさんは、どのお野菜が好き?」
「う……く、果物だな」
「ダメでーす! ちゃんと野菜も食べましょうねー。……という訳で、レタスにブロッコリー。それからアスパラガスに……」
「せ、セシリア。食べる! ちゃんと野菜も食べるから、その辺にしておいてくれ」
セマルグルさんが、あまり野菜が好きではなさそうな気がしたけど、ピザは美味しそうに食べていたのよね。
チーズと絡めると大丈夫なのかな?
とはいえ、今日は普通にサラダだけど。
そんな事を考えながら、寝かせておいた生地を麺棒で延ばす事に。
ちゃんと打ち粉をして、生地を伸ばしたら、折りたたんで細長くなるように切っていく。
そう、今回作るのは冷製パスタ!
小麦粉に混ぜる物を変えれば、うどんも出来そうだけど、ダシがないのでトマトを使ったパスタを作る事にしたんだー。
出来た生パスタを茹で、冷やしてからトマトと和えれば……
「出来上がりっ!」
「うむ。冷たいが、しっかり味があって……旨いぞっ」
「美味しいね。あ、セマルグルは、セシリアが作ってくれたサラダを残さないようにね」
良かった。
ヴォーロスもセマルグルさんも、熱すぎる料理はダメなのね。
ピザも焼きたてだったんだけど……タコ焼きを一口で食べたのがダメだったのかな?
とりあえず、また一つ異世界で作れる料理のレパートリーが増えたわね。
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