第5話 学校案内をしてもらう。
キーンコーンカーンコーン……
聞きなれないチャイムがなった。
その瞬間、クラスメイト達はバッと席をたち、ズンズンと私の方に歩いてくる。
やっと止まったと思えば、クラスメイト達は私の席をぐるっと囲い、みんな揃ってジーッと私の顔を見ている。
「え、ええと……?」
私はこういう時どうすればいいのか知らないため、オドオドしてみんなの顔をチラチラと見ていく。
「えへへ、照れるわ、そんなにジロジロ見られると。」私は笑いながら言った。
すると、クラスメイトたちは一気に口を開いた。
「やっぱ可愛い〜!」「美人すぎるでしょ!」「なんでこんな田舎に〜??」「モテるぞこれは」
私は恥ずかしくなって顔が熱くなった。
下を向いて、「ありがとうございます、」と呟いた。
みんなは、口々に「友達なろ〜よ!」「仲良くして〜!」だとか言ってくれている。
私は、またみんなの顔を見て、
「私なんかで良ければ、仲良くしてくださる?」
と言った。そしたら、みんなは顔をパァっと明るくし、「嬉しい!」と言ってくれた。
中には飛び跳ねて喜ぶ女の子もいた。
そんな子の方が可愛いと思う。私はその光景を微笑みながら見ていた。
その瞬間、太陽が群衆の中に入って来て、私に声をかけた。
「学校案内するから、来て。」
「え、あ、分かったわ。」
みんなは太陽に向かって「ぶー!」だとか「おい太陽〜!お前だけズリぃぞ」などと言っている。
教室を出て、人がまばらな廊下に出てから、
「太陽、ありがとう、」
とボソッと言った。太陽には聞こえてないだろうと思ったが、太陽の耳には届いていた。
「え、なんで?」
太陽は不思議そうに私の方に向き変える。
「私、あんなに人に囲まれるの初めてだったの。少し困っていたのだけど、太陽が来てくれてほっとしたわ。だからありがとう。」
私は太陽のように歯を見せてニッと笑った。
「俺がそうしたかったんだし……」
太陽はボソッと言った。そして顔を赤くして、背けた。
「ほら、行くぞ!まずは一階からだ!!」
「はーい!!」
私は太陽のテンションに釣られ、大きな声で返事をしてスキップをしながら着いていった。
「…それにしても、狭いのねここは。」
私が独り言を呟くと、太陽はクルッと振り返って驚いたような顔をした。
「学校が狭いって…嘘だろ……!?」
太陽は元から大きな目をもっと見開いているもんだから、私ははしたないが吹いてしまった。
「ふっ…そんなに驚くことでもないでしょう?」
「いや、だって……家よりでかいだろ学校は」
「え、えぇ、そうだったわ。」
自分の家、と言えば城なので、先日から住んでいるあの家のことをすっかり忘れていた。
危うく怪しまれるところだった……私はふぅ、と安堵の息を漏らした。
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