第2話
数日後、取次から売り上げに関するメールがあり、これからの売り上げに関する戦略などが事細かく記されていた。信夫はこれらの数値を見ていたら自分が得体のしれない大きな流れの中に飲み込まれそうな息苦しさを覚え妻に「こんなやり方で本屋を続けていけるのだろうか」「そうね私たちの思いとはかけ離れて行きそうだわね」房子も不安そうに答えた。
2人の本屋に対する思いとは裏腹に商業的なペースでどんどん進んでいった。取次からは時々データがメールで送られてきて、本屋は売り上げ至上主義の方に傾いていった。毎日、信夫の思惑とは関係なく取次のデータに基づいた大量の雑誌やコミックが送られてくる。信夫は送本のチェックや棚出し、返品作業に追われ休みなく働いていた。取次は勢いに乗って「年中無休24時間営業くらいで売り上げを伸ばしましょうよ」と無責任な言葉を発してくる。
信夫が描いている本屋などとは程遠いスタイルになっていき、売り上げや利益を限りなく追及する方向に向かわせようとしている。
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