第3話

 相変わらず取次のペースで忙しく働き1年が過ぎようとしていた。売り上げは順調に推移してきたが、最近気になることが起きた。近くにコンビニがオープンして、郊外には大型書店がオープンした。取次はそれらに負けじと営業時間の延長を要求してきた、「彼らが営業していない時間帯で勝負しましょう」と取次は半ば強制してきた。信夫も仕方なく、取次の要求に応じ営業時間を延長し房子とやりくりをしながら営業を続けた。しかし、コンビニと大型店の出店はやはりボデイブローのように効いてきた。店の売り上げは徐々に頭打ちになり肝心の雑誌の売り上げは確実におちてきた。また、コミックその他の本も大型書店と競合し、品ぞろえでは到底敵わない。

 取次も、やはり資本の格差には成すすべもないことを言い「しかしまだ人海戦術が残っている、高額図書の訪問販売をやればいい」と押しつけがましく言った。信夫は取次の無責任で当てのない言葉にとうとう切れてしまった、「あなたがたはひとにやらせるだけだから言いたいことを言ってますね」信夫は今まで取次の要求に応じて一生懸命営業を続けてきたが、取次の相次ぐ無責任な言葉で心身の疲れがピークに達するのを感じていた。

 信夫は房子に向かって言った「もう無理だな、この辺で自分たちのスタイルをもう一度考え直さなければ」房子も少し涙目で頷いた。

 それから数日後、信夫は臨時休業の張り紙をした。








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