第40話 悪役令嬢、ついに死亡フラグか? とか色々考えたけど、実際自分はほとんど関係ないっぽい話

『レミレラ様、この者達。相当な魔法力を有してますよ』

 

 さて、リリムがそう言うなら相当なんでしょうね。リリムならこんな連中けちょんけちょんにできるんでしょ?

 

『いえー、多分私の力じゃ抑えることもできそうになりですねー、魔法騎士とか言う連中ですよー、レミレラ様も黙って従っておいた方がいいです』

 

 …………ハァ、仕方ないわね。

 

「私がレミーですわ」

 

 私が見知らぬ男達に連れていかれそうになった為、ミホノちゃんが男達の前に出た。

 

「ちょっと! 貴方達、なんですか! 学園の先生じゃないですよね? 大声出しますよ!」

 

『レミレラ様、ミホノ様。攻撃魔法。火炎のファイアーボールを詠唱してますよ? よろしいのですか?』

 魔法騎士と言えば確か私たち貴族と同等、状況によっては強制力を持っていて……平民のミホノちゃんが妨害行動を起こしたとすれば……まずいわね。

 

「ミホノさん、私は大丈夫です。お二人とも、御用でしたらお話を伺いますので、ミホノさんもお二人も魔法詠唱をおやめください」

 

 私がキリリ! と、全て分かっていますよオーラを出しておく事でミホノちゃんも魔法騎士のお二人も魔法詠唱をやめ、私はミホノちゃんにウィンク。

 

 さて、どこに連れていかれるのか……というかこれ死亡フラグじゃないでしょうね。リリムも役に立たないし、エルシファーちゃんもいないし、ホイホイ着いてきたけどやばくない?

 

『役に立たな……御言葉ですがレミレラ様、抑える事ができないとお伝えしただけで、逃げる等方法はいかようでも取れますから!』

 

 リリムがちょっとおこだけど、どう足掻いても勝てないのは事実なのね。まぁ最悪逃げるという手段はあると信じて、この二人の話を聞こうかしら、多目的室に案内された私は魔法騎士の二人から尋問を開始された。

 

「君、エルシファーという学生と知り合いのようだが間違いないかね?」

「えぇ、エルシファーちゃんは私の友達ですわよ」

 

 私じゃなくて、エルシファーちゃんのことを知りたいのね。でもどうして? わざわざ初等部の私の所に来なくても中等部、高等部の学園に行けばいい話じゃないかしら?

 

「そうか! それは良かった。最近、あちこちで色んな事件が起きていて、それらを解決した陰にいつもエルシファーという学生の名前が上がるのだが、話を聞かせてもらおうにも生徒会長シノノメ・ユニバースがそう言った類の事を全て拒否する為に全く情報が掴めなくてな」

 

 リリム曰く相当な魔法使いであるこの二人、そんな二人が冷や汗を流すような存在が生徒会長シノノメ・ユニバースなのね。エルシファーちゃんがいる中等部以上は本当に選ばれし学生がいるという事なのかしら?

 

「そうなんですの? でも、私もエルシファーちゃんの事はあまり深くは知りませんのよ? 偶然、ポーションショップで出会った平民の女の子でしたけど、元々女神の末裔、その力が色濃くでているのかもしれないけれど、様々な魔法を使えるわね」

 

 私の証言に対しても魔法騎士の二人は一言一句聞き漏らさないくらいの強い表情で私を見ている。一体二人の何がそうさせるのか私には分からないけど、ここは魔法騎士に恩を売っておくのが吉のような気がするわ。

 

「なるほど、使える魔法の種類などはお分かりか?」

「うーん、流石にそこまでは分からないけれど、お二人はエルシファーちゃんにどんな御用が?」

 

 さぁ、教えてくれるのだろうか? 流石に極秘事項だろうか? だなんてそんな事を考えていると、まさかの目的を私に二人は話してくれた。

 

「強い魔法使いなのであれば、早々に魔法騎士に引き抜きをと考えてな」

 

 私の前世でもそうだったけど、どこもかしこも人員不足なのよね。魔法騎士も常時人員不足なのかしら? 私がそんな多分、疑問を浮かべている顔をしていたからかしら? 魔法騎士の一人が、

 

「昨今、暴れる魔物の力が強まっているのもあり、変な邪教徒がウロウロしている事もあり、我々魔法騎士も質を上げていかねばならない、そんな中で心技体全てがバランス良く整っているのがエルシファーと聞いていたから、もしやと思って接点を持ちたかったのだがこれだ」

 

 成程、これは二重で私からしても好都合な条件が揃ってきた。私が橋渡し役になる事を申し出る。同じ学園だから生徒会長も緩く私を扱ってくれるだろうし、付け入る隙があるという事ね。私は魔法騎士の二人にその提案をしてみたところ、

 

「レミー、君は魔法の力も対して大きくはないが、話していて年相応の子供に感じないな。悪いとは言わないが、あまりにも世の中に絶望している姿、何があったか話してみないか? スッキリするかもしれない」

 

 はは、私はもう落とせると踏んで、魔法騎士の二人に提案した。

 

「私が内通者として潜り込みましょうか?」

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