【1万pv感謝】パトロンは悪役令嬢。魔王という生き方に嫌気がさして、勇者にわざと討伐されてみたら片田舎の人間の子供に転生したので、平々凡々な魔法研究生活を望んだ日々の記録

第37話 悪役令嬢、魔法学園入学おめでとう！ 三年間の学園生活が約束されました！

「レミーさん、こちらが初頭部の校舎よ」

「へぇ、そうですの。綺麗な校舎ですのね？」

　私が卒業したのは高等部だったので、こんな幼い頃から魔法学園に入っていたことがないからここは知らないわね、私は特待生でもなんでもない一般レベルの魔法の技能や知識を持った生徒として魔法学園に潜り込めたわけだけど、

　ちょっと、リリム。ねぇ、リリム？

『なんですかぁ？　レミレラ様。人間の一エリート魔法使いより魔法力の弱い悪魔に何か御用ですか？』

　そう、完全にリリムがアイデンティティを失いつつあるので私は……リリムに少し元気を出してもらうように言ってみた。

　エルシファーちゃんに会ったら、リリムがいかに私によくしてくれたか伝えてあげるから元気出してよね。とりあえずこれから勉強とかそのほか諸々リリムに助けてもらう事もあるんだから。

『我が君、確かにレミレラ様のお屋敷にいた時より近く感じるのですがぁ、我が君が近くにいるのであればもっと強く感じられる気がするのですけど』

　そうなの？　まぁ、私には分からないけど、とりあえずエルシファーちゃん探そうよ！　そして来ちゃった！　みたいな感じでびっくりさせちゃおうと言う私のびっくりドッキリ計画。

『レミレラ様、なんか古くないですかぁ？　まぁどうでもいいですけど、先生が何かおっしゃってますよ？』

　そうだった。今日は編入したばかりで授業はないから先生が学校の設備とかなんとか、教えてくれているんだけど、凄いどうでもいい。私は別に魔法を使った職業につきたいわけでもないし、魔法の技能とか全く興味がない。平々凡々と生きていきたいし、その為にはまず悪役令嬢としての私の印象改善をはかりたい。ただそれだけ！　私の平々凡々ライフには魔王であるエルシファーちゃんの力で絶対不可欠なのよね。

「レミーさん、こちらが明日からお勉強をする教室です。今から楽しみですね？」

「はいー！　もう、最高に楽しみです！　私、勉強大好きですわ！」

　前世では、勉強ってどれだけしたかしら？　私の前世もこの世界でも学校の先生はお勉強大好き！　先生の言う事を肯定する生徒は可愛がられるのよ！　

　まぁ、それにしてもそろそろエルシファーちゃんを探したいのだけれど、

「レミーさん！　ここが初等部の工房ですわよ！」

　うわー、工房とか何がすごいのか全然分からないけど、エルシファーちゃん入り浸ってそうなのに、今は何人かの生徒が何かの実験をしているだけ、

『魔石を作ってますね。中々高レベルの魔法とお見受けします』

　とリリムの感想だけど、全く魔法に興味のない私にはそうなんだ。すごい興味ないなーと思いながら先生に、

「あちらの生徒の皆さん、魔石をお作りになられているんですわね？　相当高いレベルの魔法ですわ！」

　ほら！　学校の先生、確かメイジア先生だったか……、私のこの勉強したくてたまりません的な反応に嬉しそうにしてるじゃない！　

「ふふっ、レミーさんったら！　でもすごいわね。魔石生成の術式までもう予習しているなんて、魔法の力も中等部レベルですが……魔法知識は高等部相当ですね！　大変えらいですよ！」

　あっ、それは先生……ちょっと禁句ですよ。

『レミレラ様、私の力は貴族のお強い子供くらいらしく、私の知識は、貴族の大人になる少し前程度らしいですね……』

　そんな事ないわよ。貴女は学生レベルに抑えて力を貸してくれたし、知識だって本気出したらもっと知ってる事だってあるでしょ？　私にはわかってるから！　もういちいち凹まないで、早くエルシファーちゃん探そう！

　先生は魔本とかいういろんな魔法の理論書があるこれまたエルシファーちゃんが好きそうな図書室に連れてきてくれたんだけど、ここにはエルシファーちゃんはいない。なんだか少しおかしいなと私も思い始めていたのよね。

　三度の飯より魔法の勉強が好きなエルシファーちゃんがこの学園のどこにもいない。

「あの先生、質問をしてもよろしいでしょうか？」

「あら、質問をどうぞ！」

「あの、エルシファーちゃん……今年、推薦で入学された友達なんですけど、どこにいらっしゃるのでしょうか？」

「エルシファー……あぁ！　天才魔法少女と騒がれている方ですね！　確か高等部相当の力と知識なのですが、ヴァルキュリア王国第三王女のミカエリス様の推薦で中等部にいらっしゃるハズですね」

　えぇええええええええええ！

　やっちまったあああああ！

　いやぁああああああああああ！

『レミレラ様、お気を確かに……その、いかがなさいますか？』

　大丈夫……きっと中等部に編入する方法が何かあるハズよ。先生に聞いてみるから、

「先生、中等部に編入する方法は？」

「編入はできませんよ。三年間しっかり勉強をして、中等部に入学しましょうね！」

　い…………

『レミレラ様……』

　いやあああああああああ！