竹馬舞生の遊び相手!?
篤永ぎゃ丸
第1話「缶木履(かんぽっくり)と放課後」
【場所】学校・特別活動室(放課後)
教員(男性)
《SE》ガラガラと扉を開ける
「おーい、まだ生徒手帳探しているのかー?」
(一呼吸置いて、教室を見渡す教員。鍵を主人公に渡す)
「そろそろ職員会議だから、鍵を渡しておく。ちゃんと、戸締りして帰れよ〜」
《SE》教室の扉を閉める音、遠のく足音(サンダルに近い擦れ音)
(部活に勤しむ生徒の声、吹奏楽部の練習音がしばらく目立って聞こえる)
《SE》入れ替わりで近付く足音。先程の教員とは明らかに違う(上履きのパタパタした感じ)
《SE》ガラガラと扉が開く
「やっぱり……開いてた」
(主人公に気付く)
「あッ! ごめんなさい。さっき職員室でこの教室の鍵について聞いたら、男子生徒に預けたって話だったので……ここ、わたくしの勉強部屋みたいな所なんです」
《SE》扉を閉める音
「この教室、こんな風に物置きになってますけど……この狭さと、学校の空気感が落ち着くから、こっそり使わせて貰ってて」
《SE》近付く足音
「探し物、ですか?」
「ふんふん……。——文化祭の片付けで生徒手帳を、無くした? 再発行で済みそうですけど中に大事なものでも、入ってるんですか?」
(理由を尋ねて傾聴する。くだらない理由にクスリと笑ってしまう舞生)
「え? 再発行料がもったい……ないから? ふ……ふふ、ごめんなさッ、それだけの為に一生懸命になってるんだと思ったら、おかしくて——あはは」
(笑いが落ち着いた後、近付いて主人公をジッと見る)
《SE》近付く上履きの足音
「そういえば……どこかで見た事ある、顔のような——)
《SE》思い出してパンッと手を叩く
「ゼッケン四番君、ですよね!」
「ほら、この前の球技大会! 男子はドッジボールでしたよね、その中に最後まで避けてた四番の人がいるなぁって、わたくし試合終了まで見てたんですよ」
「顔は分かるのに、名前もクラスも分からなくて、四番君って覚えてて……改めて名前、お聞きして宜しいですか?」
(名前を聞く舞生。だが、凝り固まった『四番』のイメージを抜け出せず、天然にゴリ押す)
「うんうん。じゃあこれから、四番君って呼ばせて頂きますね。 わたくしは三年の
《SE》椅子を引く音
「わたくしはここで勉強してるんで、気にせず探し物を続けて良いですよ」
(気兼ねない雰囲気だが、遠慮し始める主人公に舞生は穏やかに応える)
「え? 勉強の邪魔になるから、今日は帰る——? いいんですよ、気にしなくて。少し騒がしいくらいが、わたくしにはちょうどいいくらいで」
「——受験生に迷惑はかけられない……ね。ふふ、わたくしの為に遠慮してくれてるんですか? ——四番君って、優しいんですね」
(気を良くした舞生は、特別活動室のダンボール箱の山に近付く)
「それにしても、今この教室には各学年の文化祭の備品が全部置かれているので、探すのは大変そうです。わたくしも手伝いましょうか?」
「だって勉強はいつでも出来ますけど——ここにある備品は来週には破棄されてしまうので、探せる内に探したいですもんね」
「うふふ、先輩っていうのは後輩の前で良い顔したいものなんですよ。——あら、御言葉に甘えるからには、お返しはしたい……ですか?」
(お礼を求める主人公に、舞生はじっくり考える)
「うーん。四番君がそこまで言うなら——、じゃあ一つ……お願いしてもいいですか?」
(舞生はダンボールの山から一つ、箱を見つけると勉強机の上まで運ぶ)
《SE》ドスン
「よいっしょ……と。今日から、わたくしの遊び相手になって欲しいんです」
(ダンボールの中から『缶ポックリ』を出して、机の上でコンコン鳴らしてみせる)
《SE》パカッポコッ
「これ、ご存知でしょうか? 空き缶に凧糸を通して、下駄にした『
「
「勉強になりました? じゃあ四番君、これで歩いてみて下さい」
(缶ポックリを渡そうとする舞生、慌てふためき恥ずかしがる主人公を見て笑う)
「うふふ、照れてるんですか? これがわたくしが希望する四番君からのお返しです。勉強の息抜きをちょっとでも与えてくれたら嬉しいなって——生徒手帳が手元に戻るまでの間でいいので」
(そう説得して、渋々主人公から了承を得た舞生)
「遊び相手といっても、この箱の中にある手軽なもので大丈夫です。おはじき、紙風船、だるま落とし、けん玉——難しい事を考えずに、少しの時間だけお付き合いしてくれたらわたくしは十分ですから」
「——ありがとうございます。じゃあ、
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