第2話「紙風船(かみふうせん)」
【場所】学校・特別活動室(放課後)
主人公と出会った翌日。物置きと化した狭い教室で、舞生は主人公を待っていた。
《SE》ガラガラッ
「……! 四番君、来てくださったんですね。はぁ……良かった、昨日の
「……はい、子供っぽい遊びに付き合わせてますから、癖が強くて億劫に思われてるかなって————本当ですか? ありがとうございます、ちゃんと遊び終わったら生徒手帳探すの、手伝いますから!」
(上機嫌の舞生はパタパタ歩いて、机の上にあるダンボールの中から今回の遊び道具を出す)
「今日は何が良いか悩んでたんですけど……、けん玉とか、だるま落としのようなテクニックがいるものより、簡単な物がいいかと思いまして——ふうぅ」
《SE》ぽんっ (舞生の吐息によって紙風船が膨らむ音)
「今回は
《SE》パン……ッ、パン……ッ(舞生が風船を軽く打ち上げる音)
「ほっ、薬屋のおまけとして、子供達に配られた四角いものもあるんですよ。確か起源は——ほっ、富山でしたか……紙に薬屋の名前や、童謡の歌詞を記載したり。日本ではそれが販促のルーツでも、……ッほっ、あるそうです!」
(一旦、紙風船を手で飛ばすのを止める舞生)
「今は見かけなくなりましたが……駄菓子屋で売られていたり、老人ホームのレクリエーションとして活用される事もあり、懐かしさの象徴にもなる手軽な玩具として現在も親しまれています」
「では……いきますよ、四番君。えいッ!」
《SE》パンッ…………パンッ……(舞生が打ち上げ、主人公が打ち返す)
「それッ!」
《SE》パンッ……(舞生が返すが、風船が物置きの方向に飛び、無理に取ろうとした主人公が派手に突っ込む)
「あッ、そっちは危なッ……!」
《SE》ガシャアンドタドタ(積んだ荷物が落ちたり、椅子が倒れる)
「四番くぅんッ⁉︎」
(転倒した主人公の身を案じて、舞生が駆け寄る)
「だッ、大丈夫ですか⁉︎ ごめんなさい、ここ狭いのに動き回るものにしてしまって!」
(気が動転して、主人公の身体に触れる舞生)
「はぁ……良かった、どこも怪我してない——……ッ、わぁああ、すみませんッッベタベタ触ったりして、やっぱり紙風船は危ないですし遊び道具を変えましょう!」
「え……。楽しいからこれでいいって——ですけど、今みたいに夢中になり過ぎて四番君に怪我させたく……ないですし」
(主人公の説得に舞生は渋々納得していく)
「気をつければ、大丈夫……ですか。分かりました、四番君がそう言うのならこれで遊びましょう。ですけど……もう、無茶しないで下さいね!」
「さて……さっきの紙風船、まだ使えますかね?」
(二人で紙風船を探す)
「あッ、そこです。四番君の足元に! うーん、潰れてますね……」
(主人公が潰れた紙風船に息を吹き込んで膨らませる。それを見た舞生が間接キスを意識する)
「なッ、ななッ、なんで息を吹き込んでいるんですかぁッ!」
(動揺する舞生だが、相手は理解していない)
「だっ、だって……なんでもないですッ。それ破けてるんで、膨らみませんよ! 新しいの使います、 ふ————ッ!」
《SE》パンッッ(膨らませ過ぎて破ける音)
「……わぁッ、割れ、……もぉうぅ、なんで笑うんですかぁ! ——優等生なのに、おっちょこちょいで面白い……って、四番君までわたくしのイメージは勉強に
《SE》しゅうぅ (不満げな吐息でゆっくり膨らむ紙風船)
「確かにわたくしは真面目で優秀って、よく同級生に言われますけど……こんな風にふざける事だって、あるんです。えいッ!」
《SE》パァンッ! (勢いつけ過ぎて、紙風船が割れる)
「あ…………。——こッ、このように紙風船は割れやすいので、力加減に気を付けなくてはいけない遊びなんです。五感を鍛えるのにも適していますから、適当にやらないで下さいね!」
(照れ臭そうに、新しい紙風船を出して膨らませる舞生)
「ふぅう……さぁ、四番君いきますよ! 遊びは安全第一です!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます