4. 異世界ほのぼの日記2 111~115


-111 兄が働くにあたって-


 貝塚海斗がアルバイトとして加わった事でオーナーである好美を交えて相談しなければならない事があった、シフトである。


イャンダ「海斗君・・・、だっけ?時間帯の希望ってありますか?」

好美「そうそう、私も聞いてなかった。」


 すると、2人の言葉を聞いた結愛が好美とイャンダだけ聞こえる様に『念話』を飛ばした。


結愛(念話)「すまん、ちょっといいか?出来れば兄貴が夜間での勤務になる様に誘導してほしいんだが。」

好美(念話)「良いけど、何か理由でもあるの?やっぱりシスコン関係?」

イャンダ(念話)「それ気になるわ、というか改めて思ったが俺も『念話』使えてんじゃん。」


 イャンダにさり気なく『念話』を『付与』した結愛は少し難し気な表情を見せながら2人に語った。


結愛(念話)「シスコンの事もあるんだが、本人にはこっちの世界に慣れたらダンラルタ王国にあるうちの会社の施設で夜間作業責任者を頼もうと思ってんだよ。今責任者が昼間しかいなくて困ってたんだ。無理言って悪いな、俺も説得してみるからよ。」

イャンダ(念話)「好美ちゃんの仲間は俺の仲間だ、当然構わないよ。」

結愛(念話)「助かるぜ、店長さんが良い人で良かったよ。」

イャンダ(念話)「ふふ・・・。良かったら、俺の事はイャンダって呼んでくれ。」


 その傍らで時給等が記された用紙を凝視していた海斗に店長が声を掛けた、制服のサイズを合わせている本人に早速説得してみるらしい。


イャンダ「えっとね、調理師免許を持ってるから多分基本的にキッチンに入って貰うと思うけどその分時給は弾ませて貰いますね、生活費の足しにして下さい。」

海斗「助かります、向こうの世界から1円も持って来てなかったので。」


 どうやら異世界(こっち)でも日本のカードや銀行口座が使える事にまだ気づいていないらしい、1回もATMに行って無いので「あの事」もまだ知らないはずだ。きっと後でぶっ倒れるだろうと陰で笑う結愛の傍らで今からでも仕事に入れるという勢いでイャンダの質問に答えていた。


好美「良かったら・・・、夜間で働かないですか?生活費がもっと増えますよ。」


 好美の魅力的な言葉に結愛が付け加えた。


結愛「それに皆があまりしたがらない仕事をする兄貴、格好いいと思うぜ。」


 勿論だが本当はこんな事思っていない。


海斗「そうか?じゃあ愛する妹が言うなら仕方ねぇな・・・。」


 結愛は心の中で自らの首を持って吐き気を催した。


結愛「な?悪くない話だろ?やってみないか?」

海斗「分かった、夜間で働いてみます!!」


 3人は安堵しながら密かに誘導成功を祝った、何気に汗が滲み出ている。兄にしっかり働いて欲しいと思った結愛は海斗をATMに連れて行く事を暫くやめておく事にした、「1京円」を見た瞬間またぷらぷらとした生活に戻りかねない。

 妹の予想に反し、兄はすっかりやる気になっている。


海斗「いつから入れば良いですか?」

イャンダ「そうですね・・・、お体の調整も兼ねて来週の火曜日の夜からいかがでしょうか。」


 好美の事を考慮に入れての事だ、先程結愛が言った「手出すなよ」の言葉を偶然耳にしていたのだ。何となくピューアが可哀想だが。

 店長やオーナーとの打ち合わせを終えた海斗は早速部屋に戻り食事等の準備を行った、冷蔵庫にはアメリカにいた時のままの食料が入っている上に無理矢理な夜間での勤務に応じてくれた兄に妹からの贈り物であるささやかながら缶ビールが入っていた。因みに冷蔵庫の前に在庫として1ケース置いてある、「兄貴、ありがとよ」の言葉と共に。

 プルはイェットの指導の下、早速店舗での研修に入った。制服らしきエプロンをしているらしく、本人も気に入っている様だ。

 4人と別れた結愛は早速バルファイ王国の本社に『瞬間移動』した、何やら光明の様子がおかしい。副社長や秘書はずっと電話を片手に頭を抱えていた。


-112 悪名貴族の言い掛かり-


 慌ただしい雰囲気の中、代表取締役の姿を目にした副社長はすぐに電話対応をずっとしている自分の所へ来るようにと誘い出した。こんなに焦った光明の顔を見るのはいつ振りだろうか、結愛にはただならない位の嫌な予感がしていた。


結愛(小声)「おい、そんな顔してどうしたんだよ。」

光明「すみません、少々お待ちください。」


 結愛の声を聞いた光明は電話を保留の状態にした、頭を抱えながらため息をつく。


光明「困ったもんだよ、助けてくれ。ダンラルタに最近作ったあそこあるだろ?」

結愛「魔獣保護養育施設の事か?」


 近年、3国における労働力向上や魔獣の保護などに力を入れ始めた貝塚財閥なのだが、その一環として野生で衰弱した下級魔獣を中心に保護して人化できる上級魔獣へ養育する施設をダンラルタ王国に建てていた。それについての電話らしい、どうやら相手はかなりの勘違いをしている様だ。

 結愛は光明に替わり、電話に出る事にした。スピーカーフォンに切り替えると、相手は20~30歳くらいの女性らしい。

 結愛は丁寧な口調で応対を始めた。


結愛「大変申し訳ございません、大変お待たせ致しました。私貝塚財閥の代表取締役社長を致しております、貝塚結愛と申します。先程の者に替わり、私がご用件をお伺いいたします。確か、我が社の魔獣保護養育施設の事でございましょうか?」

女性(電話)「そうよ、そこの人が無理矢理魔獣を捕まえて生態系を悪くしてるって言ってんのよ!!」

結愛「恐れ入りますが、保護対象の魔獣自身には必ず施設に連れて行く際に許可を頂いております。各々で人化できる上位種の者を通訳として連れていますので当方納得の上で行っているのですが。」

女性(電話)「だからって、下級魔獣が減ったままじゃ意味ないじゃない!!」

結愛「人化出来る上級魔獣になったら「卒業」という形で自然にお帰り頂く形に致しております、各々でバルファイ王国にございます我が社の魔学校に進学したりそのまま就職したりと皆様新たな人生を謳歌して下さっています。それに下級魔獣の減少防止の為、上級魔獣同士の婚活推奨パーティー等を開いたり致しておりますので、書類に描かれたデータによる事実上は下級魔獣の減少問題は回復致しております。」


 スピーカーフォンで会話を聞いていた光明は、相手に聞こえない様に『念話』で結愛に話しかけた。


光明(念話)「俺もさっき全部言ったんだけどな。」

結愛(念話)「そうなのか?じゃあこいつ、かなり手ごわいな・・・。」


 電話からは未だに罵声が聞こえている、耳が痛くなって来た結愛は音量を少し絞った。


女性(電話)「ちょっと、聞いているの?施設から「卒業」って形で出て行っても魔学校にどうやって入るって言うのよ!!」

結愛「そうですね・・・、実はと申しますと1つの施設と申し上げましても目的によって建物が分かれておりまして、各種上級魔獣によります下級魔獣の為の学校も兼ねております。最初に施設に入って頂いた下級魔獣を人化出来るまで育て、その後各々の者に小中高生としての学校教育を致しております。勿論、保護施設に入っていない野生の人化出来る様になった下級魔獣にとっての学校としての役割も果たしておりますので何ら問題は無いかと・・・。」


 社長に論破された相手の女性は数秒程沈黙してから慌てた様に言い出した、どうにかして結愛の事を抑圧しようとしているらしい。


女性(電話)「な・・・、何よ!!そんな施設、私のお父様がお認めになると思って?!私が誰か分かって無いんじゃないの?!」

結愛「恐れ入りますがお名前を頂戴致しておりませんので、どなたか存じ上げないのですが・・・。(念話)てめぇなんて知るかよ、ばーか。光明すまん、ちょっと外すぜ。すぐ戻るから。」

光明(念話)「おいおい・・・。」

女性(電話)「何よ、この声で分からないの?良いわよ、名乗ってあげるわよ!!私はリラン・クァーデンよ、ダンラルタ王国にある貴族の娘よ!!何で分からないの、あんな施設の事なんて絶対お父様がお認めにならないわ!!」


 『瞬間移動』で本当にすぐに戻った結愛の傍らであの男性が一緒に電話に出てくれた。


結愛「貴女のお父様がお認めにならなくてもダンラルタ国王の・・・。」

デカルト「私デカルトが自ら公認をしているので問題も関係も無い!!」


-113 親族登場-


 悪名高き貴族の娘による言い掛かりの電話を治めてくれた国王に感謝の意を表す代表取締役社長、事態はこれで終わる訳ではないが協力してくれた事が何よりも嬉しかったという。


結愛「突然お呼びして申し訳ございません、本当に無茶なお願いを。」

デカルト「何を仰いますやら。光さんやのっ・・・、林田署長のお知り合いの頼みとあらば、お応えしない訳にも行きませんよ。」


 一国の王と思えない位の腰の低さに驚きを隠せない結愛、しかし事態はそれどころではない。何気にまだ貴族との電話は繋がっている。


リラン(電話)「こ・・・、国王が何よ!!ただ偉そうにしているコッカトリスじゃないの!!」

結愛「お言葉ですが、こんなに腰が低いのに人々に偉そうに出来るとでも思えますか?」

リラン(電話)「うぐっ・・・。」


 数十秒経った後にリランの方から電話を切って来た、これ以上抵抗する方法が見つからないのであろう。


デカルト「貝塚財閥の方々に感謝しているのは私の方ですよ、大切な住民である下級魔獣の親代わりとしてそだてて下さっているのですから。」

光明「親代わりだなんて、そんな・・・。」

結愛「お前は何もしていないだろ!!」


 『瞬間移動』でデカルトを王宮に送り返した後に取り敢えず一段落した雰囲気の中で結愛はダンラルタ王国にある施設についての資料を取り出した。


結愛「なぁ、あそこって今は昼間だけだが確かあのババァが管理していなかったか?」

光明「おいおい結愛、ババァって言って良いのかよ?」

結愛「大丈夫だよ、よっぽど強力な『念話』を持って無い限り聞こえてねぇだろう?」


 しかし、結愛の予想はあっけなく外れるのであった。夫妻の脳内にある女性からの『念話』が飛んで来る。

 『念話』を受けた代表取締役社長は顔が蒼ざめた様子でいた、よっぽど話したくない相手だったのだろうか。


女性(念話)「結愛ちゃん・・・、ババァって誰の事だい?」

結愛(念話)「み・・・、美玖(みく)叔母様!!聞き間違いでは?!」

美玖(念話)「ちゃんと聞こえてたわよ、あんたあの子程じゃないけど性格悪いね?」

結愛(念話)「お願いです、給料上げるから許して下さい!!」


 『作成』で作り過ぎた光程ではないが、かなり強力な魔力を持つネクロマンサーである結愛が恐れるのも無理は無い、美玖は弟の義弘以上の上級賢者(アーク・ワイズマン)なのだ。

 美玖は結愛や義弘より数年も前からこの世界で修業を積み重ねて今の魔力を手に入れたらしい、数年前にあった本人の葬儀より数日前からこの世界での修業を始めていたという。

 因みに異世界(こっち)で2人が再会したのはつい1週間前の事で、美玖が元々働いていたステーキハウスが潰れてしまった事を偶然知った結愛が空いてたポストに美玖を任命したのであった。

 実質、結愛は美玖の上司に当たるが姪っ子は叔母に頭が上がらなかった。

 一先ず、クァーデン家からの言い掛かりについて報告をする。


結愛(念話)「最近、運営に当たって変わった事は無かったのですか?」

美玖(念話)「全くだね、施設の周囲に光明君に渡された監視カメラを張り巡らせていたが怪しい物は何も映らなかったからね。」

結愛(念話)「そうですか・・・。」


 すると、部屋の端で資料を纏めていた秘書が声をかけた。


秘書「社長・・・、こちらをご覧頂けますでしょうか。」


 秘書から手渡された資料は、デカルト公認の下で貝塚財閥がダンラルタ王国に張り巡らせた隠しカメラの映像を静止画像化したものだった。資料によると黒ずくめの者達が下級魔獣を麻袋に無理矢理はめ込んで何処かへと運んで行っている、顔が見えている訳では無いがどうやら犯人はこいつららしい。


結愛「どう見てもこいつらが怪しいな、ババァに見て貰うのが一番か?」

光明「おいおい・・・、だからババァはまずいだろ・・・。」

結愛「よく考えろよ光明、あの老けたババァが『瞬間移動』できると思うか?」

女性「結愛ちゃん、逆に出来ないって思ったのかしら?」


-114 国の一大事-


 結愛は聞き覚えのある女性の声にビクビクしながらも、声の方向へと振り向いた。やはりそこにいたのは苦手な叔母の美玖であった。


結愛「お・・・、おば様。ご機嫌麗しゅう。」

美玖「あんたって本当に表裏がある子だね、裏で何言われているか怖くて仕方ないよ。」


 結愛は一刻も早くその場から離れたかった、社長室から少し離れた所に設置してあるサンドバッグに殴りかかりたかったからだ。ただ自分より強大な魔力を持つ叔母に心中を読まれてしまいそうなのでぐっとこらえて例の画像を見せる事にした。


結愛「どうやらこの集団の行為により当社が疑われている様です。」

美玖「こりゃかなり悪質だね、追跡はしていないのかい?」

結愛「黒ずくめの恰好な上に夜ですから偶然移りこんだのがこの一瞬だけだったらしく・・・。」

美玖「赤外線カメラにしたら映るんじゃないかい?」


 確かにそうだ、しかしカメラを国中に張り巡らせているので付け替えにはかなりの日数と予算が必要な上にデカルトの許可が必要になる。勿論国王にも報告はするつもりだが。

 結愛は咄嗟に嘘をついてもすぐにバレそうなので正直に言うことにした。


結愛「今からデカルト国王に連絡して動こうかと。」

美玖「どうして国王に連絡する必要があるんだい?」

結愛「このカメラは国王の許可の下で張り巡らせてあり、ダンラルタ王国の王宮にある監視室でも映像が見える様にしてありますので。」

美玖「ふーん・・・。」


 美玖は光明から画像のコピーを受け取ると、『瞬間移動』で自分の部署へと帰って行った、安堵の表情を見せた結愛は滲み出て来た汗を拭うとデカルトのいる王宮へと電話をかけた。

 因みに結愛が持っている番号はデカルトの部屋に直通のものなので・・・。


デカルト(電話)「もしもし。」

結愛「もしもし、突然のお電話申し訳ございません。貝塚財閥代表取締役社長の貝塚結愛でございますが。」

デカルト(電話)「ああ、結愛さんですか。先程は大変でしたね。」

結愛「いえいえ、あの時はお越し頂き有難うございます。」

デカルト(電話)「何を仰いますやら、私共の国での話なで当然の事をしたまでですよ。」


 国王の腰の低さには本当に驚かされる。


デカルト(電話)「それで、またどうされました?」

結愛「実はと申しますと、国王様に許可を頂いて国中に張り巡らせているカメラに怪しい集団が映っておりまして、その集団が下級魔獣を麻袋に入れて何処かへ連れて行っている様なのです。」

デカルト(電話)「何ですって?!それは国の一大事じゃないですか!!」


 魔獣の捕獲・誘拐は当然「魔獣保護条例違反」となる、しかもまだ人化できない下級魔獣だと罪は重くなり極刑は免れない。


結愛「それでなのですが、ご覧頂きたいものがございますので今からそちらにお伺いさせて頂いても宜しいでしょうか。」

デカルト(電話)「勿論です、お待ちしております!!」


 電話を切った瞬間、結愛と光明は秘書に緊急で外出すると伝えてダンラルタ王国の王宮へと『瞬間移動』した。到着した先でデカルトが自ら器を温めて紅茶の準備をしていた。


デカルト「早いですね。」

結愛「一刻を争いますので。」

デカルト「取り敢えず落ち着きましょう、ハーブティーを淹れましたのでどうぞ。」


 結愛達は手渡された紅茶を1口啜った、デカルト自ら育てたハーブの香りが口中に広がり夫婦は落ち着きを取り戻した。


光明「国王様自ら、ありがとうございます。」

デカルト「いえいえ、それで私に見て欲しい物とは?」

結愛「こちらなのですが・・・。」


 結愛が先程の静止画像を見せると、デカルトは細かく震えだした。


デカルト「こいつらめ・・・。」


-115 偉くなった同級生-


 怒りを抑えきれないデカルトを抑えるべく、結愛はハーブティーを勧めた。1国の王は数口啜った後に息を荒げながら、改めてソファへと座った。


結愛「だ・・・、大丈夫ですか?」

デカルト「すみません、画像の奴らがどうしても許せなくて。落ち着きました、ありがとうございます。」


 デカルトは息を整え、静止画像を改めて見ながら結愛達に告げた。


デカルト「すみません、こちらの画像を参考資料としてダンラルタ王国警察に提出しても宜しいでしょうか。私どもも可能な限り捜査にご協力させて頂きたいので。」

結愛「勿論です、私達に出来る事があれば何でも仰ってください。」


 一旦王宮から本社へと戻った2人は同ビルにある開発施設へと向かった、昼間は普通の監視カメラとして、そして夜間は赤外線による暗視カメラに自動で切り替えて使用できる優れものの開発を進めていた。


結愛「ある程度日が沈んで暗くなると暗視カメラに切り替わる優れものさ、捜査に役立つはずだぜ。」

光明「お前、俺のアイデアだって事を忘れんなよ。」

結愛「それにしても暗視カメラに切り替わったとして、犯人らしき人物が近づいたかはっきりと分からないと意味ねぇよな・・・。」


 そう言いながら丁度、今度の会議で使用する資料を纏めた物を手渡そうとした社長秘書に思い出す様に聞いた。


結愛「そう言えば貴女ってラミア(蛇)でしたよね?」


 そう、結愛の秘書の正体は以前シューゴの屋台で日ごろの業務についての悩みを夫婦で解決したラミアのヒドゥラだった。


ヒドゥラ「そうですけど、何か?」

結愛「蛇って夜間に獲物を見つける時はどうやって探すんですか?」

ヒドゥラ「熱・・・、ですかね?相手の熱を感じつつ探すと言いますか。」

光明「熱・・・、か・・・。」


 そう聞いた光明はカメラの先端に熱感知センサーを取り付ける様に指示を出した、お陰で犯人を見つけ出しやすくなりそうだ。


結愛「ありがとうございます、お陰で事件解決に1歩近づきそうです。」

ヒドゥラ「え?あの・・・、私なんかでよろしければ。」

光明「今月分のお給料をお楽しみに。」

ヒドゥラ「本当ですか?!」


 当然、結愛は全くもって考えてもいなかったのでヒドゥラへのボーナス分は光明のお小遣いから天引きされる事になったのは言うまでもない。

 そんな中、ダンラルタ王国の王宮にいるデカルトから直接社長室に電話があった。


デカルト「ダンラルタ王国警察の方がこれから王宮に来るのですが、お2人もお越し頂けませんか?」

結愛「勿論です、すぐに参ります。」


 丁度サンプルが出来上がった新型の監視カメラを手にした光明を連れて結愛は王宮へと『瞬間移動』した、因みに新しいカメラも今まで通り王宮の監視室にあるスクリーンで映像を見える仕様にしている。


デカルト「結愛さん、光明さん。お越し頂きありがとうございます、こちらダンラルタ王国警察警部の・・・。」

結愛「プニじゃねぇか!!」


 以前貝塚義弘絡みの爆発事件に爆弾処理班のリーダーとして参加した鳥獣人族(レイブン)のプニであった、しかし何処か違和感を感じてしまうのは何故だろうか。

 最初に気付いたのは光明だった、口調と爆弾処理班という以前の職業から今まで気づかなかったのも無理は無いが魔学校時代から本人に申し訳ない位の勘違いをしてしまっていたらしい。


光明「お前・・・、女性だったのかよ!!」

プニ「今まで男と思っていたのかよ、失礼な奴だなてめぇ!!」

結愛「本当だよ、俺は学生時代から知ってたぞ(ごめん、俺も今知った)。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る