【1万pv感謝】パトロンは悪役令嬢。魔王という生き方に嫌気がさして、勇者にわざと討伐されてみたら片田舎の人間の子供に転生したので、平々凡々な魔法研究生活を望んだ日々の記録
第6話 新しい発見や技術の進歩のいくつかは偶然に起きる事があるよね? いやでも本当に知らなかったんです。
第6話 新しい発見や技術の進歩のいくつかは偶然に起きる事があるよね? いやでも本当に知らなかったんです。
“という事なのよ。エルシファーちゃん”
ほう、全く分からん。レミレラの話ではレミレラはなにやら『おとめげぇむ』とやらを行っている最中に感電死したらしい。そして、目が覚めるとその『おとめげぇむ』とやらの世界にいるいけすかない侯爵令嬢。天使の末裔レミレラ・アンヘルになっていたという。
そのレミレラ・アンヘルはそりゃまぁワガママで気位が高く誰かをねたまずにはやってられんど外道で、本来であれば娘を失い失意の余の両親にしょーもない事を吹き込んであのミカエリスに危害を加えようとしていたらしい。が、自分の知らぬ者も多くおり、行く末が分からんと言っておる。
それにしてもレミレラのやつ、少し夢見がちがすぎるのではないか? 余は運命の神に選ばれてここにおるわけだが、あやつは気が付いたら転生しておったと……さすがに今までの悪行をまずいと思って改心したいのだろうの。まぁ、その心意気やよし、余も付き合ってやることにするか
“余は、まぁ偶然。父と母が呪いを解除する魔法研究をしておって、それを腹の中にいた頃から学んでおって呪いを解けたようだの、さすがに赤子の事など余も知らぬ”
余が魔王などといっても信じぬだろうし、まぁ父と母とも話を合わせられるしの。
“エルシファーちゃんって、魔王とかの転生者でしょ? だって普通の子は自分の事余とか言わない
もん”
そうなのか? 確かに、余と言う者にまだ会ったことがないの。
余は現在素材集めにいそしんでいる。
余の住む田舎の街はヴァルキュリア王国の傘下にあるレルバリアと呼ばれる小さな国の領土にあるこれまた小さな村である。レルバリアにはかつて女神が奇跡を起こしたとかなんとかで、その末裔達がそれはもう当時では凄まじい魔法の力で繁栄を築いたらしい。
が、血が薄くなるにつれて、レルバリアの国には他の強力な血族が統治するようになり、女神の末裔である余達の一族は農耕狩猟をメインとしたド田舎に追いやられ現在に至るらしい。かつては女神の末裔という事で王国の大事な政にもかかわっていたらしいが、今はその威厳は地に落ちた。という事らしい。人間あるあるだな。
まぁ、微妙に貴族扱いとかだと行動に制限もかけられそうだし、余としてはこの方が身軽で良い。
本日ではあるが、ポーションを作る為に素材採集なのだ。何故かというと余の好奇心から驚きの発見をしたのだ。
家にある傷薬、店や病院で取り扱っているポーション、大けがを負った時のハイポーション。この3つであるが……なんと違いは水に対して素材濃度の違いでしかなかったのだ。まぁ、正確には色々と成分分析すると違いはあるのだが、ベースは水!
というかポーションの大多数は水。もちろん、加護を与えた腐りにくく日持ちするようになった綺麗な水が必要ではあるのだが、それに痛み止めの薬草、強壮効果のある薬草、効果増大の効果のあるキノコ、治癒の魔法効果のある鉱物。これらをすり潰して水に溶かして濾した物がそう、あのポーション。
しかし、余にかかればそれら素材を液状化くらいになるまで粉砕できるのだ。
濾す必要がないので素材の栄養そのままだ!
「“風の聖霊よ。舞え、目の前にあるあらゆるものを灰燼に帰せ” ウィンドウ・クラッシャー!」
風の魔法で竜巻を起こす。そこに素材を放り投げてやれば、それらはもはや目にも見えない程の大きさに粉砕される。そして、母にお手伝いで汲みに行っている水を瓶に少し余も拝借しておる。
「風の精霊よ。その程度でよい。この瓶に切り刻んだ物を、いれてかきまぜよ」
瓶に吸い込まれるように粉砕された素材は落ちてくる。そしてウィンドウクラッシャーの残りの力で瓶の中をかき混ぜると……
水330mlに対して、痛み止めの薬草5g、強壮効果のある薬草5g、効果増大のキノコ1g、治癒効果のある鉱物小さじ半分。これがハイポーション中瓶の素材。
余はここに蜂蜜を150g入れ、さらにかき混ぜる。
このまま飲めば甘いハイポーション、さらにこれを10分の1の濃度にして水に混ぜて飲めばポーションである。これはポーション原液とでも名付けておこうか。
水の分量をそのままにして、各種素材を10倍にすればハイポーション原液にもなる優れものだな。腰が痛いとか言っておったパン作りの上手なミザリー婆さんに使ってみるとしよう。
山から下りて村に戻ると、何やら村が騒々しい。何事かと思って余もその騒動の中に顔を出してみると……母を見つけたのだ。
「母、何があった?」
「家畜の牛が暴れて、ジムおじいさんに体当たりをしてしまったの。それでジムおじいさんが動かなくて、エル。みちゃいけません。お母さんとあっちに行きましょう」
まずいな、ジムじーさんの周りに死の気配が漂っておる。村の中でキュアを使えるのは神父だけ……余も使えるが、これはキュアではいかん。命が燃え尽きようとしておる。とりあえず、傷はこのポーションで治し、蘇生の魔法を
「ジムじーさんにこれを飲ませて、さっき作ったポーションの元」
ざわざわと驚いておる。まぁ、ポーションはそこそこ高額な薬品だからな。ハイポーションと言わないのはややこしくなるからだ。
だが、一国の事態を争う状況、ジムじーさんにハイポーションの効果があるポーションの原液を飲ませるみんな。さて、心肺停止しておるジムじーさんに蘇生魔法のリザレクションを使うしかあるまいか……
「ん、んんっ! 俺は何してんだぁ?」
「ジムさん! 良かった。アンタ意識失ってて、エルちゃんが作ったポーションで目覚めたんだよ。ほらお礼言って」
まずい、非情に……まずい。ジムじーさんは間違いなく死にかけておった。蘇生魔法を使わねば助からない程に、それを復活してくるというのはハイポーションの効果ではない。余は蘇生の秘薬。エリクサーを作ってしまったらしい。
何故だ……ポーションの素材しか入れておらなんだが……
いや、一つ。美味しいかと思って余は蜂蜜を混ぜた。いや、そんなバカな。
だが、不死の秘薬とやらも、蜂蜜の酒だったような……
「エルちゃん、薬も作れるようになるなんて、将来は偉い魔術師様だなぁ」
ジムじーさん(83)は余の頭を撫でて駄賃に小遣いをくれる。200リター、まぁ甘い菓子パンが10個程買える値段。
「よーし、このポーションは俺が村の為にエルちゃんから買うたから、みんな大変な時はつこうたらえぇ!」
ポーションの価格は町で購入すると小さい小瓶800リターくらいだ。というかあれはハイポーションなので、価格は中瓶価格で言えば、32000ルターくらいかの? 村の食堂での食事代が大体400リター程度。余の三人家族であれば食事代9日分を賄える程。まぁ、村の所有物という事で余はタダでもいいのだが、しかしポーションでもハイポーションではなく……
蘇生の秘薬・エリクサー。一国が金貨を積み上げてでも欲しがるような代物だろうの。
子供の駄賃くらいの価格でお買い上げされてしまった。
とりあえず余は子供らしい笑顔で笑う事にしよう。
このエリクサー、突き指やら擦り傷やら虫歯やら風邪やらなんやらで皆が使いまくった結果、ひと月とかからずに使い終えた。余はほっと胸をなでおろし、蜂蜜無しの正真正銘、ポーションの元を作り、月に一回だけ200リターと交換して村に貢献する事にしたのだ。
行商人が村にポーションを割高で売りに来るまで、村のみんなは自分達が使っている物がハイポーションだったとは知らなかったのだが、余も笑顔で知らず存ぜぬを貫き通した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます