第3話:もう、勘弁してくれ、うんざりだわ。

「そんなことより・・・ねえ、エッチしようよ・・・潤い欲しくない?」

「束の間の快楽欲しいって思わない?」


「蛇となんか・・・白蛇となんかエッチできるわけないだろ」

「エッチなんかしてる最中に気持ちよくなって白蛇に戻ったらどうすんだよ」


「もどらないよう努力するから・・・」


「ダメダメ・・・」

「それにまだ仕事残ってるからね、俺・・・だからダ〜メ」


「あのさ、俺だって男だから、これが人間のおネエちゃんで、これだけ誘惑

されたら、そりゃニャンニャンしてるかもしれないけど・・・」

「蛇とは・・・あ、白蛇とはその気にならないの」

「いくら人間に化けてたって・・・」


「だって〜・・・」


「ああ〜背中をなでるなって・・・」


「もう・・・耳元に息吹きかけるなって・・・やめろって」

「しつこい!!」


「私って魅力ない?」


「そんなことないと思うけど・・・」

「理性失うほどいい女だと思うよ、寧々ちゃんは」


「ほんと?」


「けど、まだ失ってはないからね・・・俺」


「失っちゃいなさいよ・・・早めに」


「だから白蛇で人間の女に化けて、でもって仙人の術とか使えるなんて・・・

それってもう妖怪じゃん」


「妖怪って・・・そんなふうに思ってるの、私のこと」


「まあ、妖怪ってのは言いすぎたけど・・・」

「でも、みたいなもんだろ?」


「みたいなもんって、今度は何者かも特定されないんだ」

「ひどいよね・・・イッ君についてくるんじゃなかった」


「そうだろ?、俺なんかといたって、つまらないぞ・・・だからとっとと

帰れ、白瀧大明神しらたきだいみょうじんに・・・」


「やだ・・・帰らないって言ってるでしょ」

「あんなつまんないところに帰ってなにするの?」

「あの木の格子の中でばばあになるまで参拝者のご機嫌とってろって言うの?」


「一度でてきちゃったから、もうご神体でもなんでもないからね、私」


「ってなるとやっぱり妖怪だな・・・」


「妖怪じゃないって言ってるでしょ、バカ」


「もうさ・・・俺にまとわりついてばかりいるから、俺だってどうしても

心にもないこと言っちゃうんだよ」

「つうかさ、今日は、ナナちゃんのせいでぜんぜん仕事になんないよ・・・」


「え?ナナちゃん?・・・ナナちゃんって誰?」


「あ、間違えた?」


「ナナちゃって、イッ君の彼女?」

「彼女だから、私の名前、間違えたんでしょ」


「違うって・・・彼女なんかいないよ・・・」

「ナナちゃんてのはネットで知り合った友達・・・それだけ」

「つい出ちゃったんだよ・・・ナナちゃん、寧々ちゃん、ほら似てるだろ?」


「ほんとに?」


「あのさ、もし俺に彼女がいたって寧々ちゃんには関係ないことだろ」


「・・・・・」


「え?・・もうなに泣いてんだよ・・・そのくらいのことで」


「私のことなんかどうだっていいんだ・・・」


「なんで、そういうことになるんだよ」

「まるで寧々ちゃんが俺の彼女で俺が浮気して君を泣かしてるみたいじゃないかよ」


「そうじゃないの?」


「あのな・・・」

「もういい・・・俺もう、風呂に入って寝るから・・・」


「え?もう寝ちゃうの・・・私をほったらかしにして?・・・

ニャンニャンもしないで?」


「ニャンニャンもワンワンもしないの・・・」


ってことで、俺はエロ〜い寧々ちゃんをほったらかしたまま

とっとと寝てしまった。


もう、勘弁してくれ、うんざりだわ・・・。


そして次の朝、俺は目覚めてびっくりした。

俺のすぐ横に、デカめの白蛇が寝てたからだ。


目の前の光景を見て俺は、自分がビビるのかと思った。

寧々ちゃんの本体をはじめて、まじまじと見たからね。

でも不思議にもそうはならなかった。


まぶしいくらいの真っ白な蛇、でもって白いんだけど虹色に輝くウロコ。


とても神秘的で綺麗だと思った。


俺が起きたもんだから、白蛇の寧々ちゃんも目を覚まして、俺のほうを見て

赤い舌をペロっと出した。

で、はっと気がついたのか・・・徐々に人間の寧々ちゃんに変わっていった。


「ごめん・・・油断してた・・・びっくりしたよね」

「1000年も閉じ込められてたから人間になる能力も衰えてきてるのかな」


「目が覚めたら俺の横にいるんだもん、でかい蛇が・・・あ、白蛇が」


「もう白蛇にもどらないようにするから」

「見たんだよね、私の本当の姿」

「昔話だったら正体を見られたら、その場から立ち去るってパターンよくある

話なんだけど。私は出て行かないからね」


「出てく理由ないし・・・」

「でも、ごめんね、驚かせちゃって」


「うん・・・まあいいいけど・・・って言うか」

「たしかに俺、爬虫類は苦手だし、もろに蛇なんか見たらビビっちゃう

ところなんだけど・・・なんだろ」

「白蛇の寧々ちゃんを見ても、嫌だって気がしなかったな」


「むしろ神々しいって言うか、めっちゃ特別感あるっていうのかな」

「神がかりな生き物って、近寄りがたいオーラを放ってるんだって思った」


「人知を超えた生き物って、神秘的なんだよな」

「俺、そういうのにめちゃ弱いんだ」


第4話がもしあるなら、つづくのじゃ。

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