女神&天使&湊=美少女?
「あ、おはよーみなち・・・い・・・?」
「おはよー由良!」
「ど、どうしたのそのオーラ?なんかいつにも増してキラキラしてない?」
「あ、わかっちゃう?この僕の輝かしいイケメンオーラッ!」
「・・・あーまぁ、うん。そんな感じ?」
朝登校して早々由良と会えたのは嬉しい。
けど何故か僕と視線を合わせようとしてくれないのは解せない。
まぁきっと眩しくって僕の顔が見れないってやつだねHAHAHA!
・・・はぁ。なんだろう、虚しい。
てか初めて言われたよオーラなんて・・・もしかして今の僕なら念○力使える?
前世でこっそりしてた感謝の一日一万回正拳突きがまさか、ここで実を結ぶなんて誰が想像できるんだろう。
「肯定。湊が眩しいのはいつものこと。でも今日は私比で通常の数倍は輝いている」
「分かる。なんか浄化されそう」
「男達ですら魅了されてっぞあれ・・・すげぇなおい」
どうやら僕は本当に念○力を習得してしまったらしい。周りを浄化して辺りを眩しく照らしてしまう能力だねきっと。
どちらかと言えば念○力と言うより、神様みたいだけど。
「ッ!?・・・も、もしかして僕って神だった?」
「あー、女神?」
「天使だろ」
「聖女」
・・・僕ってどんだけ男の子だと思われてないの?
いやまぁ、それのお陰でネタバラシした時の反応が楽しみではあるけどさ。
でもそういうのってもっとこう、こいつ実は女の子じゃない?・・・いやいやまさかね、みたいな疑惑が揺れ動くからこそ、実際に女の子だった時の衝撃と喜びはひとしおだと思う。
そう、そうだよ。それだよ。
僕はどうやらもっと初心に帰るべきらしい。
目指すは完璧な実は男でしたムーブ。妥協は許されない。
そのためにもリレーをかっこよく完走してかっこいい♡と思わせたり、実は男なのでは?いやいやまさか、みたいな揺さぶりをかけるべきだ。
よし、こうしてはいられない!
「ねぇ、雫と遥。二人って今週の土日空いてる?」
「あー今週?全然空いてるぞ」
「私も特に予定は無い」
「え、かわいそう」
「「ぶっころ」」
僕は伸びてきた二人の腕を華麗に躱しながら、笑顔で言い放った。
「じゃさ、今週の土日に───デートしようよ」
「デート?あぁいいぜ」
「肯定。行かない理由がない」
「やったぁ!じゃあ早速デートの段取りに決めないと・・・」
どうやら二人ともデートの抵抗はないようなので、今のうちに作戦を練るとしよう。向こうはデートの認識はなくて、恐らくただのお出かけのつもりだろう。何せ僕は二人からしたら女の子だから・・・悲しいことに。
けどそこを生かして、気の抜けた二人をガツーンといけばもう、実は男でしたムーブの術中に完全に嵌ってしまうこと間違いなしだ。
「え、待って私は?」
「由良はその、まだ心の準備が出来てないからさ?また今度行こ!」
チキンと言うことなかれ、僕の認識は完全にデートだから、ある程度一緒にいる人じゃないと緊張して上手く喋れないんだよね。
でも由良と遊びに行きたいのは本当だから、いつか必ず行くとしよう。
「えぇ・・・?むー、まぁいいけどさ、絶対だよ?」
「もちろん!」
───
「うんち」
「どうした、急にIQが3くらいになったぞ」
「同意。語彙力に関しては幼児並み」
そこまで言う?ってレベルの罵りを遥と雫から受けつつ(決してご褒美ではない)、デートの作戦を考えてるけど、全く考えがまとまらない。
遥と雫のペアで一緒に遊びに行くことは何回もあったけど、一対一で遊ぶなんて小さい時以外はほとんどなかった。
つまり、初デートなのである。
年齢=彼女いない歴(前世も含めて)の僕が、デートをエスコートできるか不安に思うのは仕方ないと思う。
「今デートの作戦考えてるからちょっと待って」
「はーん、デートねぇ・・・どうせ三人だろ?」
「いつも通りの場所だと私は推測する」
僕が頭を抱えていると、遥と雫がまるで分かりきっているというような表情で嘆息する。
どうやら僕の認識が甘かったらしい。
僕は一対一でのデートだと思っていたけど、向こうは三人でのデートだと思い込んでるパターンだ。
いやぁ、あるよね。あるある。レンアイケイケンホウフな僕からすれば、なぜ見落としていたのか分からないくらい初級的な問題だった。
確かにデートに行こうとしか行ってないから、言い方を変えただけでいつも通りの面子で遊びに行くのかと思うのも仕方ない。
なら僕は、そのふざけた幻想をぶちこわすだけだ。
「いや、一対一だよ?」
───伝家の宝刀、何でもないと見せかけてとんでもないことを言うの巻。
その威力は絶大で、一瞬にして二人の表情は凍った。まるで信じられないものを聞いたような表情で、ぴしりと固まっている。
まぁ、二人とも僕のこと女の子だと思ってるから、きっと気のせいだと思うけどね。
「楽しみだね」
そう告げて、僕は視線を二人から黒板へ移した。実は未だに授業中である。
個人的にはデートというんだから、男の僕からリードしたい。出来るかどうかは置いておいてね?
まぁ、かといってリレーも疎かにするつもりもない。
実は男でしたムーブを満喫するつもりではあるけど、そのために手は抜かないし、そもそも勝負事に手を抜くつもりもない。
僕の身体能力は今クソザコナメクジだけど、それでも負けるわけにはいかないよ。
僕は男だ───なら、勝たないとね。
ちなみに二人は授業終わりのチャイムが鳴るまで、ずっとポーっとしていた。美少女の呆け顔ってなんかちょっとえっちですありがとうございます。
あ、やめっ、ほっぺ引っ張らないでよ遥ぁ!
───
遥side
いま、なんて言った?
目の前の席でニコニコ笑う湊を見て、私は一瞬何を言われたか理解出来なかった。
朝の段階から少しおかしかったんだ。
なんかいつもよりキラキラしてるし、輝きが眩しいし、それに・・・可愛いんだ。
湊には姉と妹、それとめっちゃ美人なお母さんがいるんだが、今日に至ってはレベルが違う。
湊は気付いてないかも知れないが、めちゃくちゃ注目を集めてたのは間違いない。耐性のある私でこれだ、顔見知り程度じゃまともに立ってられないに違いない。
───なんか変な女連れてたのはこの際目を瞑るけどな。
湊は私たちの“女”だが、可愛すぎるからな、うん。
ともかく、湊は本気だ。
本気で一対一でデートするつもりらしい。
・・・耐えられるか私。いや、そんなわけがない。
少なくとも私は小学生くらいの時までは、男が恋愛対象だったはずだ。けど湊と出会ってから、私の恋愛感は完全に“歪んだ”。
当たり前だ、あんなに可愛い幼なじみが居て、しかも明るい上に優しくて勉強もスポーツも出来るって・・・男なんかよりよっぽど良いに決まってる。
そんな湊と私がデート?なるほどな、明日死ぬのか私。
なんとも言えないような嬉しさと、自分を抑え切れるか心配になってしまう恐怖心が綯い交ぜになり、自分でも今だらしない顔をしているなって分かってしまうほどだ。
ちょっとドキッとしたのは秘密にしておこう。
ちなみに雫も私と同じように呆然としていた。可愛い。
だが湊はそんな私たちには目もくれずに黒板を見ている。あの視線の先に、果たして私と雫がいるのかは分からないが、期待してしまうのは自分だけじゃないよな・・・?
でもなんかこうやってドキドキさせられたのは腹立つから、仕返しにほっぺをむにむにしてやった。
「や、やめふぇよぉ・・・」
めっちゃ柔らかかった。マシュマロみたいな手触りと柔らかさがあといい匂いした。
涙目になりながら視線を合わせてくるのもやばかった。かわいい。
湊は無防備すぎる、いやほんとまじで。
頭撫でたら「なーにー?」って言いながら擦り寄せてくるし、三人で遊びに行く時もやたら距離感近いし・・・やっぱり私と雫が守らないとな。
私はなすがままに頬を揉まれている湊を見つめながら、そう固く決心をした。
ちなみにまだ雫は呆然としていた。
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