第5話
素人は一定の需要があるらしい。
毎日待機する間もなく、送り届けられた。
自分に自信はないが、2回目、3回目と呼ぶお客もいるとわかると、承認欲求も少し満たされた。
私はここにいてもいいんだって思うようになった。
中学の先輩とはまた軽口を言い合う感じで楽しかった。
これでバレても死ねばいいとまだ思っていたし
ギリギリまで稼げるだけ稼ごうと思ってた。
私は商品だった。
なぜか先輩にキスされた時も
本当にすることになった時も
そんなこともあるか。くらいで気にしてなかった。
相変わらず思考もせず、ちょっとだけ落ち着いた焦燥感や不安感を抱えて、過ごしていた。
ただ、先輩には嫌われたくないなと思うようになった。
唐突に話をされたのはいつだったか。
借金の話になり、いくらあるのかと聞かれた。
利子が増えていく状況で大分増えて言い出せなかったが、
貸すと言われた。
好きなやつを助けたいと、言ってくれた。
あげることは出来ないけど、利子はいらない。と。
本当に意味がわからなかった。
断ったら物凄く怒られた。
チャンスを捨てるのか?と。
涙が止まらなかった。
見返りもなく助けてくれる人が今までいただろうか。
何より好きだと思った人に好きだと言われたのは初めてだった。
家族のこと、主人のこと、頭によぎったけど
目の前の人に夢中になってしまった。
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