第9話:諸行無常か・・・。

俺は寧々ちゃんのおかげで大出世した。

高級マンションに住んで、やりがいのある仕事にもついた。

でも、自由と引き換えに忙しさに追い回される結果になった。


それがいいのかどうか今の所分からないけど、寧々ちゃんとミッチーとピーチ姫は

とりあえず養っていける。


で、ミッチーだけど無事就職に成功したみたいだった。

やっぱり将来、神主になるのが夢なんだそうだ。

ずっと就職活動を続けている中、以前お世話になったって言う知り合いの神社から

うちに修行に来ないかって誘われたらしい。


けっこう有名どころの神社で、正月にはたくさんの人が初詣に来るらしいし、

子宝の神様でもあるらしくて、安産祈願や七五三のお祝いにたくさん

参拝客が訪れるらしい。


で、そこの神社、神主さんが体調を崩してしまって最近ではお勤めもままらない

ってなって神社の後継が必要だろうってことになって、ゆくゆくはミッチーにその神社の神主として継いで欲しいってことらしい。


よかったじゃないかミッチー、これってきっとピーチ姫のおかげだよ。


まあ、修行の間は、しばらくはここから神社に通えばいい。

神社に寝泊まりじゃ、ピーチ姫が可哀想だからな。


なにもかも、トントン拍子でちょっと怖い気がするけど・・・。


で、俺はまた、古民家の取材で、ふたたび三重県に来ていた。


その後ご神体「寧々ちゃん」が祀られていた後がどうなったか知りたくて

白瀧大明神しらたきだいみょうじんに寄った。

その日は休日だったにもかかわらず白瀧さんは、参拝客すらもいなくて、なんとなく暗くて裏寂しい感じがした。

以前来た時より、落ちぶれてきてるのかな?


俺は一応参拝してから、ご神体が祀ってある格子の囲いの場所に行ってみた。


そしたら神玉の代わりに、なんとボーリングの玉が置かれてあった。

なんじゃそれ・・・ありがたみもなにもないだろ・・・。

白瀧さんはいつからボーリング神社になったんだよ。


あ〜そうか白瀧さんから、寧々ちゃんがいなくなったから、この神社

落ちぶれてきてるんだって俺は思った。


寧々ちゃんを返したほうがいいんだろうか?


でも寧々ちゃんは絶対帰りたがらないだろうしな・・・もう閉じ込められるのは

まっぴらだろうし・・・これもそれぞれの運命だよな。


まあ寧々ちゃんがご神体の時は、この神社も繁栄してきたんだろうから

その時は栄華に溢れてたんだろう。


諸行無常か・・・。


俺は虚しさをそこに置いていくように白瀧さんを後にした。


そのことをマンションに帰って寧々ちゃんに話した。


「そう、可哀想だね、白瀧ちゃん」

「でも、私はもどるつもりないからね」

「こんな天然記念物的美少女が、ご神体なんかにされて閉じ込められるなんて

もったいないでしょ」


「ここでイッ君とラブラブしてるほうがいいもん・・・幸せだもん」


「ああ、そうそう私、明日くらいから脱皮するから・・・」

「大丈夫、押入れの中でするからね」

「たぶん、一週間くらいかかると思うから脱いじゃうまでエッチは辛抱してね」


「俺は盛りのついた猿じゃ無いんだから、一週間くらいなくたって平気だよ」

「そうか脱皮か・・・いいよ押入れなんか使わなくても・・・」

「そこのリッチなソファー使えばいいじゃん」


「なんかさ・・・脱皮してるとこ俺も見てみたし・・・」

「見世物じゃないからね・・・でも皮を脱いでるときはエロい声だすかも」

「皮を脱いだ途端、イッ君を襲っちゃうかも」


「まあ、その時は受けて立つから・・・」


「あのね、脱皮が終わったら、私ますますエロくなるからね」

「覚悟しといてね、イッ君」


そうか・・・ますますエロくなるのか・・・俺仕事もこなさなきゃいけないし、

寧々ちゃんの相手もしなきゃいけないし・・・ ジムにでも通おうかな・・・

このままじゃ 体力もたないよな・・・


で、寧々ちゃんが言ったとおり脱皮が終わったと同時にさらにエロくなった。


仕事も私生活も充実してたんだけど、俺は気付かないうちにこの生活が

精神的負担になっていった。

仕事は常に忙しくてストレスが溜まりっぱなしだった。


な、もんで俺はそのストレスのせいで倒れた。

気がついたら病院のベッドだった。

息もできないくらい苦しくて、動悸息切れ、めまい吐き気、最初なにが原因か訳も

分からず気を失って、それで救急車で運ばれたらしい。


精密検査の結果、体に異常はなく自律神経の乱れ、精神的なところから来る

「ストレス性障害」だろうって言われた。

で、自律神経の薬をもらった。


これ異常のストレスは避けるようにって医者に言われた。

それからも俺は時々、発作に襲われるようになった。

精神と肉体のバランスが保てなくなっていたんだ。

だから、しばらくは寧々ちゃんとのセックスは控えなくちゃならなくなった。


で、寧々ちゃんは、すこぶる不機嫌になった。

でもそんな俺の精神的乱れを、癒してくれたのは寧々ちゃんの献身的な看護

だったんだ。


第10話があれば、続くと思います〜。( ´ ▽ ` )ノ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る