第2話 ■■■・ウレンベック教授へのインタビュー
1908年、シベリアで生じた「事象」は、後のアリストテレス場の探求――宇宙開発競争――月面・火星動乱を経て、われわれに何を残した、とお思いですか?
「何も残しておらんよ。単なる蓋然性ある出来事だ。強いていえば、流れのようなものだ。大いなる流れのようなもの」
貴方は、初期の物理現実――アリストテレス場の発見から何を学び取りましたか?
「学び? 否、学びなぞありはしない。ただの実存、現実が、在った、だけだ」
貴方は、そこで何を目撃しましたか?
「われわれの真なる現実。それだけだ」
いわゆるイデア界のようなものだと?
「君がそう呼びたいなら、そう呼べばいい。解釈は人それぞれだからな。あれは、そういう概念では到底説明のつかないものだったよ」
貴方の、最期の通信には、「神」という単語が複数表れますが、どういう意味です?
「そのままの意味だ」
貴方は、「神」を目撃した、と?
「初期はそう思った。だが、違った。あれは、われわれのいう「神」ではない。いわば換言するならば、「システム」だ。――誰かが建造した構造物、だった」
やはり、物理的な現象、だと?
「否。物理的な現象ではない。概念的な現象でもない。あれは、われわれの言説、人智の及ばぬところにある」
それは、……?
「パラダイム・シフトが起きたのだ。われわれの意識に」
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