第11話 強者の余裕か、底抜けのバカか
竜が今まで人間に対して害を加えてくることは珍しくなかった。だからドラゴン迎撃ギルドの支部が各地に存在している。
最近はいつにも増して襲撃事件が増えているようだ。離島の支部から離れた場所からも竜の目撃情報が寄せられ、離島第一支部から人員を出して対応することになった。
依頼内容は目撃された竜が討伐対象であれば討伐。そうでなければ村の結界強化である。
リュウコたちは巡回訪問も兼ねて、まずは住民たちに話を聞くために村を目指すことにした。
「この辺来るのも久しぶり。なんか珍しくない? 離島で目撃情報が出るなんて」
「そうだな。奴らの住処は大陸の火山だ。わざわざこっちまで飛んでくる理由はない」
「確かトイは大陸の支部から来たんだよね。どうだった? こっちと比べて」
「大陸の支部だとこんな感じの依頼結構ありましたよ。畑にドラゴンがいるとか。薬草摘みに行った先で遭遇したとか。熊なんかの猛獣だったら銃とか魔導弾でどうにかできるんですけど、竜はどうにもならないから、ギルドはいつも忙しかったです」
「それは大変そうだな。その点うちの支部はそういうの少ないからな」
「そうそう。でも代わりに大陸の支部で捌ききれなかった分の依頼を片付けに行ったりとかで結構大陸と離島行き来することになるから、そこは覚悟しといたほうがいいかもね」
「はい。それはもう。僕はリュウコさんに憧れてきたので、一緒に仕事できるだけで嬉しいんです!」
「あら、かわいいこと言ってくれるね。んー、思わず撫でたくなっちゃう。ねえ。撫でていい?」
「もちろん!」
トイの薄茶色で癖毛の髪をリュウコは容赦なくわしゃわしゃと撫でた。まるで子犬を可愛がるようである。
こんなのほほんとした会話をしているが、この3人は今は竜狩りのためのパーティーを組んで依頼先に向かっている。
リュウコは腰まで伸ばした髪を団子にして戦うときに邪魔にならないようにしている。
服装は黒のショートパンツにワインレッドの半袖のジャケット、黒のヒール付きのロング
ブーツを履いている。これは太ももの真ん中ぐらいまでの長さである。手には薄手のロング手袋をしている。
この手袋のみでは防御面で全く役に立たないが、ミヤコが防御力アップの魔法をかけているため分厚い竜狩り用の手袋と同じような効果を得られている。
ミヤコも普段の事務作業の時に来ているスーツではなく、黒いズボンに白い半袖の襟なしシャツ。裏地が藍色のローブ。手には革手袋、足にはワークブーツを履いている。
トイは竜狩り用の分厚い手袋にまだ自分専用の竜狩り用の服がないことから、竜狩りギルド本部指定の服を着ている。
これだけでは到底竜の攻撃など防げない。なんて無防備な姿で挑む気なのだと思いもするだろう。だがそれは違う。基本的に服の全てに、リュウコの手袋と同じようにミヤコが防御力アップの魔法をかけている。
防御力だけでいえば、鍛え上げられた甲冑を着ているのと同レベルのものが期待できるだろう。
「リュウコさんってそんなに髪小さくまとめられるんですね。別人かと思いました」
「お団子ヘアーにはね、想定の3倍くらい髪の毛詰まってるからね。私もこんなに纏まるのかってびっくりしてる」
強者の余裕か、それとも底抜けのバカなのかどちらも選択しないが、のほほんとした空気はある時まで続いた。
中型の竜と小型の竜一体ずつの計2体に遭遇したのだ。
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