4. 異世界ほのぼの日記2 101~105


-101 ダルラン家の新たな家族?-


 守と好美の馴れ初め話を肴にする呑み会が始まってから小1時間程経過したが、呑み干したビールの空き缶は積まれていない。現時点で3人は500ml缶を合計15本程呑み干しているはずなのだが。


好美「え?私達そんなに呑んでる?」


 呑んでんじゃんって・・・、って聞こえてんのかよ!!


好美「聞こえてるし、さっきからうるさいっての。」

光「あの好美ちゃん、誰と話してんの?」

好美「え?聞こえてないんですか?ほら、男の人の声が。守?」

光「いや、守君はさっきから無言で呑んでるよ。」

好美「あ、本当だ。」


 ふぅ・・・、びっくりした。まぁ何があっても驚くまい、これ一応コメディ小説だからな。

さてと、気を取り直して。

好美には先程から気になる事があった、3人が呑み干した後の空き缶の行方だ。全て光が回収しているみたいだが、ゴミ袋らしきものはどこにもない。

 そんな中、光がぽろっと一言こぼした。


光「この『メイクスライム』って良いよね、ゴミを食べてくれるし洗い物も楽になるし。スライムだから文句言わないし。」


 確かに以前メラが「暴徒の鱗」で出したスライムには目も口も無く、ただひたすらに汚れやごみを捕食していた。その光景を目の当たりにした光は『メイクスライム』をこっそり『作成』していた。

 空いた缶やつまみの袋を次々と放り込まれたスライムはただひたすらに捕食していた、それから呑み続ける事約20分が経過した時どこからか片言な声が。


声「ホカニナインケ?」

光「へ?好美ちゃん何か言った?」

好美「私じゃないですよ、それにしてもやたら片言ですね?」

声「ホカニナインケ、ゴミアキタッチャ!!」

光「ゴミ?まさか・・・。」


 光が後ろを振り向くと自らが『メイクスライム』で出したスライムがサングラスとモヒカン姿になっている、どうやら光の魔力が強大すぎたからか意志を持ちゴミばかり捕食させていた為グレてしまったらしい。ただ何故関西弁?


スライム「せやせや、この前から言おうと思うたけどな、わいらスライムも生き物やねんぞ!!ゴミばっかりでのうてちゃんとした物食わさんかい!!」

光「うるさい。」


 すると「ボンッ」という音と共にスライムが消えて行った、多分これからは「うるさい」がスライムを消す合言葉になりそうだ。


好美「取り敢えずゴミ袋持ってきますね、ちゃんと空き缶集めておかなきゃ。」

光「大丈夫大丈夫、多分お腹が空いたら出て来るんじゃないかな。」

好美「あの・・・、自分の意志で出てきますかね。」

光「まぁ、何とかなるっしょ。」


 「光さんにスライムの何が分かるんだろう、と言うより『メイクスライム』っていう魔法で出すんだよね。多分自らは出てこないと思うんだけどな」と少し顔を引きつらせながらビールを呑み干した。

 別にいいかとゆっくりとバターピーナッツをつまんでいると空腹になった「噂のあいつ」が本当に自らの意志で出て来た。


スライム「あの・・・、すんまへん。ゴミで良いんで食わせて貰われへんやろか。腹が減って仕方ないんですわ。」

光「あんた、その前にいう事があるでしょ!!」

スライム「ご・・・、ごめんなさい。もう生意気言いません。」

光「よろしい、ほら溜めてあるから食べなさい。」


 光がありったけの空き缶を渡すと勢いよく捕食し始めた、皿にこびりついた汚れも今まで以上に綺麗にしてくれている。そしていつの間にか人化した。


光「それとこれはゴミ処理してくれたお礼、これからもよろしくね。」

スライム「これがビールでっか、美味いでんな。わいこれからも頑張ります!!」


-102 子供達の為-


 スライムの口調から人化した時は完全に野郎なんだろうなと思っていた好美は、意外と可愛い女の子になったから自分の勘を疑い出した。


光「そう言えばあんた名前は・・・、ないのね?」


 人化してからずっと缶ビールに夢中になっているスライムのステータス画面をさり気なく確認した光、作り出してからそんなに経ってないはずなのに年齢が既に「25歳」だと表示されていた。


スライム「そうなんです、名前を頂戴出来まへんか?」


 関西弁なのは相変わらずだが、時間が経つにつれどんどん口調が流暢になっていった。


光「プルプルなスライムだから・・・、プルで良くない?」


 あまりにも適当過ぎないだろうかと少し引いている好美、その好美をよそにどんどん話を進めていく光達。


プル「おおきに、おおきに!!」


 関西弁をいつの間に、そしてどこで覚えたのだろうか。

 そんな中、好美が「コノミーマート」の経営を任せているウィッチのイェットから好美に念話が、どうやら深刻な相談みたいだ。


好美(念話)「ん?どうした?」

イェット(念話)「今朝ね、いつも通り孤児院から発注書が来たんだけどね。」


 弁当の注文書をいつも通り受け取ったイェット、いつもは部下のプリーストが持って来るのだが今日は珍しくアーク・ビショップのメイスが自ら持って来ていた。孤児院の職員や一部の子供達にはチキン南蛮弁当が人気で発注数が跳ね上がっている、ただ今回はかなりの訳ありらしい。


イェット(念話)「アーク・ビショップから相談を受けたんだよ、最近ずっと暑い日が続いているだろ?その所為で子供達の食欲が全く出ないんだってさ、何か良いアイデア無いかね。」


 確かに日本の平均的な夏日より気温が上昇してしまっているネフェテルサ王国、実は好美達もそろそろ食べたくなっていた物があった。ただ用意にかなりの時間と労力が必要らしく・・・。

 翌日、一先ずある物を手に入れようと農家をしているガイの下に相談しに行った。


ガイ「それだとここよりはダンラルタ王国の方が手に入りやすいと思うよ。」

光「そうですか、ちょっと聞いてみます。」


 光はスマホを取り出し、ある女性へと電話をかけた。


女性(電話)「ああ・・・、それなら叔父さんが沢山持ってるはずだよ。聞いてみようか。」

光「助かる、流石はキェルダね。相談して正解だったわ。」


 そう電話の相手はダンラルタ王国出身の女性ホークマンで、パン屋での光の同僚であるキェルダだった。本人が言う「叔父さん」とは勿論コッカトリスでダンラルタ国王のデカルトの事だ。少し経ってからまたキェルダから電話があり、期待通り持っているとの事だった。光は事情を説明する為に直接隣国の国王に電話した。


デカルト(電話)「そうですか・・・、例の物は数本程あれば大丈夫ですか?」

光「はい、出来れば眺めの物を送って頂けたら助かるのですが。」

デカルト(電話)「宜しければ私が直接持って行きましょう、丁度のっ・・・、いや林田署長に用があるので。」

光「いやいや、国王様に頼めないですって。」

デカルト(電話)「他でもない光さんの頼みですから構いませんよ。」


 その日の午後、コッカトリスの姿でデカルトが光の働くパン屋の店先にやって来た、自ら運んで来た「例の物」を降ろすと人化して友人のいる警察署へと歩いて行った。


光「すみません、助かりました。」

デカルト「いえいえ、お安い御用です。」

キェルダ「でもこれどうすんの?」


 光は自ら倉庫から持って来た鋸で「例の物」を縦半分に割り、切り始めた。


-103 楽しく準備する-


 パン屋での勤務中にも関わらず店先で鋸を振るう光、これ程パン屋の制服が似合わない光景は今まであっただろうか。ラリーには「アーク・ビショップの相談を受けてやっている事だ」とはっきりと伝えてある、それが故に店長はこの状況を認めざるを得なかった。それどころか店で閑古鳥が鳴いているので一緒に手伝ってもいる、光はよっぽど暇になってしまったんだなと痛感させられた。

 ダンラルタ国王から受け取った竹を半分に割って中の節目の部分を割り、中をやすりで滑らかにしていく。そして最後に丸い穴をぽっかりと開けて、それを数本作っていく。


光「ちょっとあんた、さっきまで「例の物」って言ってたのに何急に「竹」って言ってんのよ。」


 すいません、聞こえてたんですね。この件2回目だな、ちゃんとマイクのスイッチ切っておかないと・・・、よし。


光「あれ?何だったんだろう。」

キェルダ「あんた何独り言いってんのさ、それより早く作業をしないと。」

ラリー「この細い竹はどうするんだ?一緒の様に割るのか?」


 実は太めの物と細めの物を各々数本ずつ用意してもらっていた、流石にこれで何をしようとしているのかがご想像頂けるだろう。


光「細い物は支柱にするので、表面をやすりで綺麗にしておくだけで大丈夫です。」


 さて一方、光に頼まれてガイの小麦畑へと向かった好美と守。ガイの麦畑は賑やかな街中とは違って静かでただただ収穫前の小麦が風で揺れていた、麦畑の向こうから持ち主のガイが大きく手を振っている。


ガイ「おーい、こっちだよ。光ちゃんが話していた守君と好美ちゃんだね?おいで!!」


 2人は呼ばれた方向へと向かうと軽トラが2台止まっていた、結構ガッツリと収穫するらしい。ただ用意されているのは農機具ではなく鎌、まさかと思ったのだが・・・。


好美「手作業なんですか・・・?」

ガイ「そりゃそうさ、うちは完全無農薬と丁寧な手作業に拘っているからね。ほら、見てみな。守君と子供達はやる気だよ。」

守「よし、美味い小麦粉作るぞー。」

子供達「おー!!」


 メイスにより「食育」を兼ねて孤児院から派遣された子供達が手伝いに来ていた、皆やる気になっている。守に至っては両手に鎌を持っている、どれだけ食欲が溢れているのだろうか。


ガイ「おいおい、やる気になっているのは良いけど怪我だけは勘弁してくれよ。」

守・子供達「はーい。」


 3時間程経過しただろうか、2台の軽トラ一杯に小麦の入った麻袋が積まれていた。作業を終えた全員は汗を拭い、冷水を一気に煽ると今までにない程に幸せそうな顔をしていた。

 ガイと守の運転で小麦をガイの家に運んで行く、農家の主人の家の庭にはこの日の為に特注した大きな石臼があった。子供達と守が力一杯に石臼を回すと臼の間から小麦粉が沢山出て来た、それを好美とガイがかき集めていく。

 ふんわりと仕上がった小麦粉を食塩水と混ぜ、捏ねた後に熟成させて幅と厚さを調整して桶に巻き込んでいく・・・。

 これから数々の作業を行った物を棒に巻き付け細く細く引き延ばし、乾燥させていく。

 そうして出来た麺を好美と子供達が孤児院に持ち帰り、周りのプリーストの制止をふりほどいたメイスが自ら早速茹でていく。


プリースト「アーク・ビショップ様、お止めください。調理係の私が致します、貴女様の御手を煩わす訳には・・・!!」

メイス「やりたいからやっているから良いじゃない、子供達の為なら私は何でもするって決めているのよ。」


 その横で鰹節から出汁を取って麺つゆを作る好美、2人の光景を見て楽しそうに微笑んだ。

 守は光の手伝いをしていた、細い方の竹を地上に刺し縄で縛って支柱にする。そこにパン屋の前で加工した太い方の竹を穴を開けた所で幾重にも重なる様に設置して行った。

余った竹で御椀とお箸も出来ていた、こういうのは雰囲気が大事だとのラリーからの気遣いだった。

予めピューアに教えて貰った水魔法を利用し重ねた竹に水を流していく、どうやら零れる事無く無事に流れて行っている様だ。

さぁ、この世界で初めてと思われる「流しそうめん大会」の始まりだ!!


-104 イベントの傍らで-


 孤児院の子供達が飽きない様にと変わった物も含め味変を色々と用意していた好美、一般的な山葵や生姜は勿論、辣油にごまだれ、まさかの明太子マヨネーズまで用意している。明太子マヨネーズに至っては麺をくぐらせやすい様に、そして子供達が食べやすい様にとマヨネーズを多めにしておいた。

冷やしたうどんにも合うからと大根おろしや揚げ玉、葱まで用意してある。ここはセルフうどんの店なのだろうか。

 加工した竹を徹底的に綺麗に保ち、毎日表面を消毒液等で除菌し続けた上で魔法で出した綺麗な水により安心した状態で流しそうめんは行われた。

好美の味変のお陰もあって心からイベントを楽しむ子供達、よほど人気なのか思った以上に減りが速い。好美は急ぎ調理場に戻り味変の追加を作りを行った。ただこのイベントで1番懸念される2つの問題をどうするかが課題だった、簡単に解決したが。


好美「素麺足りるかな・・・、店から持って来て追加すればいいか。子供達が飽きない様に茹でて氷水で絞めた拉麺も用意しておこう、店の宣伝にもなるしね。」


 好美はスマホを取り出し。この日店を回している副店長のデルアに電話した。


好美「ごめんねデルア、無理言って。」

デルア(電話)「大丈夫さ、今ちょっと店が落ち着いているからすぐに持って行くね。」


 電話を切ると同時に麺を茹で始めたデルア、何故か楽しそうに笑みを浮かべている。茹ですぎると持って行った時に伸びてしまうので硬めに仕上げ氷水で絞め、水気を切って孤児院のある教会へと自ら走った。ビルが近くで本当に助かった。


好美「早かったね、ありがとう。皆さん、変わり種で流し拉麵なんていかがでしょうか?」

デルア「俺、流して良い?昔からやってみたかったんだ。」


 そう言うと元黒竜将軍(ブラック・ドラグーン)は素麺を流している守の下へと向かった、少し疲れていたオーナーの彼氏は快く場所を譲った。


守「どうぞ、結構楽しいですよ。」

デルア「やっぱりですか、来れて嬉しいですよ。皆、流すよ。」

子供達「はーい。」

好美「もう、張り切っちゃって子供みたい。」


 恋人の方へと向かった守は、好美から貰った冷えた麦茶を一気に飲み干した。


守「あの人楽しそうだね、好美の知り合い?」


 守は好美がこの世界で何をしているのかまだ知らなかった。


好美「あの人は私の部下なの、私こっちの世界で拉麵屋のオーナーしているから。」

守「ウソだろ・・・、景気良いんだな。」


 多分このままの雰囲気でビルを所有していると言うと守が倒れてしまいそうなので、好美は一先ず「拉麵屋のオーナー」で止めておいた。

 一方で、やはり味変の減りは相も変わらず早かった。特に大根おろしや揚げ玉、そして明太子マヨネーズがすぐになくなる。

 焦った好美の耳に光とメイスのある言葉が入って来た。


光「良い光景ですね、これ肴に呑むビールが最高ですね。」

メイス「それにこのおつまみがたまりませんよ。」


 ん?「ビールが最高」に「おつまみがたまりませんよ」だと?そう思った好美は2人の方に振り向いた、2人が知らぬ間かテーブルを用意して減りの早い味変を肴に呑んでいる。


好美「ちょっと、何やってんですか!!」

光「え?美味しいから良いじゃん、それより好美ちゃんも呑まない?」


 アーク・ビショップは明太子マヨネーズにこれもまた知らぬ間に用意した1口大の胡瓜をディップして呑んでいた、そのままの明太子もあり美味そうで羨ましい。

 遂に我慢できなくなった好美は『アイテムボックス』から冷やしておいた缶ビールを取り出し、メイスに分けて貰った肴で呑み始めた。


好美「ぷはぁー・・・、最高過ぎる・・・。」

光「いい顔しているじゃない、ほらこっちにいらっしゃい。」


 食欲が減退していた子供達の為に開催している流しそうめんがメインなのか、3人の昼吞みがメインなのか分からない状況だが皆どうでも良くなっていた。


-105 言っちゃった・・・。-


 孤児院の子供の一人が昼呑みしているメイスや光に気付き職員のプリーストに状況を大声で報告した、よくある「チクり」だ。


子供「せーんせーい、メイス先生とお姉ちゃんたちがお酒呑んでるー。」

プリースト「えっ?そんな訳・・・、アーク・ビショップ!!子供達の前で昼間から何しているんですか!!」

メイス「良いじゃないの、明太子と明太マヨ胡瓜があるんだから呑まない訳には行かないじゃない。」

プリースト「光さんも好美さんまで・・・、仕方ないな。」


 ほぼ諦めムードのプリーストは子供達の世話役に戻った、デルアと守が交互に麺を入れているので黄色と白の2種類で飽きが来ない様になっていた。

気を利かせたデルアが「暴徒の鱗」門外不出の醬油ダレを使ったつけ麺のつゆも持って来ていたから味変に困らない、ただ好美やイャンダにバレたらまずいのではなかろうか。


子供「おじさーん、これ冷え冷えで美味しいね。」

デルア「おじ・・・、まぁいいか。気に入ったか?」


 実年齢287歳(人間で言う28歳)の副店長にはまだ「おじさん」には抵抗があるらしい、顔をヒクヒクさせながらも子供が相手なので許容した。

 流石に辛くしてしまうと子供達が食べれないだろうと、店で出す時と違って辣油の代わりにごま油を加えておいたのが功を奏したのか、思った以上にデルアのつゆは好評だった。

 好美はスマホの振動に気付いたので出てみた、デルアが一向に帰って来ないので何か知らないかとの連絡だった。客足が増えだして店が回らなくなっている、それは流石にまずい。

 楽しそうにしているので本人には悪いが店に『転送』し、仕事に戻らせた。後は守が何とかしてくれるだろうと期待し、好美は目の前の酒と肴に戻ろうとした。


好美「あの・・・、開けたばかりの缶ビールが既に空になっているんですが。」

メイス「はい?何の事ですか?」


 犯人はメイスだったらしい、一瞬にして好美の缶ビールを空にした本人は胡瓜片手に知らないふりをしている。

 よく見てみれば明太子も無くなっている、好美はお楽しみが無くなり泣きかけていた。

 まずいと思った光が改めて『作成』した明太子と缶ビールを差し出した、好美はぐずりながらも受け取った缶ビールを一気に煽った。


光「こんな事で泣かないの、あんた一応マンションの地主なんだから。」

守「え?好美は拉麵屋のオーナーだろ?」

光「何言ってんの、この子はこの世界で買ったビルの1階部分にある店舗のオーナーだけど。」

好美「光さん・・・、内緒にしていたんです・・・。」


 まだこの世界での住まいを見せていないのでそれまではただ、王宮で見回りをする夜勤族で拉麵屋のオーナーをしているだけと伝えてあった。15階のビルの事は、流石にこの世界でただただ養豚に励んでいた守にはまだ刺激が強すぎる話だと抵抗していたのだ。


守「まさか・・・、あの凄い大きいビルの事か?」

好美「う・・・、うん・・・。」


 街の中心部に聳え立つビルを思い出した守は目を白くし、その場に倒れてしまったが手に持っていた麺はギリギリで光が受け取ったので子供達の食事が無くなる事は防がれた。


子供達「お兄ちゃん、もう無いの?」

守「悪い悪い、すぐ行くから。」


 腹を空かせた子供達の声で飛び起きた守は改めて麺を流し始めた。


守「それにしても俺だけ働かされている様な・・・、誰か代わってくれよ。」


 好美達は酒に夢中になっているので守の言葉を無視した、それに怒った守は職員のプリーストに麺を預けて3人のテーブルへと向かった。


守「あんたらだけずるいじゃないか、もう・・・。俺も呑む!!」


 守はまだ開いていない缶ビールを掴んで開けると一気飲みした、知らぬ間に肴として叉焼やチーズ鱈がテーブルに並んでいる。

 ヤケ食いとヤケ酒で何とか気持ちを落ち着かせた守は改めて麺を流した、先程までと比べて朗らかな表情と共に。

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