第4話「雨の中の踏切」
雨の中で着る制服は、いつも以上に重たく湿気と共にまとわりついてきた。
足に飛び散る五月上旬の雨粒が冷たくて、
そんな中、目の前の少女は楽しそうに
「はるはるは、雨嫌いなの?」
歩くスピードを遅めて
「嫌いに決まってるよ」
「なんで?」
「だって、べとべとするし、空気重いし、靴下濡れるし気分
「へー」
熱弁する私に返ってきたのは、なんとも
「そういう
嫌気が差して少し強い口調で
「だからいいじゃん」
「え?」
「急かさないから、いいんだよ。ゆっくりでいいよって言われてるみたいじゃない?」
「そう、かな…」
そんなの、考えたことも無かった。
確かに私の考察があるのなら、逆の感じ方だって存在するのだ。
「雨はね、時空を
「それって__」
「それにさ、見て!」
詳しく聞こうとしたら、水溜まりの前でしゃがむ
「私、水が跳ねるのを見るのが好きなの」
スカートを片手で押さえながら、私も
水溜まりには、一瞬で消えてしまう小さな
「よいしょ」
スカートをふわりと広げながら立ち上がる
「ねえ
「ここだよ」
「踏切…?」
踏切だった。
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