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翌朝




「こんなに早くから・・・?」




朝の7時、起きてはいたけどまだパジャマ。

まだベッドで横になっていて、そんな中インターフォンが鳴ったかと思ったら一成だった。





「昨日の帰り道に俺メッセージ送ったよね?

“明日から瑠美の家でお世話になる!”って。」




「そうだけど、こんなに早いとは・・・。

時間とか、仕事の時は念の為事前に連絡した方がいいよ?」




「仕事だとしてるはず!」




「はずって・・・。」





それに溜め息を吐きながらも、大きな身体で軽々と重そうな荷物を持つ姿に笑った。





私の実家も電車で数分なのと、一人暮らしを始めて約1年だからそこまで荷物もない。

クローゼットにも余裕がある。

でも・・・





「シングルベッドだから、布団買いに行こうか?」




「瑠美と一緒に寝るからいいよ。」




「一成大きいし、私も165センチあるから。

2人だとよく眠れないんじゃない?」




「じゃあ、今日寝てみてから考えよう!」




「分かった・・・。」





シングルベッド問題はそれで一先ず解決し・・・。

あとは・・・

クローゼットの中、書類関係などを入れているファイルを取り出した。





賃貸契約書を取り出し、細かく確認し・・・それから、一成を見た。




「頑張ってみるけど、ダメだったら・・・今日は朝から不動産会社に行こうね。」




一成はやっとそれに気付いたようで、真面目な顔をして頷き荷解きしようとしていた手を止め、その場でジッとしている。




私は少し呼吸を整えた後スマホを取り出し、所有者の会社、その管理部門に電話を掛けた。




心の準備が整い切る前、1コールで電話に出るコタ・エステート株式会社。

でも、落ち着いた声でゆっくりと会社名と電話口の方の名前を告げてくれる。




それに私の気持ちも整い、私もゆっくりと話し始める。




「いつも大変お世話になっております。

御社の物件に住んでおります、伊藤と申します。

ご相談がありこの度はお電話を致しました。」




物件名と部屋番号を伝えると一瞬で私の情報を調べてくれた様子で、内容を聞いてくれる。




「実は、今・・・結婚の話が出ておりまして・・・。」




電話口で本当に嬉しそうな声でお祝いを言ってくれ、少し心が痛む。




「新居を探すのにも相手の方がこちらに来る必要がありまして・・・短くて2ヶ月、引っ越しの完了まではもう少し長くなることもあるかと思いますが・・・。

その期間、2人で入居することは可能でしょうか?」




明るい声の後に保留となり・・・数秒間は一成と目を合わせたまま、待った・・・。





そして、また電話口の方が電話に出て・・・





「そうですか!ありがとうございます!!」





一成を見ると、ホッとした顔をしていた。





そして、念の為伝える。





「あと、入籍日は早くて2ヶ月後なのですが、その・・・こういうことって何が起きるのか分からないものなので。

もしかしたら、1人で住み続けるかもしれません・・・。」





電話口の方は面白そうな声で少し笑った後、“その時はまた僕宛にご連絡を下さい”と言ってくれた。





「ありがとうございます。

新居探しはまた御社にもお世話になろうと思っていますので、今後ともよろしくお願い致します。」





そう伝えて電話を切った。

ホッとして一成を見ると、少し悲しそうな顔をしている。




「2ヶ月後、入籍してもらえるように頑張るよ。」




「あれは、念の為でもあるから。」




「うん・・・。」




「朝ご飯は食べてきたの?」




「食べてきた。」





そんな会話をしながらクローゼットにファイルを戻し、振り返ると・・・





「わ・・・っ、ビックリした。」





大きな一成がすぐ後ろにいて・・・。





「そんなに驚く?」





面白そうに笑いながら・・・

「空いてる所、借りるね」と言ってクローゼットに片付けていくので、それを少し手伝う。





少し経ってから、一成が急に手を止めたのに気付いた・・・。






「疲れた?朝早かったしね。」




「うん、ちょっと休憩!」




「麦茶作っておいたから、飲む?」




「うん、飲む!」






そう言うので、キッチンに行こうとしたら・・・





一成の大きな胸の中に閉じ込められた・・・。






そして・・・







「その前に、抱かせてよ・・・。」

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