第8話「伝えたかった思い」
放課の時間。
何も見えないように目を閉じてしまえばよかった、何も聞こえないように耳を塞いでしまえばよかった。なのに私には、それができなかった。
「だって、嫌なんだもん」
私と
「仲良いんじゃないの?」
「一応、仲良くしてるけど…別にそんなに」
と彼女は言った。
その言葉がずっとこだまして、脳内をぐるぐると回る。
私は椅子の背を引き、ゆっくりと腰を下ろした。
赤くなる目尻に力を込めて、唇を噛んだ。
ここで泣いてしまったら、そこで負けてしまう気がしたから。
帰り道。
そこには昨日会ったばかりの少女がいた。
「どうかしたの?」
眉を寄せ、心配したように聞いてくるのは、何故だろう。
「…ううん、なんでもない。」
一度開きかけた口を、閉じてしまったのは何故だろう。
「ごめん、私今日は帰るね」
赤らむ
本当は、わかっていた。段々と変わっていく彼女の目が、態度が、私から距離を取ろうとすることを。
でも、認めたくなかった。
私のすきな所を話してくれた彼女に、今度は私が「そうやって、人のいい所を見つけて伝えてくれるとこがすごいと思う」って、伝えるつもりだった。
「ありがとう」
って、心の底からの感謝を言いたかった。
「ふぅ、うっ……」
溢れ出る涙は、止めどなく私の頬を濡らした。
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