パニック発作
夕日の差し込む部屋で、僕は声を押し殺して泣いている。体が震える。動悸がする。嫌な汗が全身に流れて止まらない。頭の中に毒や膿のような恐怖が流れ込んできて何も考えられなくなる。僕はトイレに駆け込んで指を喉の奥に突っ込み、嘔吐したあと、口をゆすいで部屋に戻り机の上の紙袋から薬のシートを取り出した。シートにはレキソタンと書いてある。僕はそこから薬を数錠取り出し、頬張って置いてあった烏龍茶で飲み下した。きっと僕の過去を知っている人から見れば、僕が過去のトラウマを思い出して泣いているのだと思うだろう。
僕の両親は僕が小学五年生のときに両性具有の魔女に殺された。残された僕は派手な虐待を受けた。指の爪を全て剥がされた後、両手両足全ての骨をハンマーで砕かれた。彼女は治癒魔法も使えるようだった。両手の骨を治した後次は両手の指を一本一本丁寧に折られた。その後両肩の骨を外し、顎の骨を外し、外れた箇所をスレッジハンマーでぶん殴られた。僕の歯は奥歯まで粉々になった。その他にも裸にされて包丁や錐で僕の体に深く何か芸術的な図形を彫られた事もあったし、朝食は母親の乳房で、昼食は父親の陰茎で、夕食はえぐり出した僕の目玉なんて日もあった。真っ暗な視界で手探りで自分の目玉を探し、口に入れた時のぶちゃっとした感覚は忘れられない。その他にも手遊びのように人体の急所ばかりをナイフで刺し、死ぬ前に治癒させたり、えぐった眼孔や砕けてなくなった歯の歯髄に硫酸を垂らしてみたり、耳の穴と鼻の穴に小さい針を限界まで、最終的にはドライバーでむりやり捩じ込まれたりされた。唯一の休息は彼女が虐待の合間、気まぐれのように傷だらけの僕を犯すことだった。両性具有なのでもちろん陰茎の方で。僕は既に犯されるということがどういうことなのか体でも心でも知っていたが、犯されている間は「痛いことをされずにすむ」という安心感があった。助けが来る直前に、彼女は治癒不可能な傷だけを治癒して姿を消した。助けが来るまでの数日感、僕がどんな目にあったのかは書ききれない。あまり思い出すと気持ちが悪くなる。
しかし、今僕が苦しんでいるのはそれとは全く関係ない。パニック発作は脳の故障だ。扁桃体の異常興奮だ。それ以上の意味は全くない。だから僕は薬を飲む。効くまで何錠も飲む。後の事なんて知ったことか。
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