第5話「私たちのBGM」
「踏切…?」
「そう、踏切」
首を傾げる私に、
「何故に踏切?」
頭に浮かぶのは謎ばかりで、眉間に
「雨の中の踏切って、なんかエモくない?」
いや、こういうのは空がスパーンと晴れている方が電車が映えていいのでは…という言葉は
後方を振り返ると、人一人しか通れないような道を、生い茂る緑たちが囲んでいた。近隣の人ならばきっと目もくれないような場所だけれど、そこがまた秘密基地の様な
「あっ、
勢いよく駆け出した
「はるはるもおいで!」
「おっ、やば」
警笛が鳴り響き、急いで線路の外に出る。
胸の奥に響く重たい音をだして、電車が通り過ぎて行った。
「このまま電車に乗ってどっか行っちゃう?」
「私、一応学校抜け出してるんですけど」
「あっ、そうだった」
電車が起こす風で大きく揺れた髪に、水しぶきが舞う。警笛の音と雨が傘を跳ねる
学校を抜け出して来てしまったことへの罪悪感なんかより、ずっとこの時間が続けばいいのになんて思ってしまった。
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