10話 謀略と聖剣
タクヤは緑聖剣エメラルドソードを手に取った。
「これが、聖剣…。」
「流石はイトコ、聞いた通りの強さを秘めている。」
ルカは立ち上がると、剣を握る手に力を込めた。すると、剣から黒い煙と炎が同時に放出され、少女の身体を取り囲んだ。ルカは、炎の怪人に変身した。
「お前、一体何者だ?」
「申し遅れたわね。私は紅のブラックイトコ。ダーク・ゴッド様から力を授かったのよ。」
「ブラック、イトコ…?」
軽く笑うかのように怪人は言った。
「そう。あなたたちを利用させて貰ったわ。悪く思わないでね、私一人じゃ不安だったんだもの。その聖剣、私の物よ。」
怪人は聖剣を指さすと、タクヤを殴り、奪い取った。
「残念だったわね。それじゃ、バイバーイ!」
陽気に手を振り、怪人はその場を去ろうとする。
「待て、そうはさせねぇ!」
カツヒロがルカを殴る。
「ちょっと、やめてよ!」
ルカは聖剣でカツヒロを斬ろうとした。タイキがそれを剣で受け止めた。しかし、剣は折れなかった。
「あれ、さっきは斧を斬ってたのに…。」
困惑した様子でルカは聖剣を見つめる。
「俺達を騙していたんだな?タクヤに聖剣を返せ!」
「返すわけないじゃない。これは、私のよ。」
その時、聖剣が緑色の光を放った。
「痛たたた、な、何これ…?」
ルカが手を放した隙に、タクヤは緑色に光る聖剣を手に取った。
「僕は痛くないもんね~。」
「ど、どういうこと…?なんで私は使えないのよ!」
タクヤはルカに聖剣を突き付けた。
「や、やめて、分かったから。私の負けよ!」
慌てるようにして、ルカは一目散にその場から逃げ出した。
「やったー、勝った!」
タクヤは両手を上げて喜んだ。
○ ○ ○
「言い伝えでは、聖剣には相性があるらしい。タクヤ、お前は緑聖剣と相性が良いようじゃ。」
そう言うとメガネくるくる博士はお茶を飲み干した。船の上で五人はくつろいでいる。
「あれ、博士、船の操縦はいいんですか?」
「心配ない。自動操縦システムを発明して使っておる。仕組みは…」
ハルキは興味深そうに話に聞き入る。タクヤは手に入れた聖剣を眺めている。
「ここ、エメラルドが埋め込まれてるよ!すっごい、キラキラ輝いててかっこいい!」
「いいな、俺も聖剣欲しい。」
カツヒロは羨ましそうにそれを眺める。
「ルカがブラックイトコだったなんて…。」
「確かにな。でも、ブラックイトコと言ってるから、まだ残りのメンバーがいるんじゃないか?」
「ブラックイトコ?」
メガネくるくる博士が尋ねた。
「ああ。ダーク・ゴッドから力を貰ったって言ってたから、俺達と対になる存在ってことなんだろう。ダーク・ゴッドも色々策を立てているに違いない。」
ハルキは冷静に分析をする。
「とにかく、あいつらも聖剣を狙ってくることが分かっただろ?聖剣を取られたら、世界を支配されてしまう。そうなる前に先回りして聖剣を奪うしかないよな。」
「ああ。博士、聖剣がある場所って知ってますか?」
「もちろんじゃ。ここからだと、南に行った所に青聖剣サファイアブレードがある。少し遠いが北へ行けば白聖剣クリスタルバスターがあるぞ。」
「うーん、どっちに行けばいいんだ?」
「取り敢えず、南の青聖剣にしとこうぜ。青と言えば水。多分俺にピッタリだぜ!」
「それはハルキ、お前が欲しいだけなんじゃないのか?」
「ヘへッ、バレたか。」
「そうと決まれば次は青聖剣じゃ。向かうぞ。」
「了解!」
五人を乗せた船は聖剣に向かって夕陽に染まった海原を進んでいく。旅はまだ、始まったばかりだ。
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