第142話:三大ダンジョンへ

 エドワードの頼みにより、俺はカナン大帝国にある唯一のSSランクダンジョンへ挑むこととなった。


廊下を歩いていたらケイルと遭遇したので、両親に事の旨を伝えてもらうことにした。

レイには直接自分の口から言おうと思う。


コンコン。

「だーれ?」

「俺だ」

「アル兄様!?今開けるね!」

「おう」


ユートピアへ入り、諸々を説明した。

「なるほど~。じゃあスカーレット元第一皇女様の運命はアル兄様にかかってるんだね!」

「そういうことだ。というわけで、俺が帰ってきたら婚約してくれるか?」

「どういうわけかよくわからないけど、もちろん良いよ!!!シーちゃんと一緒に待ってるね!!!」

「ありがとな」


「じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃい!」


「スゥーハァー」

バタン。


俺はすぐに屋敷を飛び出し、エクスの元へ向かった。

「エクス。急だがSSランクダンジョンに行くぞ」

「ブルルル」


さすがは俺の相棒である。


カナン大帝国の地図を広げ、光で照らす。

「最もダンジョンに近い場所は……帝都か」


帝都に転移し南方向へ走る。朝には目的地に到着すると思うので、最寄りの冒険者ギルド支部に向かい、SSランクダンジョンの情報を貰いたい。


事前にいくつかの情報は仕入れているが、それでは心もとないからな。

ダンジョンにはこの世界とは別の理が働いている。

要するに今までの理屈が通じないわけだ。

ここは先輩たちが長い時間を掛けて集めてくれた情報に縋らせてもらおうと思う。


マジッグバッグの中を確認し、準備完了。

「よし、行くぞ」

「ブルルル」


転移のアクセサリーを握りしめ、魔力を込める。

すると視界が切り替わり、帝都の屋敷の庭に立っていた。


屋敷の柵をジャンプで跳び越え、第二正門へ向かう。

別邸は帝都の東側にあり、第二正門は南側にあるので割と近い。


帝国の首都なので夜も賑わっているわけだが、昼よりはマシである。

皆空気を読んで道を開けてくれた。

いや、急に現れたエクスにビビっただけかもしれん。


もちろん第二正門は閉まっているので、警備中の衛兵に声を掛けようと思う。

ここには帝都軍の騎士が数名常駐しているからな。

徐々に近づく俺に気が付き、ワラワラと集まってきた。


衛兵Aが槍を構え、立ちふさがった。

「誰だ、貴様!ここに何の用だ!?」

「悪いな、通してくれ。急ぎなんだ」

「何を言って……」


衛兵Bも気付いたようだ。胸にバッジを付けているので、ここの最高責任者かもな。

「巨躯を誇る黒馬に乗り、腰に不思議な剣を下げる冒険者……。ま、まさか」

「アルテだ」


俺は一応龍紋を見せた。


「やはりアルテ様でしたか!部下が不躾に申し訳ございませんでした。おい、すぐに門を開けろ!!!」

「「「はっ」」」


暗いから良く見えなかったんだろう。仕方がない。

逆にちゃんと仕事をしていて高評価である。


「アルテ様。何をされに行くのかだけお伺いしてもよろしいでしょうか。夜に門を開ける時は始末書を作製し、防衛庁に提出せねばなりませんので」

「ちょっくらSSランクダンジョンを荒らしに行ってくる」

「了解致しました。時間をとっていただきありがとうございます」

「おう。ご苦労さん」


防衛庁は最近発足された組織だな。

政府のお偉いさんに転生者が紛れ込んでいる匂いがプンプンするのだが、それはまた今度でいいだろう。


門を開けてもらい、きちんと整備された街道を走る。

道脇に商人のものと思われる馬車がいくつか停まっていた。

帝都に入り損ねた者達だろう。

なんか俺達だけ通して貰って申し訳ない。


馬達が、街道の真ん中を悠然と走るエクスに頭を垂れた。

「なぁ、エクス。もしやグルファクシって馬の王だったりするのか?」

「ブルル」

「そうか」


月の明りに照らされながら夜を駆ける。

大草原を横断し、森を抜け、川を渡り、山を越える。

魔物が寄ってきたら面倒なので若干闘気を解放し進む。

気が付けば天に日が昇っており、地平線が輝いていた。


そしてダンジョン……ではなく、最寄りの都市に到着した。

朝なので普通に中に入れた。


「ここはなんていう都市なんだろうな」

「ブルルル」


名前も知らないし、どこの貴族領なのかすら知らない。

都市として大きいのか小さいのかもよくわからん。

俺は普段バルクッドやら帝都やらに生息しているからな。

まぁダンジョン都市では無いことはわかる。

ただ近くに位置しているだけだろう。


ギルドは大きな看板を掲げてあるのでわかりやすい。

エクスはギルドに到着後、ぐでーっと寝そべった。


「何時間もありがとな。エクス」

「ブルルル」

たぶん疲れているのではなく普通にダラダラしたいだけだろうが、礼は大事だからな。


朝だから冒険者はあまりいない。

ダンジョン都市の場合は早朝からパーティの募集が始まるので、もっと賑わっていると聞く。


とは言え受付には何人か並んでいるので、俺も後ろに並ぶ。

「おい。あれって……」

「ああ、間違いねぇ。閃光様だ」

「いつかは来ると思っていたが、まさかこのタイミングで訪れるとは予想外」

「SSランク冒険者に常識は通じないって言うけど、こういう事なのね。それにしても……」


「「「「割と礼儀正しいのね(んだな)」」」」


「ぶっちゃけ、もっと横暴だと思ってた」

「あの年齢であれ程の実力があったら、普通悪徳貴族みたいな性格になるもんだよな」

「ちゃんと列に並んでるわ……」

「世界大会では猫を被っているわけではなかったのね。なんか意味深なピースしてたし」

「さすがは世界を代表するシスコンだぜぇ……」

「馬鹿野郎。血は繋がって無いから一応セーフだ」

「それもそれでちょっと……」


色々と言われているが、まぁいいだろう。


ついに俺の番が訪れた。

「ア、アルテ様!?帝龍祭お疲れ様でした。本日はどのようなご用件でしょうか」


受付嬢は一瞬驚いたが、すぐに冷静を取り戻した。

帝国の冒険者ギルドにはレベルの高い合格点を超える受付嬢がオールウェイズ働いているので助かる。


「SSランクダンジョンを荒らしにきた。必要な情報を教えて欲しい」

「ついに攻略するんですね。大陸三大ダンジョンの一つである“奈落の洞窟”を……!」

「ああ」


ちなみに大陸三大ダンジョンはアヴァロンの塔、ベヒモスの砂漠、奈落の洞窟の三つである。



~~~~~~~~~~~~~~~

【そこそこ重要なご連絡】


皆様お疲れ様です。作者です。

書籍を買ってくれた方々へ御礼を言わせてください。本当にありがとうございます!


ダンジョンの章が終わったら、アルレイのイチャラブ章を書こうと企んでおります。



~追記~


第2巻出したい(ボソッ)






レイ「みんないつもありがとねー!!!」







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