第2話 群星圏へ
文明は、今や星を跨ぐ。
遥か昔、人類と呼ばれる二足歩行の生命体は母なる星を抜け出し、革新的な技術を有した宇宙船と、超大容量通信による人体転送技術によって星々を超え、その生存圏はかつて天の川銀河と呼ばれた銀河系を抜け、生存に適した星系を発見するに至る。
長きに渡る放浪の時代は数万年に及び、母なる星で培われた文明の大半は無意味なものと化し、新たに住み着いた星々に適した文明へと変化していく。
やがて宇宙に散っていった人類は星を跨いだ文明を築き上げるようになり、今では国家や法律、通貨といった概念を取り戻すに至った。
そして、資源を巡る戦争、支配を巡る戦争をも。文明成立初期には星系全てを支配した王国が存在したとされているが、既にその国は滅び、幾百もの国に分たれている。
星々の間は宇宙船が通る安全な航路が設けられ、その道中には小惑星や人工衛星を基盤とした宇宙ステーションが設置され、宇宙間航行をサポートする。
もはや人類が宇宙を通ること、宇宙で生きることは常識となり、星系百億の人口の内、七億ほどの人口は宇宙ステーションやスペースコロニーを含めた宇宙空間内で生活している。
これは、そんな星系で繰り広げられた物語。
とある二人が、懸命に生きた物語である。
* * * *
エルと名乗った青年はセーナの傷に手際よく処置を施し、自身もまた内出血や骨折などの傷を負いながらも、顔色一つ変えなかった。
血に濡れたセーナが服を脱ぐとすぐに自分が来ていたミリタリージャケットを被せ、何らかの機械を使って穴の空いたタイヤを修理し、車を動かし始めた。
「追手はまだ来る。とりあえずこの星は離れた方がいい」
「……どこまで逃げても、追手は来るわよ」
「問題ない。俺がいる」
霧深き森を抜け、二人が乗る車はやがてどこまでも続く荒野を走り始めた。
道路もなく、稀に人類に敵対する怪獣にも出くわす危険地帯。オフロードタイヤでもなければ走行は不可能であったことだろう。揺れの激しい車内で、セーナとエルは言葉を交わす。
「あなたも負傷していたでしょう。傷は痛まないの?」
「問題ない。君こそ、今は休むべきじゃないのか」
「……休めるような、状況じゃ」
「疲れとストレスで倒れれば、逃げるどころじゃない。揺れが激しいなら、速度は落とす。せめて目を閉じていた方がいい」
エルという青年は初対面のセーナに対しても、特に敬語を使う様子はない。
だがその遠慮の無さが、今はありがたい。長い逃亡生活を続けたセーナにとって、信用に足るのは甘く優しい言葉ではない。利害関係によって結ばれる協力関係の方が、よほどストレスなく相手と接することができる。
手際よく傷を手当し、そっけなくも労わる様は確かにセーナを逃がしてくれる味方のようだ。
だが、セーナは彼を知らない。彼の力を、思惑を、行き先を。
眠気と倦怠感を振り切り、セーナは疑問をぶつけることにした。
「あなたは何者? 本当に『ブレイド』なら……なぜ、私を助けるの」
「俺は裏切り者だ。君と同じ……『システム』の、裏切り者だ」
特務機関『システム』。
現在の宇宙文明が成立する頃から存在するとされる、特定の国家に属さない秘密結社。
機関の長はおらず、七人の最上位構成員『
そして六年前、新たに作り出された特殊な構成員。特殊兵器『ヴェイルスーツ』を与えられた、戦闘能力特化のエージェント。
それこそが『ブレイド』。エルや、先ほど戦ったジェイルを含めた、超人的な戦闘能力を有した怪物たち。
「俺の目的は『システム』の壊滅。全てのブレイドと七星を殺すことが、俺の目的だ」
「……正気じゃない。たった一人で、『システム』と戦い続けたの?」
「既にブレイドを十人殺している。さっきのを含めれば十一人だ」
淡々と告げられた数字に、思わず体を強張らせた。
人を殺すということ。残酷に生きる者たち、戦いに生きる者たちであれば、それは決して縁遠いことではない。
だが、返り血は人間の根源的な部分に浸透していく。生まれながらに戦場に生き、死を間近に置く強靭な精神を持った者であっても、その不快感を真の意味で払拭できた人間などいない。
セーナの手には、今でもブレード越しに人間の肉を断ち切った感覚が残っている。脈打つ肉を断ち、飛び散る血飛沫を浴びた血の香りが、毒のように今でも心を蝕み続けている。命を狙われていることの緊張感と、惨めに逃げ続けてもなお生きていく強い意志がなければ、既に人としては狂っていたに違いない。
_____それを、彼はまるで。
「俺は、君を利用している。君といれば、自ずとブレイドが近づいてくるからだ。俺は君を守ると同時に、囮として使わせてもらう」
「……分かったわ」
「信用するのか。いきなり現れて、君を利用すると言った人間を」
「いいえ、信頼する」
エルはバックミラー越しにセーナの瞳を見た。鏡越しに、2人の目が合う。
「あなたが何者かは知らない。でも、あなたの強さと、血に染まったあなたの手を……信頼します。ブレイド・エル」
「分かった。ついて来てもらおう、セーナ」
車は荒野を駆け、やがて小高い丘の上に辿り着いた。
そこにあったのは、一機の宇宙船。鋼の翼を持った鷲を連想させる、鋭く力強い姿。
宇宙船としては簡易的なものであるように映るが、搭載された兵器やエンジンの機構からして、通常の民間機の域は遥かに超えた機体であることが分かる
「群星圏へと向かう。追手を撒くためにアンダーグラウンドの道を使うが、構わないか」
「分かった。どこへでも逃げ延びてみせるわ」
宇宙船のハッチが閉まる。
翼をはためかせることなく、空を駆る鷲は宇宙へと羽ばたいていった。
* * * *
群星圏。
星々を繋ぐように偏在する、小惑星と瓦礫、デブリの海。
そしてこの星系を統一し支配していた超古代の王国の残骸が色濃く残る、遺跡の帯でもある。
中には小惑星を改造して作られた宇宙ステーションや小型のスペースコロニーが点在し、その間を数々の宇宙船が行き交う。停泊地の存在は宇宙船の行き来を容易にし、星を跨いだ交易の中心となった。
星々を開拓する
中には小惑星やデブリの密度が濃く航行が難しいエリアもあるが、そういったエリアはアンダーグラウンドの犯罪組織、密航者の道にもなっており、『案内人』と呼ばれる専門の探索者がいなければ航海は難しい。
そんな危険なエリアを堂々と、銀の鷲は進んでいた。
『初めまして、僕は
宇宙空間での航行が安定し席を立っても大丈夫になった途端、突如丸い形をした単眼のロボットが陽気な声と共に現れた。人が抱えられる程度の球体に、たった一つだけ取り付けられたカメラ。顔と取れるものがないにも関わらず、純朴な少年のような眼差しに感じるのは、このロボットが持つ独特な雰囲気故だろうか。
「えっと、初めまして。私はセーナよ」
『セーナというんだね! エルの宇宙船に客人が来るのは久しぶりだ。乗ってくれて嬉しいよ』
「OS、許可なく話しかけるな」
『エルは基地に着くまでずっと黙ったままつもりなのかい? それじゃあセーナが可哀想だ。ちゃんともてなしてあげないと! そうだ、疲れただろうし、まずはご飯を作ってあげるよ、ちょっと待ってね!』
「う、うん。ありがとう」
表情がないにも関わらず、恐らくOSはこの宇宙船の中では最も感情豊かであろう。体があればスキップでもしそうな軽快な動きで船内の倉庫へと入っていった。
「……迷惑なら黙らせるが」
「いえ、構わないわ。少しだけ楽になった」
「そうか」
現代の技術でも、人工知能はまだ人格を獲得するには至っておらず、宇宙船の操縦補助やロボットの運用、接客の補助といった用途で使われることが多い。
だが、OSには明らかに人間の、人格を持った者の雰囲気があった。
(ヴェイルスーツといいこの宇宙船といい、明らかに私の知らないテクノロジーが使われている。多分『システム』から奪ったものよね)
宇宙船の大半は《リブラ》という装置によって作動している。リブラは物体が存在する空間そのものを制御し、物体に働くあらゆる力学の効用を支配することを可能とする。これにより宇宙船は星の重力に囚われずに航行することができ、また宇宙空間を漂う夥しい数のデブリを自動的に弾くことによる安全性の確保も可能となった。
リブラの搭載された宇宙船は旧世代機のように噴出口を作る必要がなく、機体はコンパクトな球体、あるいは立方体の形をしていることが多い。
だが、この宇宙船には必要ないはずの翼が搭載され、エルが座る操縦室には複雑な制御装置が置かれている。リブラが搭載されていることは確かなのだが、一つ一つの機器がなんのために存在するのか、セーナには想像もつかない。
そして最も謎なのは、エルが纏っていた鎧である。森を破壊し尽くし、通常の兵器では傷ひとつつけられない怪物じみた戦闘能力を引き出す兵器、ヴェイルスーツ。
あのスーツがあれば、未開の星に生きる怪獣や人間の敵対種族を容易に倒すことができるだろう。
(あなたは一体、何者なの……エル)
信頼はしている。だがそれは、疑問が晴れたということではない。
『ブレイド』と呼ばれる存在が、戦闘に特化した特殊エージェントであることは知っている。だがどのような構成員がいるのか、そして彼らが使用する『ヴェイルスーツ』とは何なのか、セーナは何も知らない。
エルのことが知りたい。車の中の質問だけで聞けなかったことが、まだまだある。
その欲求は、この宇宙船に乗ったことでより強く、アルシーナの好奇心を動かした。
『お待たせ、高栄養ブレッドとクリームシチュー、それとフルーツジュースだよ! お肉と野菜もたくさん入っているから、栄養豊富だ。疲れた体によく沁みるよ』
「ありがとう。いただきます」
ストローで吸った果実のジュースは甘味料のない、獲れたての味がした。乾いた喉に染みる果実の甘さが、糖分を求める体によく沁みる。
シチューの温かさと、ほどよい柔らかさの肉と野菜。
高栄養ブレッドが満たしてくれる、空腹と疲れ。
腹を満たしたアルシーナの緊張感は、ここで途切れた。やがて操縦席の後ろから、規則正しい寝息が聞こえてくる。
「OS、席を倒してやってくれ。それと毛布を」
『了解‼』
恐らくセーナはずっと起きているつもりだったのだろうが、疲れは肉体の欲求を露わにする。程よい気温設定と、しばらくは敵が追って来れない距離に到達したことの安心感により、ついに睡眠欲が緊張感に勝った。
OSの体から生えた2対のアームが器用に動き、そっと優しく毛布を被せる。座席がゆっくりと倒され、寝心地を良くするために座席のシーツが膨らみ、柔らかなクッションとなって疲れた体を受け止めた。
端正な寝顔を一目確認しながら、エルは無表情のまま操縦を続けた。
「……寝れる内に、寝ておくべきだ」
* * * *
心地の良い眠りは、八時間程度で終わりを告げた。
『敵性感知、敵性感知。___敵性宇宙船十機の追跡を確認。搭載兵装の射程距離到達まで、残り四分二十一秒』
「もう追手が……⁉︎ 早すぎる、一体どうやって……」
「……あいつに、マーキングされていたか」
エルは戸棚にしまった、血に塗れたセーナの服を取り出す。
服の中を探ると、指先程度の大きさの発信機が見つかる。あまりにもか細い信号故に、OSによる探知を掻い潜っていた。
『済まない、エル。戦闘は避けられそうにない』
「この速度……『ブラックバード』か。システム御用達の宇宙戦闘部隊だ。撃ち合いじゃ確実に撃墜される」
僅かな戸惑いすら見せず、エルが操縦席に座る。
手慣れた操作で宇宙船の動きを制御し、銀の翼が広がる。
通常状態ですら並の宇宙船を遥かに超える速度で航行するエルの宇宙船は、瞬く間に戦闘機のような形態に移行。航行速度は世界に僅かしか存在しない大国の宇宙軍が有する精鋭の戦闘機に匹敵し、翼から噴射されるエナジーによる反動推進によって宇宙空間に一条の光を描く。
だが、『ブラックバード』という存在についてはセーナも知っている。システムの任務を遂行するためであれば、大国が持つ巨大戦艦すら撃墜してみせる最強の戦闘部隊。『ブレイド』が個人としての戦闘力で最上位であるとするならば、彼らは部隊単位において最強の存在。いかにエルが強力なブレイドであったとしても、太刀打ちできる敵ではない。
だが、エルは諦めるわけでも、自暴自棄になるでもなく、ただただ冷静に操縦を続け、やがて耳を疑うような手に出る。
「俺が迎撃する。OS、操縦は任せる」
『分かった。幸運を祈るよ』
「……え?」
まさかと思い何かの比喩であろうと考えたが、次にエルが行ったのは自身の武器___ヴェイルスーツの装着であった。
いかなる原理か、胸の中央に装着した機械に触れるだで、全身の肌から蠢く機械が湧き出し、エルの体を覆った。
「セーナ、君はOSの指示に従ってくれ。生き残れば、次のステーションでシャワーが浴びれるぞ」
「いや、そういうことじゃなくて! まさかあなた、一人で宇宙に出て、戦闘機と戦うつもりなの⁉︎」
宇宙空間の戦闘は、地上のそれとは文字通り桁の違う世界だ。戦闘機の速度は音速の数十倍、時には数百倍にまで及び、打ち出すミサイルや砲撃の射程距離に至っては単位が『光秒』___光が一秒間に進む距離、二十九万九千七百九十二キロメートルを一とした単位___に達する。
とてもではないが、人間一人が介入する戦闘ではない。
だが、エルはそれが当然のこととばかりに___そしてなぜか、セーナの目を見た。
「作戦がある。だが、俺一人ではできない」
「……私に、何かできることが?」
「ああ。君にしかできないことだ」
エルは端的かつシンプルに___それでいてセーナが信じられないような願いを、託した。絶句するセーナを置いたまま、エルは宇宙船の甲板上に出る。
迫りくる、黒き翼の群れ。宇宙船にかかる力場全てを支配する
『目標補足』
『了解。_____全機体、目標補足完了。これより殲滅に移る』
『群星圏対応型陣形の展開を開始。武装展開、用意』
機械じみた連携により、計十機の戦闘機が陣形を組む。どんな状態からでも、単一の目標を制圧する征滅者の爪が、光学で確認可能な距離まで迫ったエルの宇宙船を狙う。
「
OSの丸い体が操縦席に綺麗に収まり、システムがOSの運用に切り替わる。人工知能であるOSによる、高速演算を駆使した高機動状態。指先ほどの大きさのデブリの機動すら計算に含め、最適な飛行ルートを演算。示された道を、銀色の虹がかかっていく。
翼から噴射されるエナジーが勢いを増し、さらなる推進力が速度計を振り切った。最新鋭の宇宙船戦闘機の規格を優に超える高スペックの機体が、ついに本気を出す。
もし地上からこの様子が見えているとすれば、白い流星を追う十条の青き流れ星に見えたことだろう。
『攻撃開始』
ブラックバード、全十機がエルたちの宇宙船を攻撃射程範囲に捉えた。
計四十発のレーザー光線_____漂う小惑星程度であれば一条で切り裂くことのできる光が殺到する。大気による抵抗もない虚空の中、数百メートルにも渡る光の槍が光の速さの数%の速度で迫る。
狙いは正確。例え外しても、逃げ道を塞ぐように次の光が敵を貫く。一度放たれれば確実に敵を殲滅する、三百六十度度全方向からのレーザー。
レーザーが交わる。
衝突によって一点で交わったエネルギーの塊は一瞬、虚空の中に輝きを生んだ。
当たれば破片すら残らない破壊の光を浴びて_____それでもなお、銀の鷲は虚空を力強く羽ばたいていた。
「嘘でしょ、なんでこれで平気なの⁉」
『リブラ装置を使ってエルの能力を発揮しているんだ。どんな攻撃でも吸収してみせるよ』
そういえばエルはそんな能力を使っていたか。同じブレイドであるというジェイルの攻撃を無傷で耐えたあの能力を、この宇宙船に纏わせているとなれば、確かにそれは宇宙空間での戦闘において無敵に近いのではないか。
「正確な攻撃だな。この距離を十機全てが当てるか」
確かに必殺の攻撃を耐えた。だが、それだけだ。
同じ攻撃を、敵はここから何十回でも続けることができる。
攻撃を耐えられたことに一切動揺せず、間髪いれずにブラックバードの攻撃は続く。
『撃て』
陣形が変わり、続けて発射される光の槍。今度は二連続、計八十発のレーザーが打ち出される。螺旋を描いて渦を巻く破壊の光は再びエルたちの宇宙船を包んだ。
またもや、無傷。溜め込んだ衝撃は紫色の光となって機体表面に溜め込まれている。
「これ、このままずっと耐えられるの?」
「流石に限界はある。この威力となると……あと三回くらい」
「ダメじゃん!」
これまで見せることのなかったラフな言葉遣いを初めて耳にして、エルは一瞬だけ硬直した。そしてセーナもやってしまったとばかりに口元を手で覆う。
「……そのための作戦だ、必ず成功させる。そして……自分を信じるんだ」
「ええ、分かってる」
宇宙船の甲板上で自身の能力___衝撃の吸収を続けるエルは、やがて常人なら気が狂ったことを疑いかねない、常識外れと呼ぶことすら憚られる信じられない行動に出る。
それは宇宙を道とするこの文明においては、幼い子供であっても犯さないタブー。
宇宙という、あらゆる星のどの環境よりも過酷な世界において、絶対に犯してはならない生命線。
___すなわち、宇宙船との繋がりを、自ら切断し。
その体を、宇宙空間に放り出したのだ。
自身を殺さんとする、十機の死神の前で。
「エル……本当に、大丈夫なの……?」
『心配しなくていいよ、セーナ』
作戦を伝えられても尚不安がぬぐえないセーナに対し、微塵たりとも焦りを見せない___焦る機能がないだけかもしれないが___OSは気安く声をかける。
『エルはできるかできないかも分からないことに命を賭けたりしない。彼が”やる”なら、それは百%成功するということだ』
「……分かった。今は、彼に託します」
そして、セーナもまたOSに触れる。
己の役割を果たすために。
「そして、次は私が」
宇宙空間に放り出されたエルは、当然ながらブラックバードたちにとって次なる標的として定められる。元々乗っていた宇宙船のように高速で移動することはできず、だが重要な標的でもある。
エルがいなくなれば、宇宙船を守っている衝撃吸収能力は消えると推測されていた。守りの要が自ら打って出てくることの愚かさを、それでもブラックバードの隊員たちは笑わない。
元より人格調整によって表情を削ぎ落とされている故、敵を侮ることなどない者たちだが、それ以上に理性的な判断で宇宙船から離脱したエルに標的を切り替える。
その脅威度を、一段と上げて。
『対特異怪獣陣形を展開。ブレイド”エル”の討伐を開始』
エルの持つ異能、それらの情報は既にシステムに属する全武装組織、戦闘員に共有されている。
『あらゆる力学を吸収し、それらの指向性を制御する異能』。
ヴェイルスーツを通して使用される、何人ものブレイドを殺してきた異能。
その力が本気で牙を剥けば___本気で、どんな力であっても吸収するのだとしたら。
「______
今、第十二のブレイドがその力を晒す。
力をその手に。
今、宇宙は彼一人のために。
特異点が、生まれる。
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