咲夜を待ちながら

きのこ帝国はナンバーガールをこう表現した。「耳を通って脳に青が刺さる」マイスリーが効いた無条件の安寧と希薄した現実感の中、電流のような限りなく鋭い暴力的な音が脳味噌に刺さる。鋭角恐怖症の奴は耳を塞げ。ほとんど物が無い部屋で僕はベッドに寝転がり透明少女を聴きながら藍暗咲夜からの電話を待っている。藍暗咲夜は吸血鬼だ。両親が死に、僕も死のうと思っていたある夜、彼女は僕の前に現れこう言った「私の殺人鬼になってよ」

それから僕は殺人鬼になった。殺人鬼と言っても僕が殺すのは錬金術師という連中が作った「人形ドール」と呼ばれるホムンクルスだ。彼らは魔術師の間でも禁忌とされている「錬金術による人間の作製」を目的に魔術師と袂を分かち、魔術師と戦争をしている

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