第7話:お世話になります。
俺んちに神主の卵だって言う
「で?君達・・・その白瀧大明神さんの宮司さんに頼まれて、寧々ちゃんを
取り戻しに来た訳? 」
「だとしても寧々ちゃんは返さないからね」
「寧々ちゃんは自分の意思で俺んちに来たんだから・・・」
「私、白瀧さんには帰らないよ・・・」
「あんな陰気臭いところに閉じ込められるのまっぴら」
寧々ちゃんが俺の後ろからそう言った。
「はあ、まあたしかに神社とかお寺ってちょっと暗いイメージですもんね」
「でも安心してください、たしかに宮司さんには頼まれはしましたが私に、
その気はありませんから・・・」
「なんせ私は修行の身でありながら、こともあろうに桃瀧さんのご神体の桃蛇、
桃香ちゃんと、その親しい関係になってしまいましたから」
「駆け落ちみたいに出てきたので、今更桃瀧さんに帰れません」
「神主になるのやめちゃうの?」
「あんた、なかなかのイケメンさんだから、神主になったら、女性の参拝客
いっぱい来るんじゃないの?」
寧々ちゃんがそう言った。
「いや〜そういう、よこしまな考えで神主にはなれないでしょ?」
続いて俺が言った。
「あのさ、あんたら親しい関係って・・・綺麗に言っちゃってるけど、要は
恋人同士なんだろ?、または愛人関係?・・・ 」
「愛人関係ってそういう言い方したら、なんか浮気してるみたいじゃないですか」
「私たち、独身同士ですよ」
「で、もうやっちゃったのエッチ」
また寧々ちゃんが聞いた。
「はあ、それは・・・まあ・・・」
「そうか・・・じゃ〜桃瀧さんには帰れないわな」
「どこかに家でも借りてふたりで細々と暮らすの?」
また寧々ちゃんが言った。
「あ〜桃香ちゃんを連れて急いで桃瀧さんを出てきたので無一文です」
「なんの準備も、なんの計画もたってないので・・・ですね」
「なので、図々しいようですけど、こちらにしばらく居候になろうかと・・・」
「なんだって?、俺んちで暮らす気?」
「はあ・・・お世話になります」
「お願いします」
そう言って桃香ちゃんが頭を下げた。
「まだいいって言ってないし・・・」
「一度にふたりも?」
「やっぱりダメですかね」
「まあ・・・いいけど困ってる時はお互い様だからな・・・」
「え〜そんなのダメだよ・・・」
「なんでよ、困ってるんだからいいじゃん」
「寧々ちゃんだって自分のことだって思ったらダメだって断られたら
落ち込んじゃうだろ?」
「妹がお願いしますって言ってるよ、寧々ちゃん」
「だって・・・ふたりがいたら、ゆっくりエッチできないもん」
「え?拒否ってる理由ってそれ?」
「あ、私たちはお構いなく、もしその日になったら、言ってくだされば
外出しますので・・・」
「そんなこと言ったら、あなたたち毎日、一日中外に出てなきゃいけないよ?」
って寧々ちゃんはとんでもないことを言った。
「まてまて・・・俺にだって仕事もあるし、休みたいときもあるわ・・・」
「一日中寧々ちゃんの相手をしてたら、俺いつか死ぬって」
「分かった・・・じゃ〜1日交代にしてあげる」
「それでも多いわ・・・せめて一週間に一回くらいにしてくれよ」
「そのくらいなら欲求不満にならないからさ・・・」
「ず〜っとエッチばかりしてるわけにはいかないの、分かった?」
「ぐすん・・・あなたがしてくれなくても・・・」
「いいの、私ひとりでするから・・・」
「恋人どうしの危機だよ・・レスだよレス・・・」
「レスって・・・まったくしないって言ってるわけじゃないだろ」
「なんでそんなに極端なんだよ・・・中を取れよ、ったく」
「あの、すいません、私たちのことは」
菅原 道之助君が、俺たちのノロケにしびれを切らして発言した。
「あ、ごめん、ごめん・・・しかたないな。
金もない、行くとこもないんじゃ放っておけないもんな 」
「だから、これから俺んちにいていいよ」
「だけど菅原さん、もう神主になること諦めたんなら、ちゃんと仕事
見つけなよ」
「男として自立しなきゃ桃香ちゃん養っていけないよ」
「分かりました、がんばります」
「よろしくお願いします」
そう言ってまた桃香ちゃんは深々とお辞儀した。
(妹のほうが姉ちゃんより性格よさそうだな・・・)
「お姉ちゃん、よろしくね」
桃香ちゃんは寧々ちゃんのほうを見てにっこり笑ってそう言った。
「可愛い妹だもんね・・・ほうってはおけないよね」
「分かってるわよ・・・私、最初っからそのつもりでいたんだから」
(うそつけ・・・エッチできないってゴネたのはどこのどいつだよ)
ってことで菅原道之助さんと桃蛇の桃香ちゃんは、俺と寧々ちゃんと
一緒に暮らすことになったんだな。
もっと広いマンションに引っ越したいよなって、その時俺は思ったんだ。
そしたら、なんとそれが現実になるようなことが起きたんだよ。
寧々ちゃんのおかげで・・・。
もし第8話があるなら、つづくと思う。
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