【1万pv感謝】パトロンは悪役令嬢。魔王という生き方に嫌気がさして、勇者にわざと討伐されてみたら片田舎の人間の子供に転生したので、平々凡々な魔法研究生活を望んだ日々の記録
第41話 スポコンとは意味がない事の繰り返し、だがそれがいいみたいな話
第41話 スポコンとは意味がない事の繰り返し、だがそれがいいみたいな話
余はみっちりと、ミカエリスにリリスの二人と稽古をつけてやった。一人ずつだなんて、甘えた事を言う二人相手に余はこう言ってやった。
「二人同時でいい、手加減はいらない。余も少しだけ、本気を出すから」
余のその言葉に対してミカエリスと、リリスは少し、本気になったようだった。ミカエリスは魔法を練る。
「エル、あんまり私を舐めないで欲しいわね」
”風の精霊よ、愚者をなぎ倒す力となれ”
大気系の魔法かの。そんなもので余を傷つけられると本気で思っているのかの? ミカエリスは小手先の力で余に魔法を放った。
「暴風シルフィード!」
鋼鉄すらも切り裂く魔法。それをゼロ距離で放つくらいの覚悟がなければ勇者パーティーには勝てん。
「
ミカエリスの魔法を秒で消し去ると、次。余を狙う足払い。気配と姿を消してのシーフ属性の魔法。
余はその足払いを避けると、突然余の眼前にくるダガー、その手をはらって余は至近距離で炎の爆裂魔法を放つ。
「ギルボム!」
「わわっ! 光りの加護よ。クイック!」
自分に速度強化を入れて余との距離を取る。愚か極まりないの。余は地を蹴ると、姿を消して逃走を図ろうとするリリスの後ろにつく。
「エルぅう! 油断したわね!」
油断? 余がぁ? 大気の次は氷か。ヴァルキリーとしての得意な魔法がそれらだという事なのかの? 余にとっては児戯みたいなものだがの。
「ケイオス・バーナー!」
ミカエリスは氷で出来た剣で余にそれを向けるが、余の無詠唱の炎の魔法にてそれらは蒸発させられる。余の右手がふさがっている間に、リリスがアークデーモンを封じたダガーを持って魔法力を高めておる。
「エルちゃん、隙だらけだよ! ”生まれながらに紅蓮の身体を持ちし神イグニスに誓う。祖を滅ぼす怒りのマグマ” ブラッディ・フレアぁ!」
そうそう、少しくらいは余を楽しませてもらわんんとな。しかし、暗黒系の魔法で余を滅っそうとは、リリス。甘い。
ブラッディ・フレアとは......
「こうするの」
「無詠唱......」
一応、これで二人の魔法の力は半分ほどという事かの......出し惜しみをすれば負けるという事を知ってもらわねばならんな。
「二人とも、そんなんじゃ。死ぬ」
余はリリスの前に瞬間移動するとリリスに徒手をかける。
「ちょ......エルちゃん近接戦闘までできるの......」
どちらかといえば、得意分野だの。リリス、もしかして、近接戦闘はこの中で自分が最も得意だとかそんな戯言を考えていたのかの?
「リリス、隙だらけ」
リリスの手を掴む、余はリリスを投げる。背中から落ちたリリスはしばらく息ができないだろう。あれは痛いからの。そして次はミカエリス。
「ミカは、なまら魔法力が高いから防御がおざなりなる。シノノメ会長に挑戦した時の事、全然生かせてない」
「そ、そんな事ない!」
そんな事あるから、今この状況なんだがの......
「ダーク・ウィズ・ブレイザー」
余は指を向けるとそこから光線状の魔法を放つ。それをミカエリスは防護の魔法を展開する。
”太陽の化身よ、我が身に降りかかる厄災を浄化したまえ”
「セイント・マインド!」
余の魔法を散らして一息ついておるが......そんな防御魔法。勇者やその仲間相手に通用すると思っておるのか?
1本の光線は5本に、そして10本くらいからはじめようかの。
「......くっ、それくらいなら」
なら、20から30。
もう限界だろうの。もう少し出力をあげればミカエリスは限界だの。
チュドーーーンと模擬戦場で蹲るリリスとミカエリス。
「二人とも、それで終わり?」
まぁ、初日でやりすぎたかの......という事はないか。まぁ、余と肩を並べて歩くだけの事はあるは、ミカエリスもリリスもやりおる。ボロボロなのに立ち上がりよった。
「まだよ......エル、貴女こそ、私達を少し下に見ているんじゃない?」
”祖よ 気高き君を死者の魂と共にある姫騎士よ 顕現せよ”
「ファンタジア・ヴァルキューレ」
ほぉ、あの戦乙女化しよったか、たしかに無理くり魔法力を高めるよった。余にそれで勝てると思っておるのかは分らんが、訓練とはそのくらいでやらんと意味がないの。
「のぉ......リリス、その聖なる力を隠しておったか?」
リリスは、信じられんが余のこの身体と同等の聖なる力を溢れさせながら立ち上がった。極限まで肉体強化をしておるこの力は、紛れもない......勇者パーティーではない中で唯一余と並び立った人間。
「聖女?」
「......うん、ずーっと隠してたんだけどなぁ、これでもまだ修行中の身だからこの力見せるつもりはなかったんだけど、底が見えないエルちゃん相手だから」
ほぉ、いきなり余の力を少し上げる必要がでてきたの。だが、その程度の力では余には勝てんよ。
「ミカ、やる気があるなら、あの槍と鞘使って、リリスはその状態で殺すつもりできて」
余の言葉を発破に、リリスが突進してきた。そう、聖女という奴はまさにモンクファイターを極めたような奴だからの、身体強化を極限まで高めて、あらゆる暗黒を無効化して、拳に込めた聖なる魔法で魔を滅する。
余の拳をそれで抜けるかの?
「ダークナイト・ディバイダー!」
リリスの極限の光り魔法に対して、余の暗黒の拳をぶつける。
「お、おっ!」
余が少し力負けしよった。さらにラッシュをかけてくるリリス。余に張り合いながら強力な一撃を狙おうとしておるの......
グゥウウン!
きた......ミカエリスの槍か、水竜王だったか? しかし、ようやく余の身体が暖まってきたというところかの。ミカエリスは大きな槍を軽々と振り回しながらそれを余に向ける。リリスの力押しを相手にしながらであると......
来い破滅の剣。
天を切り裂き、一筋の暗黒が降臨する。余の最強の武器にして最強の僕。
「ミカ、鞘を鎧化して、あとリリスは全部防御に振る」
余は二人をはじき飛ばし、浮かび上がると破滅の剣を構えた。あらゆる魔剣、神剣というものを喰らいつくした業の塊。勇者を討つ事のみに特化された前世での余の魔法研究最終定理にして究極の兵器。
その出力を千分の一くらいに下げておるが、何の策もなしだと大怪我するぞ!
「
勇者が無属性魔法であるなら、余のこれは純水なる暗黒。いや夜天属性魔法とでも名付けておこうかの。
最初こそ余の忠告を聞く気はなかったようだが、この力を見て、ミカエリスは鞘を鎧に魔法防御の型を取る。リリスは身体強化をタフネスに全振りし、余の魔法に備える防御障壁を何枚も作り出した。
「よい、受けるがいい。夜の魔法を!」
漆黒のそれは二人を包んだ。恐らくは今までの人生で味わった事のない絶望であったであろう。
なんせ、当時フルパワーで放った時は勇者以外全滅させた余の最強攻撃だからの。余の力を破滅の剣を通して扱う為、今回もこれが余の切り札になる。
今までの全てが何の役にも立たないとおもわされるそれ。二人は立ち上がろうと何度ももがくが......
ついには。
バタン。
意識を失った。余は二人に回復の魔法を使い医務室に運んだ。少々スパルタがすぎたやもしれんが、生き残る為だからの。
遠慮せずにしごかせてもらおう。さて、こやつらを育てたとして、今の余がいかにしてあの勇者を倒すか、皆目見当がつかん。
なんせ、夜天魔法。勇者に破られたからな。
まぁ、余の命全てを消費してもエルシファーの友は守ろう。すまんな、14までしか生きてやれんかもしれぬ。
エルシファーよ。
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