第4話

  1週間休養して、信夫は新たなことを考えた。まず、すべてを自分たちのスタイルとペースでやろうと。それには今までの取次とは決別だ。自由に自分たちの意向で本を仕入られる取次が必要だ。後日、信夫は必死に神田界隈の取次をさがした。裏通りを歩くと小さな古本屋風な取次にぶつかった。自分の営業の意向を話すと快く受け入れてくれ、新たな取次として契約をした。信夫は家に帰ると房子とこれからの事を話した。先ず今までの取次とは契約解除、今までの店舗も移転だ、家賃が高すぎる、これからの経営ではなるべく安い経費で経営だ。信夫は極力経費を抑えた効率経営に方向を変えた。つまり低い損益分岐点で経営が成り立つようにと。信夫は先ずあらたな場所を考えた。土地勘のある房子にも考えてもらった。房子は少し気恥ずかしそうに「私の実家の納屋はどうかしら、かなり古いけど」、「いや、いいかもしれない、しかも地方は車で移動するから町中にこだわる必要ないしね」信夫はとてもいいかもと、同調した。房子の実家はもともと農家で家の前には川が流れており広い河川敷もありのどかな田園地帯だった。房子が実家に連絡をすると両親も歓迎してくれた。2人は早速見に行った。

建物は天井の梁がむきだしになっており一見古民家風の趣があり建物の造りがコンセプトを打ち出してくれた。信夫は今度は全く新しいコンセプトでやろうと決めていた。店舗の3分の1はカフェに、残りの部分は本屋と駄菓子屋を考えていた。

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