第2話 学校へ行く。
遂に地球の地上へ降り立った。
兎達は、「また三年後にお迎えにあがります。」とだけ残して、雲に乗って去っていった。
どうやら、この目の前にある小さな一軒家が、私のこれから暮らす場所らしい。
どう見ても狭すぎる、こんなんで3年間も暮らせるのだろうか。
不安になりながらも、扉を開ける。
予め、生活ができるくらいにはなっているようだ。
だが、今までは兎がやってくれていた家事や料理は、自分でやらなくてはならない。
私はまたしても不安になりながら、腕をまくった。
「大丈夫よ、お母様も何とかなったのだもの。まずは掃除から始めましょう!!!」
私はドンと腕を鳴らし、大きな足音を立てながらいくつかある部屋を見て回った。
ベットのある部屋、お風呂がある部屋、トイレがある部屋、キッチンとソファーがある部屋など、結構色々あった。
「これは……大変かもしれないわね。」
興奮して出た汗を拭った。
ひとりでこの量はキツイかもしれない……。
私は目の前にある掃除という課題から逃げ、兎が渡してくれた本を読む。この本には、地球で暮らす上で必要なことが色々と書かれているらしい。
私はその本を、日数をかけてくまなく、丁寧に読もうと思った。今日は、5ページ読もう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1 見た目について
地球上のニンゲン(ニホンジン)は、黒い髪に黒い瞳
白めの肌が特徴です。
下記の写真を参考に、見た目で月の人だとバレないようにしてください。
2 学校について
学校というのは、1つの校舎と呼ばれる建物の中で、同世代のニンゲンと共に学び、友情や恋愛に勤める場です。
3年間の間であれば、友達を作ることも、恋人を作ることも良しとします。
入学式は4月15日です。かぐや姫は4月16日に転入する事となっています。朝7時30分に"制服"と"ローファー"と"通学鞄"をもって登校してください。
2階の職員室に入り、田中先生を見つけてください。
地図は下記に記してあります。
3年間は、入学式から、卒業までの丁度です。
学べることを沢山学んでください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明日からテンニューセーだそうだ。
遂に私にもトモダチができるのだろうか。
ワクワクしながら眠りについた__
チュンチュン……
私はパッと目を覚ます。
今、朝の何時だろうか……6時ピッタリだ……
私はホッと胸を撫で下ろし、まだ寝起きの体でヨロヨロとベットを下りた。
そして、試行錯誤しながら制服を着る。
これで合っているのか不安だが、まあ大丈夫だろう。
……ここからが問題だ。
朝ごはんをどうするか。
今までは兎が美味しいご飯を作ってくれていたが、自分で作らないとご飯は出てこない。
幸い、食材は冷蔵庫とやらに入っているので、レシピ本を開いて、ある食材で作れるものを探す。
「ひいーーー!分からないわ!!」
レシピ本とにらめっこする事10分、やっと自分で作れそうなものを見つけた。
「目玉焼き、ね!わかったわ。このくらいやってやるわよ、だって私は姫だもの。」
卵を鉄板?に割り、ジューーーと音がする。
そこに蓋をすればいいとの事。
「なんだ、簡単じゃない。大したことないわ!」
私は浮かれてしまって、しばらくその場を離れて通学鞄を取りに行ってしまった。
すると……なんだか臭い匂いがする。
「なんなの……この匂い……まさか!」
嫌な予感がしてキッチンに走ると、真っ黒になった卵がいた。
「あぁ、やってしまったわ……」
私は苦くなった卵を口に頬張り、通学鞄を持って、ローファーを履いて家を出た。
「気を取り直してっ!これから学校よ!楽しみじゃない!!!」
私は地図を見ながら学校を目指す。
しばらく歩いていると、すんなり学校に着いた。
「あら、案外近いのね。」
学校の門を潜ると、もう既にたくさんのニンゲンがうじゃうじゃ歩いていた。
確かに本の通り、黒髪に黒い瞳が多い。
私も、月の国で兎に染めてもらった。
道行く人が私をチラリと見ている。
まさかバレてる……!?
そんな不安を持ちながらも、これから学校が始まるという事実にワクワクしながら、校舎に入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます