薬師寺翔子と売買

インターフォンを押す。

「はいはいどなた~?」

「僕だ」

「先輩!ちょっと待ってくださいね~」

扉が開くと中からショートカットの目がイッてる少女が出てきた。

彼女は薬師寺翔子と言う。藍暗勢力の魔女で、重度のベンゾジアゼピン中毒者だ。複数の病院をはしご通院したり、闇取引の業者を魔術でだましたりして大量の向精神薬を持っている。

「どうしたんすかせんぱ~い!女の子の部屋に一人で来るなんてえ~あれっすか?浮気っすか?あばんちゅーるっすかあ~!?」

「マイスリーを2シート、デパスを3シートくれない?」

ちなみに普段の彼女はもっと穏やかで、気弱な女の子だ。完全にラリってる。僕以上に耐性がついているはずなのに、いったい何錠飲んだのだろうか。

「あ~はいはい。3000円になりまーす」

そう言うと彼女は奥に引っ込んだ。翔子は僕に特別安く薬を売ってくれる。闇業者や、「商会」から買うとこの二、三倍以上の値段がする。なぜかと聞いたら、

「後々藍暗のトップに君臨する御方に媚びを売ったほうが何かと得っすから~」

 と言っていた。

「マイスリーでいいんすか?先輩耐性ついてますよね?ハルシオンもサイレースもありますよ」

「いや、マイスリーでいいよ。咲夜が勝手に一シート飲んだんだ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る